株式会社朋栄の発表によると、株式会社テレビ東京ホールディングスより、テレビ東京・BSジャパン新本社における報道受配信室設備の構築を受注し、11月7日より新本社の運用が開始されると共に、報道受配信室設備も稼働したという。
同報道受配信室は、テレビ東京・BSジャパンの報道素材の運用管理を担っており、局内の回線室に送られてくる、日本各地で撮影された素材映像と海外からの国際映像を受け、報道素材として活用できるようにしている。テレビ東京が幹事社となって代表取材した映像は、報道受配信室から各放送局へと配信されている。
テレビ東京 報道局取材センター 報道技術担当副参事の小峰信彦氏は、報道受配信室の設備構築について、次のようにコメントしている。
小峰氏:報道受配信室は、マスターやスタジオサブなどの運用とは異なり、放送技術エンジニアが少ない部署です。旧本社での前日までの運用から、スムーズに新本社の新設備の運用へと切り替えるためには、スタッフの運用方法を大きく変えることなく移行する必要がありました。旧本社では報道受配信室が報道素材とスポーツ素材の両方を扱ってきましたが、新本社ではスポーツ素材を扱う部署をスポーツ受配信室に分け、報道受配信室は報道素材に特化して運用を行なっています。
報道受配信室では、回線室から分配されてきたベースバンド映像を受け報道素材として活用できるようになっており、ベースバンドで送られてきたものであれば、ルーティングスイッチャを中継してエンコーダに送られ、12台ある報道サーバに記録。これと同時に12台のXDCAMにもバックアップ収録を行う。このほかにも、報道カメラマンが撮影した素材も報道受配信室に持ち込まれ、この映像素材についても報道サーバにインジェストされる。
地方取材や国際映像の場合には専用回線を使うことなく、クラウドを利用して映像素材をファイル伝送するケースも増えてきているという。報道受配信室でクラウド上のファイルを指定してダウンロードし、メタデータとともに報道サーバにFTP転送される。ダウンロードしたファイルは、ノンリニア編集後にベースバンドで再生出力してルーティングスイッチャに報道素材として入力することが可能。
今回、同報道受配信室の基幹設備として新たに導入した朋栄製品は、80入力64出力のルーティングスイッチャMFR-5000、16入力2出力のマルチビューワMV-1620HSA、MFR-18RUAをはじめとする各種リモートスイッチ、各種分配器、タリーユニット、タイムコード関連機器、制御卓など。ベースバンドを使用するさまざまな素材映像、利用可能になった報道素材は全てMFR-5000に入力されている。ラック内に配置されたPCで、技術スタッフがルーティングを設定できるようにするとともに、制御卓のリモートスイッチ操作でも入出力先をコントロール可能。
小峰氏:新規に部屋を構築して大型のMFR-5000を導入したので、報道で必要になりそうなものはすべてつなぎ、現在79入力55出力で運用しています。今後、必要な時に入出力オプション基板を簡単に増設できることも気に入っています。朋栄の製品群はブラウザ経由でコントロールできるため操作しやすく、必要な時に設定をすぐに変更できるのがメリットと感じています。実際に運用テストを始めてみると、1カ所でさまざまな機器をコントロールできるということが、思っていた以上に便利だとわかりました。技術スタッフの誰もが扱いやすく、運用スタッフも操作しやすいので、シンプルな運用が可能になりました。
報道受配信室の操作卓の高さ、椅子のサイズは、使用するスタッフの身長まで考慮してデザインしていただきました。椅子に座ると自然に目に入ってくるように傾けたモニターなど、日常の運用を考慮した配置にも気を配っていただいたことで、より使いやすい設備に仕上がったと感じています。それぞれの機材の組み合わせだけでなく、部屋全体のシステム設計、操作性を考慮したデザインまで全てを一貫して施工を担当していただけるのが強みだと感じました。