マルチカメラで収録した映像を全方位360度にリアルタイムでつなぎ合わせるソフトウェアベースの技術を持っているVideoStichが、今度はオリジナルの360度VRカメラ「Orah 4i」とパッケージにしたライブVRシステムをNABにて登場させた。VideoStichは今年に入って日本のVRイベントに参加しているという。実際、Orah 4iのPVには東京の街中のシーンが登場する。
左からCOOのAksel Piran氏とCEOのNicolas Burtey氏
VideoStichは2014年のNABでもスタートアップのパブリオンにて、360度全方位映像の編集ソフトウェアの技術を披露している。その際は、GoProを6台マウントしたリグを使ってリアルタイムVRストリーミングを実証していた。
VideoStichはNABに合わせてOrah 4iのローンチパーティーをコンベンションセンターから離れたSON Studiosにて開催。このときの様子も、ライブVRとしてYouTubeでストリーミングが行われた。このイベントはYouTubeにとっても、同社がNABで発表したライブ360度ビデオストリーミングサービスを使った最初の事例となった。
ローンチパーティの模様をライブVRで撮影した
※視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)
Orah 4iは、カメラヘッドと映像処理を行うPCボックスが揃う。ストリーミングしてHMDで視聴できるまでの遅延は、ダイレクトで5秒ほどだという。ビットレートは5~25Mbps。ブースでのデモではCDN経由なため、15~20秒ほどの遅延がみられた。映像画質はHMDでの解像度のリミットが邪魔をするが、このシステム価格範囲でいえば全く文句のないクオリティといえる。また各カメラレンズ同士のカラー調整がシーンによって異なるのに気が付く。リアルタイム処理を行う各カメラの映像のスティッチ処理も、シーンを選べば気にならない。人が近づいてくるシーンでカメラレンズが変わると(つまりつなぎ合わせられる部分)、そのボーダーラインに気づく程度だ。
インテルCPUとNVIDIA GeForce GPUを搭載したPCボックス。デュアルギガビットLAN、Wi-Fi 802.11ac/b/g/n、Bluetooth 4.0が揃う。またPOE対応バッテリー供給が可能
定価は3,595ドルで(現在はプリオーダーキャンペーンで半額)、出荷は5月中旬を予定している。日本向けにも代理店候補として何社か名乗りを上げているという。
(山下香欧)