九州放送機器展では、アスク・ディストーム社ブースにて、NewTek社のライブプロダクション製品であるライブ映像制作配信システム「TriCaster」、Skypeを利用した中継システム「TalkShow」そしてスポーツ中継向けインスタントリプレイ、スローリプレイシステム「3Play」をラインアップした。
これらはNewTek社の独自のIP技術であるNDI(ネットワーク・デバイス・インターフェース)プロトコルでつなげることで、各システムの映像ソースを共有できる。NewTek社はNDIプロトコルに対応させるためのSDKを提供しており、現在700社以上が接続インターフェイスを開発中だという。NDIは、従来のSDIやHDMIケーブルによる映像入出力インフラに替わり、イーサネット接続で映像音声を伝送することで、いわゆるIPライブプロダクションを展開できるものである。海外での事例では、すでにNDIを通してVizRTのオンエアグラフィックスをTriCasterでキーイングする運用などをIPで行っている。
展示会場ではNDIを使ったライブIPプロダクションの実例として、Too社ブースで展示しているAdobe Premiere Pro CCで作成したクリップをライブ1チャンネルソースとして、アスク・ディストーム社ブースにあるTriCasterなどで利用できるようになっていた。これはAdobe Preiere Pro CCにNDI Tools PackのVideo Monitorが連動することで実現する。
Adobe Premiere Pro CCの環境設定では、NDI出力を設定することでNDI対応機器とシームレスにソースのやりとりを行うことができる
Adobe Premiere Pro CC側でもNDIを通してTriCasterの入出力ソースがモニタリングできる
左:TriCasterのインターフェイスの一部。Adobe Premiere Pro CCからの入力ソースがプレビューされている右:Too社ブースにあるAdobe Premiere Pro CC。NDIを通して、ほかの出力ソースをAdobe Premiere CC側でモニターできる。Adobe Premiere Pro CCのソースをTriCaster側でキーソースとして利用している
相互関連性を持たせるNDIでは、Adobe Premiere Pro CCのメニューからも、TriCasterの全部ライブチャンネルが確認、プレビューできるようになっている。これまでオフライン制作が主だったAdobe Premiere Pro CCがライブソースとして使用できるのは画期的だ。キーとフィルを含む編集済みコンテンツをAdobe Premiere Pro CCのタイムラインから直接、オンエア用にプロダクションスイッチャへ配信することができる。
そして、アスク・ディストーム社と同社ブースの正反対側にあるパナソニック社ブースともイーサネットでつなぎ、アスク・ディストーム社ブース側と、パナソニック社ブースにあるネットワークカメラ2台とパナソニック社ブースに展示した3Playとつないでライブソースを展開した。
パナソニック社ブースに設置されたネットワークカメラ3台(このうち2台のカメラソースが3PlayやTriCasterで利用できるようになっている)、および3Play
パナソニック社ブースでは、放送施設にある従来のSDIインフラ環境にカメラからIP伝送させた映像ストリームを活用するためのIP-SDIサーバー「P2 Streaming Server」を使ったデモンストレーションが行われていた。報道など迅速性が要求される運用にて「P2 Cast+ENG」ソリューションとして展開している。同サーバーもNDI対応の開発が進められているという。
(山下香欧)