Appleが、カナダにベースを置く新興企業Vrvanaを買収したことが、米報道より明らかになった。買収金額は3,000万ドルと言われている。

VrvanaはVRとARに特化した技術企業で、2014年に得たクラウドファンドの資金のもと、Totem(トーテム)というヘッドセットを開発している。資金調達以来、トーテムは商業製品としてリリースされておらず、現在まで、パススルービデオとAR体験、ハンドトラッキングを重点に進化し続けている。

トーテムは、目の前にあるものを見たまま視界に情報を表示可能なARと、現実から切り離した仮想世界VRの双方の体験をシームレスに提供するとしている。VRヘッドセットという定義よりも、MicrosoftのHoloLensやWindows Mixed Reality対応ヘッドセットに近く、手のジェスチャーに従う赤外線を使用する「インサイドアウト」トラッキング方式を採用している。つまりヘッドセット本体に搭載された赤外線カメラによってユーザーの位置を追跡する。Vrvana企業の活動としてはAudi、Valve、Teslaといった企業と協力体制を築いている。

Appleは最近、AR/VRに加えて目の追跡に特化したSensoMotoric Instrumentsを買収するなど、数年前からARとVR関連の会社を買収している。同社は、Vrvana買収についてコメントを発表していないが、AR分野での研究開発について拍車をかけようとしていることは明白だ

というのも、同社が2019年に独自に開発したARヘッドセットを発売するという噂が背景にある。Bloombergによると、AppleのARヘッドセットは、スマートフォンに頼るのではなく、独自のディスプレイ、プロセッサ、オペレーティングシステムを搭載した完全内蔵型デバイスだという。

Appleでは、これらAR技術関係のプロジェクトに取り組むチームが、元Dolby Laboratoriesのエンジニアリング担当であったMike Rockwell氏をリードに結成されている。同チームでは最近、iPhone向けにARアプリの開発が可能なARKitを手掛けた。ARKitはiOS 11に標準実装され、今後iPhoneやiPadを持っているユーザーの生活に、ARが自然に浸透される。

Appleのティム・クックCEOは最近の投資家向けの収支報告の場で、ARについて、エンターテインメント色のあるVRと違い、一般の生活や社会に溶け込み、テクノロジーの使用方法を変えるものであると触れている。

(ザッカメッカ)