Blackmagic Designの発表によると、中国中央電視台と韓国文化放送が共同制作したドキュメンタリー番組「Climate Fightback」において、DaVinci Resolve StudioソフトウェアおよびDaVinci Resolve Mini Panelを使用してグレーディングが行われたという。

「Climate Fightback」は、工業化により引き起こされた大規模な気候変動に立ち向かう人々の努力を描いた、3つのエピソードから成るドキュメンタリー番組。同番組はデジタルフィルムカメラやドローンなどのカメラを使って撮影された。12ヶ月におよぶ撮影では中国の制作チームだけでも50TBのフッテージが撮影された。

膨大な量のフッテージを前に、CCTV Pioneer Media&Entertainment Co.,LtdのカラリストLuo Chengyuan氏は、6日で3つのエピソードのグレーディングを仕上げる必要があった。各エピソードには700から800のショットが含まれていたという。

Luo氏:このプロジェクトでは、編集チームとカラーグレーディングチームの共同作業が必要でした。スケジュールが非常に厳しかったので、できるだけ時間を削る必要がありました。私たちはフッテージのコピーとコンフォーミングにおよそ3日かかると見積もったので、監督はDaVinci Resolveのシーン検出機能に基づいたワークフローを採用することを決めました。これにより、コピーとコンフォーミング、エラーチェックにかかったであろう3日間と、ディスクスペースを節約することができました。

Luo氏:この機能で95%以上のシーンカットを認識できました。エピソード1には合計780のショットがあったのですが、シーン検出をかけた後885になりました。余分なショットはフェード・トゥ・ホワイトやディゾルブ・トランジションによるものです。これらは通常カットポイントのクラスターとして表示され、簡単に見つけられます。私がしなければならなかったのはこれらのカットポイントの削除のみです。1つのエピソードのシーン検出にかかった時間は4分半です。そしてトランジションを検索して余分なカットポイントを消すのに40分かかりました。その結果745ショットになりましたが、オリジナルが780ショットなので、これはかなり正確な数字です。

同番組は自然に関するドキュメンタリーのため、監督は正確かつ一貫性のある色の復元を求めたという。

Luo氏:DaVinci Resolveの豊富なツールセットにより、監督の希望するグレーディングをスピーディに実行できました。DaVinci Resolveのカーブは、色相、トーン、サチュレーションに基づいてイメージ内の特定の領域を調整できます。イメージの他の領域に影響を及ぼすことはないので、とても柔軟に使用できます。

例えば、港で魚が殺されているシーンでは、監督は冷たいルックを希望していたのですが、地面に広がった血の海との組み合わせで血生臭すぎる画になってしまいます。そこで「色相vs彩度」カーブを使用して、赤のサチュレーションを抑えました。赤はサチュレーションが高くなりすぎる傾向があるのですが、「色相vs彩度」カーブは、赤い花や草の中の虫などのシーンでサチュレーションを抑え、イメージを修正するのに非常に便利でした。

パンダにフォーカスしたシーンではプライマリーコレクションの後、野生のパンダの毛皮が黄色っぽくなりパンダが汚れているように見えてしまう問題を解消するため、Luo氏は「輝度vs彩度」カーブと「色相vs彩度」カーブをPower Windowトラッキングおよびキーフレーム機能と併せて使用し、毛皮のサチュレーションを抑えてパンダを綺麗なルックにした。

Luo氏:DaVinci Resolveのトラッキングは非常に正確です。多くのパラメーターを調整でき、非常にフレキシブルに使用できます。

ミッドトーン・ディテールとシャープは、ドキュメンタリーのグレーディングでLuo氏が頻繁に使用するツールは2つ。

Luo氏:フォーカスぼけの問題は、ミッドトーン・ディテールとシャープの値を上げることで軽減できます。このテクニックは青海高原のシーンの人々のクローズアップショットで、現地の男性の肌のハイライトにも使われています。

ドキュメンタリー制作では、制作チームはコントロール不可能な照明条件に遭遇することがある。この場合カラリストは低照明条件のショットを扱わなければならないという。

Luo氏:単に明度とコントラストを上げるだけでは、ノイズが目立ってしまうので、DaVinci Resolve Studioの時間的/空間的ノイズ除去を使用して、ノイズを軽減しました。この番組はすべて、DaVinci Resolve Mini Panelを使ってグレーディングしました。ほぼすべてのツールがパネル上のコントロールに配置されているので、監督の指示ですぐに様々な調整が可能です。精密に設計されたコントロールのおかげで、すべてのクリエイティビティを作品に注ぎ込むことができました。