Blackmagic Designは、「DaVinci Resolve 16」を発表した。DaVinci Resolve 16のパブリックベータ版は同社Webサイトから無償でダウンロード可能。

新たに追加されたエディットページの代替ともなるカットページでは、読み込み、編集、トリム、トランジションの追加、タイトルの作成、自動カラーマッチ、オーディオミキシングなどの作業が行える。エディットページは今まで通り使用できるため、編集のスタイルに合わせてエディットページとカットページを編集中に切り変えることも可能。

納期の短いハイエンドの作業に取り組むエディター用にデザインされたカットページ

カットページは、ソーステープモードやA/Bトリムツールなどの馴染みのあるコンセプトを用いて、従来のワークフローが抱える課題に挑戦しているとし、過去の機能に根差した、新しい2つの機能が追加された。何百ものファイルが入ったビンの中から目当てのクリップを探す作業は時間がかかるが、ソーステープモードでは、必要なクリップを見つけるために時間をかけてビンを探し回る必要はなく、ソーステープボタンをクリックするだけで、ビン内のすべてのクリップが、あたかも単一の”テープ”に収録されているようにビューアに表示される。これにより、全ショットを簡単にスクラブでき、必要な場所を見つけ、タイムラインにすばやく編集できるとしている。

ズームイン/アウトやタイムラインのスクロールでの作業は時間がかかる。新しいカットページにはデュアルタイムラインが搭載されているため、ズームイン/アウトを行う必要はない。上のタイムラインはプログラム全体を表示し、下のタイムラインは作業中のエリアを表示する。どちらのタイムラインも完全に機能するので、作業に便利な方のタイムラインを使ってクリップの移動やトリムが可能。プログラムの最後にクリップを移動させるには、下のタイムラインで該当のクリップを選択し、上のタイムラインの末尾にドラッグするだけだ。

新しく搭載されたDaVinci Neural Engineは、最先端のニューラルネットワークと学習システム、人工知能(AI)を採用。これらを使用した、スピードワープのリタイミングの動き推定、フッテージをアップスケールするSuper Scale、自動カラーおよびカラーマッチング、顔認識などの新機能が追加された。DaVinici Nural Engineは、完全なクロスプラットフォーム対応で、最新のAIおよびディープラーニング用のGPUイノベーションを使用しているため、比類ない性能と品質を得られるという。DaVinci Neural Engineは、複雑で、反復的に生じる、無駄な時間を要する問題に対処するシンプルなツールをユーザーに提供する。例えば、DaVinci Neural Engineは高度な顔認識ツールで、出演者たちの顔の映像を基に、クリップを自動的にビンに分類し、整理する。

DaVinci Resolve 16の他のページにも、ユーザーの要望に応える多数のパワフルな新機能が追加された。新機能の「クリップ調整」は、下にあるタイムラインのクリップにエフェクトやグレードを適用できる。「クイックエクスポート」はアプリケーション内どこからでもYouTubeとVimeoにプロジェクトをアップロードできる。さらに、新搭載のGPUアクセラレートスコープは今まで以上に豊富な技術モニタリングのオプションを搭載している。

Fairlightページも大幅にアップデートされ、弾性波アラインメントが追加されたため、ビデオの台詞の置き換えで波形を引き伸ばして正確に同期できるようになった。それ以外にも、没入型3Dオーディオのサポート、新しいバストラック、自動プレビュー、台詞スイートニング、新たなFairlightFXなどの機能も追加された。

DaVinci Resolve 16 Studioでは、既存のResolveFXを大幅に改善。新しいResolveFXプラグインが追加され、ビネット、ドロップシャドウ、オブジェクト除去、アナログノイズやダメージの追加、色収差、ビデオの様式化などの様々な機能が使用できる。さらに、走査線、ビューティー、フェイス修正、ブランキングフィル、ワープ、デッドピクセル修正、カラースペース変換プラグインなども改善された。また、エディットページのタイムラインのカーブエディター、あるいはカラーページのキーフレームパネルで、ResolveFXの確認および編集が実行できるようになった。DaVinci Resolve 16の主な機能は以下の通り。

(以下、プレスリリースより引用)

  • DaVinci Neural Engine。AIおよびディープラーニング機能を搭載
  • デュアルタイムライン。ズームやスクロールなしで編集やトリムを実行。
  • ソーステープモード。全クリップを単一テープのように確認。
  • トリムインターフェース。編集点の両側を表示してトリム。
  • インテリジェント編集モード。クリップを自動同期して編集。
  • クリップの長さに応じたタイムラインレビュー再生速度。
  • リタイム、スタビライズ、変形用のツール内蔵。
  • プログラムをレンダリングしてYouTubeまたはVimeoに直接アップロード。
  • ボタンを使用してメディアを直接読み込み。
  • スケーリング可能なインターフェースでラップトップでの作業に対応。
  • フレームレートや解像度の異なるプロジェクトを作成。
  • 複数のクリップに同時にエフェクトを適用。
  • DaVinci Neural Engineの顔認識でビンを自動作成。
  • フレームレート変換および動き推定。
  • カットページおよびエディットページでイメージスタビライズ。
  • カーブエディターのイーズイン/イーズアウトコントロール。
  • テープ方式のオーディオスクラブ。ピッチ補正対応。
  • 変更されたファイルのみを再エンコードしてレンダリングを高速化。
  • Frame.ioの統合によるリモートコラボレーション。
  • Fusionの3D作業のGPUパフォーマンが向上。
  • クロスプラットフォーム対応のGPUアクセラレートツール。
  • Bスプラインやビットマップを含むマスク作業をアクセラレート。
  • 平面トラッカーのパフォーマンスが向上。
  • ユーザーキャッシュとスマートキャッシュが高速化。
  • GPUアクセラレートスコープ。高度な技術モニタリングが可能。
  • カスタムカーブとHSLカーブがヒストグラムオーバーレイに対応。
  • DaVinci Neural Engineの自動カラーと自動ショットマッチ。
  • 同期したSDI出力にビューアのズームを反映。
  • 没入型3Dオーディオのミキシングおよびマスタリング。
  • 弾性波オーディオのアラインメントとリタイム。
  • タイムラインのバストラック。オートメーション対応。
  • フォーリーサンプラー、周波数分析、ダイアログプロセッサー、FairlightFX。
  • 500種類のフォーリーサウンドエフェクト。著作権使用料無料。
  • コラボレーションワークフローの共有マーカーおよびメモ機能。
  • コラボレーションプロジェクトでユーザー別のキャッシュを使用。
  • Resolve FXプラグイン。キーフレーム対応。

なお、DaVinci Resolve 16は、2019年4月8日から11日(米国時間)に米国ラスベガスで開催中のNAB2019の同社ブース(サウスホール/SL216)にて展示されている。