Blackmagic Designの発表によると、シカゴを拠点とするThe Colonieのカラリスト、ローレン・マリス氏が、大手小売業者Kmartの全米放送用CMのグレーディングとフィニッシングにDaVinci Resolve Studioを使用したという。

クリエイティブな編集とポストプロダクションを提供するThe Colonieは、2017年に季節ごとに放送された複数のCMの制作を依頼された。それぞれのCMで内容を変えつつ、かつKmartブランドを適切に表現するイメージで統一させて欲しいという依頼だった。

マリス氏:Kmartはとても明るいブランドで、快適さや魅力が伝わってきます。私たちは全体的にナチュラルさを残しつつ、彩度が高くて際立つカラーを心がけました。視聴者の注意を引きつけ、良い気分にさせるカラーにしたいと思いました。Kmartの楽しい雰囲気を反映させるためです。

受け取ったフッテージはニュートラルな状態だったので、カラリストとしては作業がしやすかったです。しかし、例えフッテージがどんな状態であっても、DaVinci Resolve Studioがあればまったく心配ありません。もともと信頼性の高いプログラムですが、毎回のアップデートでよりスムーズに、高速に、スマートに成長しています。今年のはじめにはバージョン12.5を使用していましたが、14がリリースされてからはアップデートしてその後のCMで使用しました。

今回のCMは季節ごとに分かれているので、マリス氏は映像がそれぞれのテーマに合うように特に注意を払ったという。マリス氏は夏用の2つのCM「Nature Calls」と「Cannonball」で行った処理について次のようにコメントしている。

マリス氏:「Nature Calls」は豊かな緑を背景に、男性と女性と子どもが動物の鳴き声を真似ています。夏用のCMなので、とてもポップなカラーにしようと思いました。同時にナチュラルな緑と程よいコントラストを心がけました。一方「Cannonball」はプールが主役です。夏のイメージを出すために、明るく、陽気で、視聴者の注意を引きつけるグレーディングに取り組みました。とりわけプールの青い色を強調し、魅力を強調することを意識しました。

マリス氏は、ショットの微調整においてDaVinci Resolve StudioのPower Windowとトラッカーを愛用している。

マリス氏:ウィンドウを作成し、カラーを調整してグレードをトラッキングするのが非常に簡単です。今まで使ったトラッキングツールの中で、これが一番です。ノードのワークフロー、レイヤーやウィンドウをすばやく追加できる機能、クオリファイアーで様々な色を抽出できる点など、どれも最高です。シームレスなワークフローですね。

秋用の「Showdown」では男性と女性がスポーツチームの衣類を身に付けているので、服を際立たせることが肝心だったという。

マリス氏:衣類の赤と青を強調し、壁は自然な色になるようにグレーディングしました。映像には多数のオーバーレイやグラフィックが含まれていました。カラリストとしては楽しいチャレンジでしたね。グレーディングがそれらの要素に与える影響を考える必要があったからです。

マリス氏が担当したCMでもうひとつ難易度が高かったのが、ホリデーシーズン用の「$10 Gifts」だ。真っ白の背景にバンドが演奏しているこのCMは、すべてが1ショットで収録されていた。

マリス氏:CM全体が1ショットに収められていました。バンドの周りを回るカメラで撮影したフッテージだったので、ショットを通して照明条件が大きく変化していました。グレーディング全体をシームレスにして視聴者の注意を妨げないようにするために、カメラの周回ごとに別々のグレーディングとして取り扱い、照明条件と全体的なルックをマッチさせました。

結果的にグレーディングの数は増えましたが、DaVinci Resolve Studioのエディットページでグレーディング間にトランジションを適用しました。ディゾルブツールを使用することで、1ショットのように見せることができました。また、編集も少し行いました。ブレードツールをはじめとするDaVinci Resolveの編集ツールが大好きです。エディターとして直感的に使用できますね。編集、グレーディング、フィニッシングのページをいつでも切り替えながら作業できました。

マリス氏は、DaVini Resolve Studioのシーン検出ツールが彼女のワークフローに欠かせなかったと話す。シーン検出ツールとは、カットを基準にショットを分解するツール。

マリス氏:余裕がない場合に、作業時間を大幅に削減できます。私はほぼすべての仕事を限られた時間で担当していますが、DaVinci Resolve Studioは処理全体を簡素化してくれるので、フッテージの読み込みや管理、タイムラインの設定、編集やカラーの調整、新規バージョンの作成やその他の作業を簡単に実行できます。特にクライアントをグレーディングルームに迎えて映像を一緒に確認する場合、DaVinci Resolve Studioでは作業がとてもスムーズです。CMの各ショットを切り替えながら、ノードの追加や無効化、コントラストの調整、複数バージョンの確認など、様々な作業を簡単かつ効率的に実行できます。

DaVinci Resolve Studioが登場するまで、The Colonieはカラーグレーディングにあまり力を入れていませんでした。私と会社のレパートリーにDaVinci Resolve Studioが追加されたことは、商業用ポストプロダクションハウスとして非常に大きなステップアップであり、オールインワン・ショップとして展開を広げるきっかけとなりました。今ではクライアントのプロジェクトに対し、包括的なソリューションを提供できます。彼らが求めているのはこれなんです。