Blackmagic Designは、モニタリング/収録ソリューションの新モデルとして「Blackmagic Video Assist 12G HDR」を2019年9月に発売する。希望小売価格は5インチモデルが税別89,980円、7インチモデルが税別113,800円。
Blackmagic Video Assist 12G HDRの各モデルは、デッキコントロールに対応したタッチスクリーン・ユーザーインターフェースに加え、大型スクリーンを搭載。7インチモデルは、2つのメディアスロットも搭載している。Ultra HD用の12G-SDI、オーディオ用のアナログ入力、USB-C外付けディスク収録、フロントパネルスピーカー、側面のヘッドフォンジャックは、両モデルに搭載されている。背面には、Sony Lシリーズバッテリーに対応した、2つのバッテリースロットを搭載。国際対応の12V電源を搭載しており、スタジオあるいはロケ先で接続して使用できるとしている。
背面にはSony Lシリーズバッテリーに対応した2つのバッテリースロットを搭載
2500nitのディスプレイは、民生用のカメラに付いている小さなディスプレイより大型。また、カメラにプロ仕様のフォーカスアシスト機能や、より高品質のファイルフォーマットを追加可能。Video AssistはApple ProRes、Avid DNx、Blackmagic RAWで収録可能。HDMIと12G-SDI入力を搭載し、民生用および放送カメラだけでなく、DSLRカメラにも接続可能。また、Blackmagic RAWをサポートしているカメラでは、RAWスタイルのワークフローにアップグレードできるという。
LCDタッチスクリーンには、再生、停止、収録ボタンが搭載されており、さらにミニタイムラインでは収録したコンテンツをスクロールできる。イメージをスワイプして、ジョグすることも可能だ。LCDには、タイムコード、ビデオフォーマット、メディアステータス、オーディオメーターのヘッドアップディスプレイが表示される。タッチスクリーンで、スコープ、フォーカスアシスト、露出アシストを有効にできる。さらに、3D LUTのロードおよび保存も可能。
記録はSDカード、あるいはUHS-IIカードに長時間の収録が可能。7インチモデルでは、SDカードスロットを2つ搭載しており、収録中でもフルになったカードを交換でき、半永久的に収録を継続できる。他の種類のメディアに収録する必要がある場合は、USB-C拡張ポートで接続した外付けフラッシュディスクに収録可能。Blackmagic MultiDock 10Gを接続することで、SSDとの互換性を追加できる。また、タッチスクリーンに外付けディスク管理用のオンスクリーンメニューも搭載されている。
多数のビデオおよびオーディオインターフェースを搭載しており、マルチレートの12G-SDIを使用することで、SD、HD、Ultra HDのSDI機器に接続可能。HDMIも搭載しているため、HDMIカメラに接続でき、また民生用のテレビやビデオプロジェクターに接続してモニタリングも可能。7インチモデルにはミニXLR入力を搭載しており、マイクおよび外部オーディオミキサーのオーディオ入力を接続可能。さらにロック式12V DC電源コネクターも搭載している。
また、HDRフォーマットをサポートし、広色域の高輝度スクリーンを搭載しているため、いつでも最新のHDRワークフローに対応できるとしている。内蔵スコープは、HDRフォーマットでの作業時にはHDRスコープとして使用できる。ファイルには適切なHDR情報がタグ付けされ、SDIおよびHDMI入力はHDRビデオフォーマットを自動的に検出する。PQおよびHLGフォーマットの静的メタデータは、ST2084規格に基づいて扱われる。LCDの色域は今まで以上に広いため、Rec.2020およびRec.709のカラースペース両方を扱うことが可能。Video Assistに内蔵されたLCDの色域は、100%のDCI-P3もサポートしている。
Video Assistには、内部波形モニタリングに対応。波形表示は、ビデオ入力あるいは再生信号の輝度(明るさ)レベル・ビューを従来的な方法で表示する。ベクトルスコープでは、SDIリファレンスレベルの100%を確認可能。また、RGBパレード表示にも対応しており、カラーコレクションや不正レベルのチェックに使用できる。ヒストグラムは、イメージ内のホワイトからブラックへのディテールの分布を示しており、ハイライトやシャドウのクリッピングが確認可能。内蔵のスコープは、ライブビデオにオーバーレイ表示、またはスコープの右上にピクチャー・イン・ピクチャーで表示できる。
SDIおよびHDMI接続はマルチレートであるため、SD、HD、Ultra HDを扱える。SDフォーマットには、NTSCおよびPALが含まれる。720p HDフォーマットには720p50および59.94p、1080i HDインターレースフォーマットには1080i50および59.94が含まれ、1080p HDフォーマットには1080p23.98、24、25、29.97、30、50、59.94、60が含まれる。1080PsFにも対応している。Ultra HDは2160p59.94までサポート。さらに、25pまでの2Kおよび4K DCIでの収録にも対応しており、デジタルフィルムの作業が可能。
Video Assistは、17および33ポイント3D LUTファイルをサポート。あるいは、Extended Video、Film to Video、Film to Rec.2020などの内蔵LUTを使用することもできる。
10-bit ProResファイルおよびDNxファイルをあらゆるフォーマットで収録可能。また、Blackmagic RAW対応カメラでは12-bit Blackmagic RAWで収録できる。
Blackmagic Video Assist 12Gは、プロ仕様のオーディオレコーダーを内蔵。SDIフォーマットで作業する場合、2、4、8、16チャンネルのオーディオをリアルタイムに収録可能。7インチモデルは、マイクの接続用にファンタム電源対応のXLRアナログオーディオ入力を2つ搭載している。これらのコネクターは、192kHzのHDオーディオサンプルレート(非圧縮16/24-bit)をサポート。モニタリング用のオンスクリーン・オーディオメーターは、VUまたはPPMから選択可能。
日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ドイツ語、フランス語、ロシア語、イタリア語、ポルトガル語、トルコ語と、複数の言語に対応している。
メディアはexFATまたはHFS+にフォーマット可能で、メディアをコンピューターに接続するだけで、通常のディスクのようにファイルに簡単にアクセス可能。DaVinci Resolveは、編集、カラーコレクション、オーディオ・ポストプロダクション、VFXがすべて1つのソフトウェア・アプリケーションに搭載されているため、Video Assistとの使用に最適だとしている。Blackmagic Video Assist 12Gの主な機能は以下の通り。
(以下、プレスリリースより引用)
- ライブプロダクション、デジタルサイネージ、アーカイブ作業をサポート
- すばやい操作が可能なタッチスクリーンコントロールに対応したモダンデザイン
- 高品質なモニタリングおよび収録コーデックを追加して、カメラをアップグレード
- 大画面のLCDスクリーンでデジタルフィルムスタイルのフォーカスアシストツールを使用
- 一般的に購入可能なメディアであるSD/USH-IIカードをサポート
- 外付けUSB-Cメディアディスクへ直接収録
- SD/HD/Ultra HD収録に対応した12G-SDIおよびHDMI
- 高度なHDRサポート、2500 nitsの明るい広色域LCD
- 波形、ベクトル、パレード、ヒストグラムなどのスコープを内蔵
- 最新のマルチレート12G-SDIテクノロジーで、SD/HD/Ultra HDに対応
- 3D LUTはモニタリングと収録の両方に適用可能
- ポピュラーなソフトウェアと互換性のある標準のオープンファイルフォーマット
- Blackmagic RAWをサポートするサードパーティ製カメラからBlackmagic RAW収録
- プロ仕様のマルチチャンネル・デジタル/アナログオーディオ
- 11ヶ国語のユーザーインターフェース
- DaVinci Resolveなどの人気NLEソフトウェアと機能
Blackmagic DesignのCEO グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。
オリジナルのBlackmagic Video Assistモニター/レコーダーは、旧式のカメラをアップグレードできる人気製品で、テレビ業界の一般的な放送分野において幅広く使用されています。
ハリウッドのユーザーからの意見を取り入れたこれらの新モデルは、著しい進化を遂げています。より高輝度のLCDスクリーン、12G-SDI、Blackmagic RAW、改善されたフォーカスアシストツール、プリセット、3D LUTなど、多数の機能を搭載しており、非常にエキサイティングな製品です!
なお、Blackmagic Video Assist 12G HDRは、2019年9月13日~17日までオランダ・アムステルダムで開催される国際放送機器展「IBC 2019」の同社ブース(ホール7/ブースNo.B45)にて展示される。