YouTubeは4月18日、360度動画のライブストリーミングのサービスを開始したことを発表した。NABのトピックカンファレンスの1つ、オンライン・ビデオカンファレンス・ディでの基調講演「YouTube’s Future – Mobile, VR and Putting Content in Context」に登壇した、ニール・モハンCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)が明らかにした。

モハン氏は「実際にその場にいる感覚に一歩近づいた。モバイル携帯を持っていれば、その場にいなくても、席の一番前の列に座っている体験ができる」とステージにて語った。この新しいサービスは20日(現地時間、8PM ET/5PM PT)にてThe VergeがポップR&BアーティストDΔWNのライブで実施する。ライブはYouTube Space LAにて一般公開で行われる。

Facebookでは先週、同社のデベロッパーカンファレンスF8にて、VRライブストリーミングの計画や360度カメラ開発のオープンソース化を発表したばかり。対してYouTubeは、制作側ではなく、視聴者側に謳うものだ。600ドル近いOculus Riftと映像処理をするPCを揃えることなく、モバイル携帯だけで体験できるとしている。そしてハードウェアメーカーにAPIを公開することで、ハードウェア側がライブストリーミングに対応できるように進めていく。また360度ビューのオンデマンドでは、空間オーディオのサポートを開始しており、ユーザーの視点に合わせて映像が移動すると音の聴こえ方も変化する。Android OS携帯から視聴すると、携帯を移動すれば音も環境に合わせて変わっていく。

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空間オーディオの再生リスト

「没入型コンテンツは、我々が常に考えているものである。この新しい領域は、YouTubeの中で400~500%の成長があると視ている」と話す。この需要に応えるため、YouTubeは戦略を再考し、よりスマートに、よりイマーシブに、そしてシームレスに、という3つに焦点を当てていく。視聴者がよりコンテンツ空間で楽しめるよう、没入できる環境をできるだけ壊さないためにも広告挿入を控える、つまり広告スキップについても検討していることを説明した。また、子供達が過度な視聴を行わないようにキッズアプリでタイマー機能を加えるといった、より良いリコメンデーションと機能についても語った。

(山下香欧)