Blackmagic Designの発表によると、Association of Paddlesurf Professionals(以下:APP)のワールドツアーにBlackmagic Designワークフローが使用されているという。 URSA Mini 4Kデジタルフィルムカメラ、Micro Studio Camera 4K、ATEM Production Studio 4Kなどが含まれており、放送、ライブプロダクション、ストリーミング、国際的なサーフィンイベントのビデオ制作に使用される。
Waterman Leagueが主催するAPPワールドツアーは、パドルサーフィン(別名スタンドアップパドル)プロの公式世界選手権ツアー。種目はパドルサーフィンとパドルレースに分かれている。APPワールドツアーでは、世界各地で行われるイベントのライブ放送およびポストプロダクション後の放送など、あらゆる形態の番組制作が行われ、これらの映像はCBS SportsやFox Sports Australiaなどのネットワークを通じて100ヵ国以上に配信される。2018年度の同ツアーは、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、パリ、カナリア諸島で開催され、ライブ実況、ハイライトシーン、選手紹介、ポストプロダクション後の映像が配信される。
Waterman LeagueのCEO トリスタン・ボックスフォード氏によると、同社はAPPワールドツアーを開始、運営しているプロダクション企業であり、政府機関やテレビネットワークなど、世界各国の提携パトナーと協力し合ってこれらのイベントを世界規模で配信しているという。
ボックスフォード氏:これまでに、ハワイの美しいビーチ、東京、ドイツ、チリのパタゴニア氷河、フィジーなど、様々な場所でのイベントをプロデュースし、ライブプロダクションを行ってきました。条件が変化しやすい環境で撮影することが多いため、セットアップが簡単で即座にプロダクションを開始できる機材が必要になります。プロダクション拠点で作業をスムーズに進めるための機材や中継車を使用できないこともあります。
それぞれのライブ放送イベントでは、Micro Studio Camera 4Kで放送ブースの2人のキャスターを撮影、2台のURSA Mini 4Kカメラでメインアングルを撮影し、そしてもう1台のURSA Mini 4Kは移動式のENGカメラとして使用されている。すべてのカメラフィードは、Blackmagic Micro Converter SDI to HDIを経由し、ループスルーSDI出力はATEM Production Studio 4Kへと送信される。
一方、HDMI出力信号は再生機器へと送られてリプレイフィードがATEMへと戻される。Micro Studio Camera 4KはSDI入出力に対応しており、ATEM Production Studio 4Kからコントロール可能。また、HDMI入力にライブグラフィックを送信するグラフィックステーションも装備しており、すべてのオーディオは、ATEMおよびATEM Softwareと連動して起動しているMIDIボードを介してマスタリングされる。
Waterman Leagueは、パドルサーフィン/レースのツアーや試合を流したり、特別プロジェクトやライフスタイルコンテンツを紹介したりする2本のテレビ番組を制作することでツアーをサポート。これらの番組では、選手、開催地、ライフスタイル、その他パドルサーフィンに関わるコンテンツを紹介している。2012年以降、毎年すべてのツアーイベントがWebでライブ中継されている。Blackmagic Mini Converterを長年使用してきたこともあり、Waterman Leagueはライブ中継用にATEMスイッチャーを導入することを決めたという。
ボックスフォード氏:ATEMは非常にシンプルかつ直感的に使用でき、私たちが求める品質を提供してくれます。まさに私たちのニーズに適していたんです。そしてそこから、カメラの価値やプロダクション品質のレベルを見直し、Blackmagic Design製品を揃える方向に向かいました。今では、すべてのカメラがBlackmagic Designカメラです。ライブプロダクションにはATEM、ライブ中継のスタジオ設定にはBlackmagic Studio Camera、そしてウォータースポーツ系の高速アクションの撮影にはURSA Mini 4Kを使用しています。
すべてのウェブキャストを指揮するのは、Waterman Leagueのメディア監督 クリスチャン・ヘニング氏。ヘニング氏は、ATEM操作用のマクロを内蔵したスイッチング用のメインのコンピューターに加え、個人のコンピューターでもATEM Production Studio 4Kのソフトウェアコントロールを使用している。技術チームのメンバーは、全員がATEMソフトウェアを起動したコンピューターをメインコンピューターのバックアップとしてネットワークに接続しており、誰もがいつでも、オーディオのチェック、グラフィックのロード、緊急時のアシストなどに対応できる体制が整っている。
また、プログラムフィードはSDI経由でイベント会場のビーチおよびアナウンサーブースへと送信されており、再生機器で当日の放送からラインカットを作成している。SDI信号はエディターの元へも送信されている。エディターはその日のライブ中継から切り取ったハイライト映像を編集し、イベントが終了すると同時にリリースする。マスターフィードはエンコーダーおよびRTMPに送信され、世界中に配信される。
ヘニング氏:ライブ中継を初めて以来、ずっとATEMプロダクションスイッチャーを使用しています。ソフトウェアインターフェースには、オーティオ担当、技術監督、グラフィック担当など、複数のオペレーターが簡単に接続できます。2台のカメラのセットアップから始まりましたが、今ではBlackmagic Design製品を使って終日のパドルサーフィンのイベントを本格的なライブ中継として成立させ、世界中で行われるイベントをテレビ中継し、さらに世界中のファンたちに生の試合の感動を届けることができるまでに成長しました。
パドルサーフィン、パドルレースのワールドツアーでは、電子機器を使用するには最悪のコンディションでの撮影になります。どれだけしっかりと機材をカバーしても、空気に含まれた塩分、潮風、雨、波からのダメージは避けられません。
無人島や、ヨーロッパで過去50年間で最大規模の台風の中でライブ中継を敢行したこともありました。砂漠での撮影で気温が急上昇したため、バッテリーパックが溶け出したこともあります。このようなコンディションでも、Blackmagic Design製品はよく持ちこたえています。Blackmagic Designは、野外イベントの過酷な使用にも対応可能な耐久性を備えた製品を提供している唯一のメーカーであると、パドルサーフィンの撮影に関わる仕事を10年続けた私が自信を持って断言します。
過去に様々なカメラを使ってきましたが、私たちのライブプロダクション環境のニーズに最適なのはBlackmagic Designカメラです。ワークフローを通じて、一貫した品質で非常に高品質の画が撮れるのは本当に素晴らしいですね。すべてのアングルで、同じ高品質の4Kイメージを得られるのです。バンド幅の制限により4Kでの配信は行っていませんが、撮影はすべて4Kで行っているので、常に最高画質を得られます。