SMPTEは、SMPTE ST 2110の第1規格となるProfessional Media Over Managed IP Networks(ST 2110-10/-20/-30)を承認したことを発表した。

SMPTE ST 2110規格は、IPネットワーク上の別々の基本エッセンスストリームの運搬、同期、および記述をリアルタイムで指定する新しい標準スイートで、ライブプロダクションからチャンネルプレイアウトの目的で使用可能。従来のSDIをIPに置き換え、情報技術(IT)プロトコルとインフラストラクチャーを活用する、新しいアプリケーションの作成をサポートするもの。

標準化のコンバージェンス

今回のSMPTE ST 2110ドキュメントの正式な標準化により、相互運用可能な機器を開発するメーカーの進行にも拍車がかかるとしている。本規格の基盤は、IP上の非圧縮エレメンタリーストリームメディアのトランスポート(TR-03)というビデオサービスフォーラム(VSF)技術勧告に基づいて策定された。

オープン相互運用性のロードマップ。Joint Task Force on Networked Media(JT-NM)の資料より

SMPTE ST 2110規格は、同期を維持しながらオーディオ、ビデオおよび補助データを含むストリームを分割し、それぞれが別々にルーティングされ、エンドポイントで再び集約することを可能とする。そのため、キャプション、字幕やテレテキストの追加、複数のオーディオ言語とタイプの処理などのタスクが簡略化できる。

オーディオ、ビデオおよび補助データの各コンポーネントフローは同期されており、エッセンスストリームは独立したまま互いに同期している状態を保つ。SMPTEではイントラファシリティのトラフィックをIPベースに置き換え、SDIとIPスイッチングやルーティングなど2つの独立したシステムを保持することのない、単一のデータセンターのインフラストラクチャーが構築可能になると期待している。今回、規格として承認されたのはSMPTE ST 2110-10/-20/-30。そのほかにも、以下のスイートがロードマップに上がっている。

  • 2110-10:システムのタイミングと定義
  • 2110-20:非圧縮のアクティブビデオ
  • 2110-21:非圧縮アクティブビデオのタイミングモデル
  • 2110-22:圧縮ビデオフォーマット(予定)
  • 2110-30:PCMデジタルオーディオ
  • 2110-31:AES3オーディオフォーマット
  • 2110-40:補助データ
  • 2110-50:ST2022-6ストリームの相互運用

ST 2110-21-40は来年2018年初頭には標準化される予定

IBCではIP Showcaseという特別なカンファレンスが開かれ、4日間にわたりショーケースやセッションが繰り広げられた。実機による動態デモンストレーションでは50社以上のベンダーが協力し、ライブプロダクションシグナルフロー、コントリビューションとプレイアウトシグナルフローに分かれてSMPTE ST 2110最終草案標準とAMWA NMOS仕様(リアルタイムメディアでのIPの可能性を最大限引き出す単一の共通IP相互運用規格と仕様)に基づくIP相互運用性を実証した。

(ザッカメッカ)