高速・高精度AF、ボディ内手ブレ補正、4K動画撮影も可能なミラーレスデジタルカメラ登場

富士フイルムは、1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載したミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」を2019年6月下旬に発売する。希望小売価格はオープン、ボディのみの市場想定価格は税別122万5,000円前後。

ミラーレスデジタルカメラGFX100

東京・晴海のイベントスペース「CROSS DOCK HARUMI」で新製品発表会が行われた。その様子を紹介しよう。

発表会の会場となったCROSS DOCK HARUMI。2019年5月25日、26日には富士フイルムGFX&Xシリーズ・ファンミーティングイベント「FUJIKINA 2019 東京」が行われる

登壇した代表取締役会長・CEO 古森重隆氏

GFX100を紹介する光学・電子映像事業部長 飯田年久氏

GFX100は、新たに開発した1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載。対角線の長さが約55mm(横43.8mm×縦32.9mm)で、35mm判の約1.7倍の面積を持つGFXシリーズのイメージセンサーの特長はそのままに、現行機と比べて画素数を倍増。

搭載するイメージセンサーの対角線の長さが約55mm(横43.8mm×縦32.9mm)。35mm判の約1.7倍の面積を持つ

像面位相差画素を配置した裏面照射型センサー構造

イメージセンサーには、受光性能に優れる裏面照射型構造を採用。高画素でありながら、広いダイナミックレンジを活かした豊かな階調再現と低ノイズを実現するとともに、画像データの高速読み出しも可能だとしている。

現行機の最大約2倍の高速で動体追従性にも優れたAFを実現。378万の像面位相差画素をイメージセンサー全面に配置(カバー率約100%)したことで、被写体がフレーム内のどの位置にいても素早く被写体をとらえることができるという。さらに、ミラーレスデジタルカメラ「Xシリーズ」の「FUJIFILM X-T3」「FUJIFILM X-T30」に搭載している、最新の位相差AFアルゴリズムをGFXシリーズにも採用。「シングルポイント」のみならず、「ゾーン」「ワイド/トラッキング」の各フォーカスエリアにおいて高速・高精度AFを実現するという。

ボディ内5軸・最大5.5段手ブレ補正機構を搭載。センサーシフト式の特長を生かし、上下・左右の角度ブレ(ピッチ・ヨー)のみならず、縦・横平行のシフトブレや回転ブレにも対応。シャッターユニット全体を4つのスプリングで支持し、シャッター時に生じる振動の影響も極限まで抑制しており、1億2百万画素による高解像写真の手持ちでの撮影領域を拡大している。

約576万ドット有機ELパネルと、非球面レンズを含む5枚の光学ガラスを採用した電子ビューファインダー(EVF)を新開発。ファインダー倍率0.86倍・視野率約100%も実現しており、極めて高いピント精度が求められる1億2百万画素イメージセンサーによる撮影でも、正確なフォーカシングが可能だとしている。

高速画像処理エンジン「X-Processor 4」と高速読み出しが可能な新イメージセンサーの組み合わせにより、毎秒30フレームの滑らかな4K動画撮影が可能。デジタルシネマカメラで一般的なDCIフォーマット(アスペクト比17:9)を選択した場合、対角線約49.5mmの撮像サイズとなる。

約5050万画素分の情報量を用いたオーバーサンプリングによる入力であるため、解像力の高い映像表現が可能。また、H.265/HEVC、F-Logモード、ハイブリッド・ログ・ガンマ(HLG)規格に対応。さらに、フィルムシミュレーションにGFXシリーズとして初めて、同社映画用フィルムの色・階調を再現した「ETERNA(エテルナ)」モードも搭載している。

「16bit RAW」「16bit TIFF」記録に対応し、撮影後のレタッチ耐性を大幅に向上。

タッチ&トライコーナーでGFX100の実機をチェック

タッチ&トライコーナーで展示されていた実機の様子を紹介しよう。展示されていたデモ機の完成度はほぼ完成に近いもので、ファームウェアのバグつぶしが残っているぐらいだという。

実機を見た瞬間に気になったのは本体の色だ。従来のGFX 50SやGFX 50Rはブラックだったが、GFX100では独特のカラーを採用。X-T3では黒とシルバーの2種類が用意されていたが、GFX100のカラーは1種類のみ。ボディの材質には、マグネシウム合金製を採用。フロントとリアなど、4パーツぐらいに分かれて組み合わせてできている。

GFX100のイメージセンサーは自社開発されたもの。センサーサイズは、従来のGFX 50SやGFX 50Rと同じ。GFX 50SやGFX 50Rの画素ピッチは5.3μmだったが、GFX100の画素ピッチは3.8μmと大幅に小さくなっている。画素ピッチは小さくなるとノイズが高くなりそうだが、従来よりも抑えられている。

GFX 50SやGFX 50Rの電子ビューファインダーは368万ドットだったが、GFX100は576万ドットと解像度が大幅に上がっている。ユニット自体はGFX 50Sとほぼ同じ形状だが、有機ELのパネルやリフレッシュレートはまったく違うものが採用されている。

電子ビューファインダーは取り外しが可能。GFX 50Sのオプションとしてラインナップされている横位置撮影時で0°~90°、縦位置撮影時で-45°~+45°の範囲でEVFの装着角度を可変できる「EVF-TL1」を使うことができる。

富士フイルムのデジタルカメラの記録メディアはSDカード対応のものが多いが、GFX100でもSDカードに対応。動画撮影の際にはUHS-IIIなどの高速なメディアを推奨している。

上はUSB Type-C対応。USB PD規格対応機器より給電・充電とデジタル入出力に対応。下がHDMIマイクロ端子。外部レコーダーを使うことで4K 30p 10bit 4:2:2の記録が可能。

バッテリーは従来のGFXシリーズと同じ「NP-T125」が引き続きGFX100でも採用。専用バッテリーは標準で2個入る仕様で、2個で800枚の撮影が可能。バッテリー1個でも動作できる。

ボディ天面には、静止画・動画・マルチショットの3つのモードを瞬時に切り替えられる「ドライブモードダイヤル」を搭載

フィルムシミュレーションに映画用フィルムのETERNAモードをGFXシリーズとして初めて搭載。ETERNAモードは、彩度を落として暗部を上げるのを特徴としていおり、ポートレートに向いている。

3.2型・3方向チルト対応の背面液晶モニターに加え、2.05型背面サブモニターを搭載。動画撮影時の設定に変えることもできる。