アマゾンウェブサービスは、AWSエレメンタルのメディア処理技術をクラウドコンピューティングにフル活用した、新しいクラウド・ビデオサービス「AWS Media Services(AWSメディアサービス、以下:AMS)」を開始した。

先週米ラスベガスにて開催していたユーザーカンファレンス「re:Invent」にて発表したもの。AMSは、5つの新しいビデオ処理ツールを揃えており、単体で、また環境によってツールを選び、ビデオ配信までのメディアワークフローをクラウド上で構築できる。

AWSマネジメントコンソールによる、シンプルで直感的なウェブベースのユーザーインターフェイスから、使用環境に合わせてカスタマイズできる。各ツールは利用した分だけ支払う、従量課金制となっている。オンプレミスの既存システムとの組み合わせから、24時間365日のライブチャンネルの立ち上げ、配信用VODアセットのライブラリを変換、ビックイベントのライブ配信など、様々なプロジェクトに適応できる。また本サービスは、コンテンツ配信のAmazon CloudFront、監視用のAmazon CloudWatchや、人工知能Amazon Rekognitionなど、他のAWSサービスとシームレスに統合できるという。

AMSの各コンポーネントは次のとおり。

  • AWS Elemental MediaConvert:高品質のビデオトランスコードと放送レベルの機能を備えたファイルベースのトランスコードサービス。
  • AWS Elemental MediaLive:放送グレードのライブ動画処理サービス。
  • AWS Elemental MediaPackage:インターネット配信に向けた信頼性の高い動画作成と保護ができる。またスタートオーバーTVといった付加価値な機能を実装できる。
  • AWS Elemental MediaStore:低遅延と高パフォーマンスを持つ、メディア配信に最適化された高性能ストレージサービス。
  • AWS Elemental MediaTailor:ビデオストリームにターゲット広告を挿入することができる、SSAI(サーバーサイド広告挿入)機能を持つサービス。

Amazonプライムビデオでは、本サービスが9月末から開始した、2017年シーズンのナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の試合中継「Thursday Night Football(サーズデーナイトフットボール)」のライブ配信システムの一環として、AWS Media Servicesを利用している。また国内では、ポストプロダクションのIMAGICA社がクラウドでのファイル変換サービスAWS Elemental MediaConvertを利用して、コンテンツのファイルフォーマット変換を短時間で作業しており、わずか6時間程で600時間分のコンテンツを、高品質にフォーマット変換ができているという。

(ザッカメッカ)