Blackmagic Designの発表によると、アストロデザイン株式会社が、同社の新しい8KリアルタイムMTF測定装置「IP-8030」にBlackmagic DesignのDeckLink 8K Proを採用したという。IP-8030は、NHKの技術協力を受けて開発した製品で、今後、多くのテレビ局やカメラ/レンズメーカー、レンタル会社などで4K/8Kなどの高解像度カメラシステムのテストに使用される予定。

アストロデザインは、リアルタイム信号処理技術を得意とし、多くの4K/8K製品を自社開発している。同社のIP-8030は、DeckLink 8K Proでキャプチャした8K映像をコンピューターで解析することで、カメラとレンズを含むシステム全体の空間解像度特性(MTF)を測定することができる。

開発の経緯についてアストロデザイン株式会社の事業戦略部リーダー 佐藤仁氏は次のようにコメントしている。

佐藤氏:カメラはどれを選べばいいのか?レンズやその他の周辺機器をつけると、どこまでの解像度が担保されるのか?経験者が見た目で判断していた解像度を数値化したいというニーズは今までもありました。特に高解像度のカメラになればなるほど、そういった指標が求められています。

今までもMTFを測定する方法はあったそうだが、画角の設定がシビアであったり、一度収録してから解析する必要があったりと、リアルタイムで測定はできなかったという。

佐藤氏:DeckLink 8K Proを組み込んだおかげで、8Kの映像をそのままキャプチャーでき、しかも、レンズを操作しながらリアルタイムでMTF測定が可能になりました。

また、DeckLink 8K Proがリリースされる以前は、この装置も4K対応だったという。同社の技術四部 プロジェクトリーダーの足立陽平氏は次のようにコメントしている。

足立氏:4K/8K放送が始まってから、特に8K対応への要求が高まってきて、そこで8Kを扱えるキャプチャーカードというと、開発を開始した当時はDeckLink 8K Pro以外に選択肢はありませんでした。

便利なのはSDIのアンシラリに重畳されたカメラ・レンズメタデータをデコードできる点です。カメラはレンズと通信していて、アイリスやフォーカス距離などといった情報をカメラ側で受け取れるんです。以前は、手でメモを取っていたのですが、そういったレンズメタデータもDeckLinkを経由して測定アプリケーションで表示・記録できるようになり、非常に便利になりました。また、DeckLinkがSDI信号のPayload IDを認識し、12G-SDIや6G-SDIといった映像フォーマットの違いを意識せずに映像をキャプチャできるところが使いやすいです。

IP-8030のシステムは最小構成でアプリケーションとライセンスのみで販売している。すでにDeckLink 8K Proを所有していれば、それを使ってアプリケーションを使用可能。また、8Kでの測定を必要としない場合、Thunderbolt 3で接続可能なキャプチャデバイス(UltraStudio 4K Miniなど)も使用可能なため、ニーズに合わせてキャプチャデバイスを選択可能だとしている。Thunderbolt 3での接続という点では、従来のワークステーションだけではなく、ノートPCやタブレットPCでもMTF測定が可能になった。

佐藤氏:将来的にはこのMTF測定システムを国際標準にしていきたいと思っています。業界内の共通言語としてMTFの値を使っていけば、より質の高い8K作品が広まっていくのではと考えています。