NASA(米国航空宇宙局)および国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は2016年4月1日より、1999年に打ち上げられたNASAの衛星Terraに搭載された日本製のアスター(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometer:ASTER)の観測データを無償で一般提供を開始した。アスターは、経済産業省がNASAの協力のもとに開発した地球観測用センサーで、鉱物に関する特徴的なスペクトルを捉えるのに適した可視から熱赤外にわたる14バンドの観測波長を持っている。
このアスターが16年間に収集したデータは、産総研とJPL(一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構)が開発した擬似天然色画像合成技術やオルソ補正(地質情報を含む地図との重ね合わせのために地形の凹凸やずれをあらかじめ補正すること)といった処理をされ、付加価値プロダクト「ASTER-VA」として今回、一般公開された。その数は295万点にも及ぶ。フォーマットは地理空間情報として利用できるファイルKML形式もしくはGeoTIFF形式。
付加価値プロダクトASTER-VAのデータ生成・配信の仕組みと活用イメージ。産業技術総合研究所の資料より
ASTER-VAは全世界のデータを備えている。産総研では、「防災や環境、農林水産業、地理空間情報を活用したビジネスといった広範な分野で利活用できるとしている。画像データの検索およびダウンロード先はこちら。
ASTERが捉えた中米ニカラグアのモモトンボ火山の噴火の模様
中国の扇状地
(山下香欧)