8Kの時代が現実的に

ブラックマジックデザイン株式会社は、2019年5月9日~10日に、東京・目黒区にある同社のショールームにてNAB2019で発表された新製品を紹介するイベント「NAB2019新製品展示会」を開催した。

同展示会は、今年のNABで発表した新製品を実機展示する国内最初のイベント。ATEM Constallation 8Kを始めとする8K製品や、数多くの新機能を搭載したDaVinci Resolve 16、DaVinci Resolve Editor Keyboardなどを展示。さらに、今年3月に発表されたURSA Mini Pro G2やDeckLink Quad HDMI Recorderのほか、Fairlight ConsoleやATEMシリーズを使用したモバイル4K60pシステムなどライブ/ポストプロダクションの両方に活用できる様々なソリューションも紹介していた。

同社がNAB2019で発表した新製品のポイントはやはり「8K」。これまで同社は4Kに対応した様々な製品を発表してきたが、今回ついに8K対応製品を登場させた。8K対応製品誕生の経緯について、同社の岡野氏は「CEOのグラント・ペティが2年前のInterBEEに来日した際のNHKブース視察や、ユーザーとのミーティングにて、日本では8Kへの関心が高まっていると聞いて8K製品を制作することになりました。ですので、海外というよりは日本のお客様に向けて開発されました。これほど日本向けの新製品を発表したNABはないかと思います」とコメントしていた。

■HyperDeck Extreme 8K HDR

タッチスクリーンUIを採用したデッキ。H.265ファイル、内部キャッシュ、3D LUT、ネイティブ8K、HDRなどをサポートしている。波形モニター機能をフル装備しており、波形表示は、入力または再生信号の輝度レベルを表示する。ベクトルスコープでは、SDIリファレンスレベルの100%を確認可能。

さらに、Teranex Expressを使用することで、テープをSDからHDにワンステップで変換でき、複数のフォーマットが扱える。Digital Betacam、1インチCフォーマット、Betacam SPなどの多様なデッキをコントロール可能。2019年7月に出荷開始予定。希望小売価格は税別567,800円。

■ATEM Constellation 8K

8K DVE、8Kコンバート入力、8KSuperSource、8Kクロマキー、8Kマルチビューなどに対応したライブプロダクションスイッチャー。8Kモードに切り替えるとそれぞれの機能が統合され、8Kスイッチャーとしても使用可能。コンパクトな2Uラックマウントサイズにコントロールパネルを内蔵。大画面LCDが搭載されており、プログラム出力の確認や、スクリーンメニューでのスイッチャー設定の変更が可能。2Uラックサイズのスイッチャーの背面には、40個の12G-SDI入力、24個の12G-SDI Aux出力、バランスオーディオ、イーサネット、RS-422コントロール、そして内蔵のFairlightオーディオミキサー用のMADIデジタルオーディオ入力が搭載されている。現在発売中で、希望小売価格は税別1,138,000円。

■Teranex Mini SDI to HDMI 8K HDR

大画面テレビやビデオプロジェクター向けの8Kモニタリングソリューション。フロントパネルはボタンおよびビデオモニタリング用カラーディスプレイを搭載している。HD、Ultra HD、8Kフォーマット用にクアッドリンク12G-SDIをリアパネルに搭載。クアッドHDMI入力を使用する8Kテレビ用に4つのHDMI出力を搭載しており、さらにUltra HDやHDテレビで8Kソースを使用できるようにダウンコンバーターも搭載している。また、2SI(2サンプル・インターリーブ)とスクエアディビジョンを自動的に変換可能。

また、33ポイント3D LUTを搭載しており、接続したディスプレイをキャリブレーションすることも可能。サードパーティ製のUSBカラープローブを接続することで、Teranex Mini SDI to HDMI 8K HDRがモニターを分析し、ディスプレイ間の色の違いを修正する3D LUTを生成する。2つの独立した3D LUTをロードでき、フロントパネルから選択できる。2019年6月発売開始予定。希望小売価格は税別147,800円。

■Blackmagic MultiDock 10G

USB-C対応のマルチSSDリーダー。1本の10Gb/s USB-C接続で、4枚のSSDにアクセス可能で映画・テレビ業界に向けて特別に設計されている。単一のUSB-Cで4枚すべてのディスクに接続できるだけでなく、Blackmagic MultiDock 10Gの1つ目のUSB-Cコネクターで2枚のディスク、2つ目のコネクターで他の2枚のディスクを接続できる。また、ラックマウント式のデザインで、各ディスクに個別のSATAドライバーチップを搭載しているため、超高速のデータ転送速度を実現できるとしている。HyperDeck ExtremeでSSDを使用したい場合にも適している。2019年6月発売予定、希望小売価格は税別67,980円。

■Blackmagic Pocket Camera Battery Grip

Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K用に設計されたバッテリーホルダー/ハンドグリップ。標準仕様のLP-E6の代わりに、2個のLシリーズバッテリーを使用でき、1回の充電で2時間以上の収録が可能。カーボンファイバー製の独自のデザインに、滑り止め付きのグリップを搭載しており、スライドトレイには2個のLシリーズバッテリーを取り付けられるため、長時間でも楽にカメラを持つことができるとしている。さらに、カメラの12V DC接続からグリップのバッテリーを充電できるため、テイクの合間にリチャージも可能。2019年8月発売予定、希望小売価格は税別27,980円。

会場にはBMPCC 4KとSamsung Portable SSD T5を組み合わせた展示も行われていた。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4KにはUSB Type-C(USB-C)拡張ポートが搭載されており、T5を付属のUSB Type-C to Cケーブルと接続して、撮影データを収録することができる

■DaVinci Resolve 16

学習機能が搭載され、顔認識、スピードワープ、自動カラーバランスおよびショットマッチ、オブジェクト除去など、100項目以上の新機能が搭載された。新たに追加されたエディットページの代替ともなるカットページでは、読み込み、編集、トリム、トランジションの追加、タイトルの作成、自動カラーマッチ、オーディオミキシングなどの作業が行える。エディットページは今まで通り使用できるため、編集のスタイルに合わせてエディットページとカットページを編集中に切り変えることも可能。

カットページはシンプルな構成となっており、左上がソースクリップ、右上がビューア、下はデュアルタイムラインとなっている。ズームイン/アウトやタイムラインのスクロールでの作業は時間がかかるが、デュアルタイムラインの搭載によりズームやスクロール不要で編集やトリムを実行可能。

ユーザーからの要望に応えた新機能「クイックエクスポート」では、アプリケーション内のどこからでもYouTubeとVimeoにプロジェクトをアップロード可能。

エディットページのタイムラインのカーブエディター、あるいはカラーページのキーフレームパネルで、ResolveFXの確認および編集が実行できるようになった。

DaVinci Resolve 16と同時リリースのFusion Studio 16。DaVinci Resolve内のFusionで改善された要素を、スタンドアロン型のFusionにすべて反映するメジャーアップグレード

■DaVinci Resolve Editor Keyboard

Blackmagic Designは、DaVinci Resolve用のリニア編集キーボード。両手で同時に作業可能で、マウスを使用する編集とは異なり、左手でイン点/アウト点を設定したり、編集を適用しながら、右手を使ってクリップ内での位置を操作でき、移動、イン点/アウト点のマーク、編集の適用、再び移動などを実行し、それらの作業を何度でも繰り返し行うことが可能。マウスを使った編集より格段に速い編集スピードを実現するとしている。2019年7月発売開始予定で、希望小売価格は税別113,800円。