Blackmagic Designの発表によると、LAに拠点を置くインデペンデント配給会社のMulticom Entertainment Groupが、フィルム修復ワークフローの一環として、Cintel Scanner、DaVinci Resolve Studio、UltraStudio 4K、DaVinci Resolve Mini Panelを使用しているという。
Multicom Entertainment Groupは、1,500本以上の映画を所有しており、そのうち200本以上はフィルムである。専務取締役のアンドリュー・バリッツ氏は次のようにコメントしている。
バリッツ氏:弊社のワークフローを見ると、外部のポストハウスと提携するよりも、独自のポスト・ワークフローを構築する方が、時間およびコストの面で効率的であることは明らかでしょう。特に私たちのように大規模なライブラリを有している場合、HDやUHDのフィルムスキャンを外注すると、多大な時間と費用がかかります。
2017年の半ばにCintel Scannerを購入して以来、Multicom Entertainment Groupは20本以上の映画を修復してきた。これらの中には、アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー「ロング ウェイ ホーム 遥かなる故郷 イスラエル建国の道」、ホラー映画「恐怖のアルカトラズ/ヘル・デッド」、古典的物語「ピノキオ」、伝記ロマンス「草の上の月」が含まれており、「草の上の月」は、2018年9月にブルーレイの発売が予定されている。
バリッツ氏:Cintel Scannerを使って24本ほどの映画を修復してきました。そして現在も5本の映画を修復している最中です。多くの映画はリールを5本使用しており、リリースされた映画に加えて色参照用のオリジナルネガティブ(ON)を使用することもあるため、これまでにキャプチャしたリールは100~200本でしょうか。これは100TB近いRAWスキャンデータになります。
Multicom Entertainment Groupは、Cintel ScannerとCintel Audio and KeyKode Readerを併せて使用して35mmおよび16mmフィルムをスキャンし、その後DaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Mini Panelを使用して修復作業を行っている。さらに、同社のチームはUltraStudio 4K、Teranex 2D Processor、複数のDeckLinkキャプチャーカードもワークフローの一環として使用している。
バリッツ氏:スキャンして編集ベイに移動した映画は、DaVinci Resolveを使ってカラーコレクション、グレイン除去、オーディオ抽出、スタビライゼーションを行います。
エディターのメニ・フィリップ氏は、10年前にベルリンで初めてDaVinci Resolve Studioを使用して以来、その使用感を“マッスルメモリーの訓練”と表現している。RGBなどのコントロールパネルのノブ、キーボード、カラーホイールなど、DaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Mini Panelを多面的に使用することが、ワークフローの効率化につながったとフィリップ氏は語る。
フィリップ氏:パネルを使うことでスピーディかつ正確な操作が可能なので、マウスを使うことはほとんどありませんね。
フィリップ氏によると、このシステムではカラーコレクションやグレイン除去以上のことができるという。DaVinci Resolve Studioは、カラーをRGBと輝度に分離して別々にコントロール可能なので、映画の全体的なカラー修復をより精密にコントロールできるという。フィリップ氏は、この技術を駆使してグレーディングの問題を解決し、1982年制作の「CIA殺しの報酬」の修復作業を行った。
フィリップ氏:フィルムが色褪せてしまっていたとしても、DaVinci Resolve Studioを使うことで、高品質な結果が得られます。問題の多いフッテージでも、簡単に修復できます。
私たちはまた、Cintel Scannerを使って、スタビライゼーションやスキャンしたファイルのマスタリングも行っています。品質は素晴らしいですね。特にこの製品の価格を考えるとなおさらです。リアルタイムで作業できるので、非常にスピーディかつ効率的にスキャンして作品を即座に差し替えできます。
35mmのオリジナルネガティブ(ON)、インターポジティブ(IP)、インターネガティブ(IN)、そしてリリース版から、16mmのON、IP、IN、そしてA/Bプリントまで、様々なフィルムストックをスキャンしてきました。私たちが所有している映画は、様々な年代に様々なフォーマットで制作されたものです。自社内でプロ仕様の映画を柔軟にキャプチャできることにより、35mmで撮影できなかった過去の作品も蘇らせることができるのです。