NetflixやHuluが先行して打ち上げたVRコンテンツ制作と配信サービスに続き、Home Box Office(HBO)とDiscovery Communications(ディスカバリー)もVR市場にメディア制作から本格参入することを、NAB開幕に合わせて発表した。

両社は、OTOYというVR関連技術を持つ企業に投資し、VR技術を取り入れていく。OTOYのネーミングはOnline Toy(オンラインのおもちゃ)から来ている。OTOYはオートデスク社からの投資も受けており「スパイダーマン3」「ファンタスティック・フォー」や「ベンジャミン・バトン」といったVFXの凝ったハリウッド映画作品の制作を支えた技術でもある。スタートアップ企業でありながら、現在の企業価値は3億ドル(333.6億円)超えと言われている。

ライトフィールドでキャプチャし、VRにリアルタイムレンダリングをするデモ

OTOYは、クラウドベースのサーバおよびGPU処理パワーを使ってVR制作に必要な3D環境のレンダリング技術を有する。Unityやアンリアルといったゲーム開発用のリアルタイムグラフィックエンジンと組み合わせることも可能だ。OTOYのレンダリングツールOctane 3を使ってクラウド上でリアルタイムグラフィックエンジンを展開し、そのままWebやVRのヘッドセットへVRストリーミングすることができるという。さらにOTOYでは今回の投資資金を糧に、ホログラムコンテンツのリアルタイム生成技術開発にも力を入れていく。

HBOでは4年長期契約をしているプロデューサーのジョン・スチュワートを指定し、OTOYの技術を使ってHBOのOTTサービスHBO NOWで配信するVR番組制作を進めている。またディスカバリーで展開しているDiscoveryVRの次期コンテンツもOTOYと一緒に開発していくという。

(山下香欧)