日本サムスン株式会社は、7月12日に東京ミッドタウンにて「Samsung SSD Forum 2018 Tokyo」を開催した。
今回で3回目となる同イベントでは、PCとサーバーだけではなく、映像機器やゲームの分野での製品活用方法を紹介。フルHDから4K/8Kに移ることによってデータ中心ではなく映像中心のストレージとして様々な技術が必要となり、HDDではできなかったことがSSDで実現できるようになるとしていた。
会場ロビーにはサムスンSSD製品の展示・活用方法の提案が行われた
同フォーラムの講演は、日本サムスン株式会社のChangsu Lee氏の挨拶から始まり、経済産業省、富士通株式会社などでの企業の取り組み紹介を始め、ビデオSALON編集長の一柳通隆氏による映像制作現場でのSSDの重要性や、プロゲーミングチームDeToNator代表の江尻勝氏によるeSportsとSSDの関連性などのプレゼンテーションが行われた。
日本サムスン株式会社 Changsu Lee氏による開会の挨拶
日本サムスン株式会社のChangsu Lee氏は「今年は8Kの衛星放送などが開始される予定で、ゲームのコンテンツも高容量となり、ストレージに求められる性能も高くなっています。時代の変化に貢献するために、サムスンは最先端のNANDのフラッシュを搭載した幅広いラインナップでSSDを準備しています。昨年に引き続き、SSDの持つ可能性の理解を深めていただくために今年もSSDフォーラムを開催させていただきます」と開会の挨拶を行った。
「映像制作現場においてSSDの重要性が増してきた!」
株式会社玄光社 月刊ビデオSALON編集長 一柳通隆氏
ビデオSALON編集長 一柳通隆氏は、これからの4K/8K制作でのSSD製品がどう関わってくるかを、今の映像市場について、そしてこれまで誌面やWebにて取り上げてきたSSDについての内容も交えて紹介した。
映像制作市場でのこれからの技術的な話題としては、4K/8Kや、HDR、グレーディング、RAWなどが挙げられるとし、これらは膨大なデータ量となるため、記録メディア(カード、SSD)の高容量と高速化が求められており、近年SSD関連の記事が増えているという。
SSDの需要が増えているのは、カメラにスロットインするカードでは容量が足りないことや、カードからデータをバックアップしたいというユーザーからの要望、編集時の高速ストレージの必要性が挙げられる。カメラで収録するための専用カードは高額かつ収録時間も長くはないため、これからは安価で収録時間も長いSSDで収録する時代がくるだろう。
4K60p素材を汎用のSSDで長時間かつ安価に撮影できる時代がきており、Blackmagic Designの「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」は、サムスンのT5をType-Cポートに接続することで12bitのRAW収録が直接記録可能となった。その他にも、Blackmagic Design URSA mini Proや、ATOMOS NINJA INFERNOでは、2.5インチSSDに記録可能だ。
一柳編集長は「今後急速に4K RAWが撮られる時代になり、映像業界でSSDが大量に必要になりますが、価格が高すぎるとどうにもできないという声が今年の秋ぐらいから出てくると思います。サムスンさんには価格を下げていただいて、映像業界の発展につなげていただきたいと思っています」とコメントしていた。
「Gaming TeamとSSD」
DeToNator代表 江尻勝氏
国内外のeSportsシーンで活動する日本のプロゲーミングチーム「DeToNator」。eSportsの現場でもSSDが必要とされている。ゲームをする際の環境はトラブルが少なく、ストレスフリーな環境が必要で、「速さ」「耐久性」「安定性」などが必須。SSDが必要な理由として、OSの起動時間や、ソフトウェアの処理速度が速い点や、HDDに比べて消費電力が低い点、衝撃にも強くてHDDよりも壊れにくい点、ポータブルSSD T5のようにデータの持ち運びにも便利で携帯することが可能な点を挙げていた。
DeToNatorは2015年9月より推奨コラボレーションモデルのPCを販売しており、PCにはSSD搭載が標準装備となっている。ストリーマーの活躍により配信プラットフォームが進化し、ゲームの配信が手軽になったため、高負荷なゲームが増加し、ハイスペックなPCの需要が増えたため、処理速度や耐久性が求められるSSDが必須となったとしている。
DeToNatorでは、SSDの性能を体感してもらうイベントや、SNSでのキャンペーンなども行っている。江尻氏は「PCがなくては活動ができないゲーミングチームにとって、パーツ1つ1つの普及が大切です。市場の拡大、認知されることに比例してゲーミングチームの活動もより大きくなっていきます。その中での重要な1つのパーツとしてSSDは大切なので、SSDについての情報を広めることはチームとって当たり前であり、今後もやっていきたいと思います」とコメントしていた。
SSDでつくる新しい未来
最後の挨拶を行う日本サムスン株式会社 金子根千氏
日本サムスン株式会社の金子根千氏は「今日ご登壇いただいた方々のお話を聞いて、個人的ではありますがすごく感銘をうけました。まず初めにイノベーションの進化をご説明いただいて、次にコンピューティングとストレージにおいて情報処理の発展性、次にデータセンサーにおけるデータ処理の進化と意味、放送と映像の大進化、全く新しいマーケットであるeSportsなど、この多様性というのはこれからの時代、新しい未来を作るという意味では本当にいいことだと思っています。これからは水平分業で皆様と横でつながって新しい価値をつくることが本当に重要だと思っています」とコメントしていた。
製品展示
4K/8K映像制作での活用方法を提案
4Kが収録可能な2台のカメラにATOMOS SHOGUN INFERNOを装着し、SSDとHDDで収録した映像を比較。SSDは問題なく記録可能だが、HDDは速度が追い付かないため映像がコマ落ちしてしまう。SHOGUN INFERNOには860 PRO(2.5” SATA SSD)などが対応している
ロケなどで撮影した素材を出先でネットワーク経由でサーバーにアップロードする場合、高速なネットワークのみならず、受け取る側のサーバーも高容量化かつ高速化が求められる。NF1規格に準拠したNVMe SSD PM983は最大15.36TBのNANDを実装でき、展示されていた1Uサーバー(36ベイ)では最大550TB以上の高密度サーバーが実現可能
4K編集、グレーディングに特化したノンリニア編集機EXALION-J200(JBS社製)。NVMe 2.5インチSATA SSD単体にくわえ、970 EVOを4枚差したRAIDボードが搭載されている
サムスンSSDを一堂に展示
メモリ規格Universal Flash Storage(UFS)準拠のリムーバブルメモリカード。32GB/64GB/128GB/256GBの4種類がラインナップされている
ポータブルSSD T5は、Samsung V-NANDフラッシュメモリとUSB3.1Gen2インタフェースを備えており、最大540MB/sの転送速度を実現。本体サイズは57.3mm×74mm、重さ51gとコンパクト・軽量設計
860 PROは、リテール市場向けてでは少なくなってきた2bit MLC NANDを採用した2.5インチSATA SSDで、従来のPC系ストレージ用途のみならず、4K動画記録や8Kコンテンツプレイヤーのメディアとしても採用されている。V-NANDテクノロジとアルゴリズムベースのコントローラを搭載しており、ハイエンドPC、ワークステーション、NAS(Network Attached Storage)など、⼤量のワークロードにも軽々と対応するという
860 EVOは、インテリジェントターボライトテクノロジーにより最大520MB/秒での連続書き込みが可能。連続読み込みは550MB/秒まで高速化される。ターボライトのバッファサイズは、前モデルの12GBから最大78GB(4TBモデルの場合)にアップグレードされており、ファイル転送がより高速化されている
970 PRO
970 EVO
970 PROおよび970 EVOは、5コアの新コントローラ「Phoenix」を採用し、SATAインターフェースよりも広帯域で低レイテンシのPCIe Gen3.0 x4レーンをサポートするNVMeネイティブのSSD。970 PROは、最大3,500/2,700MB/sのシーケンシャル読み出し/書き込み速度と、最大500,000 IOPSのランダム読み出し/書き込み速度を実現。970 EVOは、最大2TBの容量を片面実装で実現しつつ、最大3,500/2,500MB/sのシーケンシャル読み出し/書き込み速度と、最大500,000/480,000 IOPSのランダム読み出し/書き込み速度を実現。