シグマのカメラユーザー限定イベントで、フルサイズFoveonセンサー搭載カメラの白紙を発表

シグマは2月8日、東京都千代田区の日比谷国際部ビルにてSIGMA fpを更に楽しむための「fpフェス 2020春」を開催した。fpフェスは、シグマカメラユーザーの限定イベント。シグマユーザーのみの招待制イベントで、約120~150名のシグマカメラユーザーが集まった。

イベント内容は、展示を見るというよりは椅子に座ってステージを楽しむイベントで、プロジェクトリーダーによるfp開発秘話や、THE GUILDの安藤剛氏によるスペシャルトーク、山中有監督による全編fp撮影・オリジナル短編映画特別先行上映などが行われた。

シグマは新製品の体感を目的とする貸出し体験会などを定期的に行っているが、fpやFoveonセンサー搭載のカメラユーザーが集まって、いろいろなものを共有や情報交換したり、親睦を深めることを目的としたイベントは今回が初めてだという。

同社代表取締役社長 山木和人氏の登壇でイベントはスタート。山木氏から「この場をお借りしてご報告しなければならないことが2つございます」とまさかの思いがけない重い発表で始まった。

1つ目は、シグマが取り組んでいるフルサイズFoveonセンサーのカメラの開発状況に関する報告で、2020年度中の発売ができなくなったと発表。シグマはCP+2019のステージイベントでにて、フルサイズFoveonセンサー搭載したカメラを2020年の発売を目指して開発を進めると発表していたが、センサー自体の開発が遅れており、2020年度中のカメラの発売は不可能であることが確実となったようだ。

もう1つの報告は、新センサー開発と同時に平行して進めてきたカメラの開発プロジェクトをいったん仕切り直すと発表。ただし、カメラの開発を中断するわけではないという。

フルサイズFoveonセンサーが遅れている理由としては2つの原因があり、1つはのFoveon最初のフルサイズセンサーで試作特性の評価で所望した性能がでないこと。もう1つは以前のセンサー製造会社から新しい工場への特殊な技術のテクノロジートランスファーに苦労してることが挙げられる。

最短で2021年夏にはフルサイズFoveonセンサー搭載カメラの完成見込みではあるが、センサー開発は何か問題があると一回一回のサイクルタイムが長くなる。もしなにか起こった場合はさらに遅れて、場合によっては2022年になる可能性もあるとのこと。

次のプログラムで登壇した商品企画部 商品企画課の畳家久志氏も、2019年から「フルサイズFoveonセンサー搭載カメラ発売します」と発表されているものが、どんどんと遅れている。そんな経緯があるため、いったん白紙に戻してセンサーをしっかり作って搭載カメラを再度仕切り直すほうが誠実と決めたことを説明した。

ただし、開発は遅れているが、すでに発表済みのフルサイズFoveonセンサー、各20Mの3層構造、1:1:1で計60Mというスペックはそのまま変わらず研究は鋭意、継続して進めているとのこと。

それにしても発売白紙はとても残念な発表だが、今回の発表をフェスの機会にイベントの冒頭で真っ先にユーザーに直接報告をしたのは、さすがシグマだ。こういったところでも、ユーザーを大切にする姿勢がヒシヒシと感じられた。

CinemaDNG再生に対応したファームウェアは初夏リリース予定

シグマfpのプロジェクトリーダーである商品企画部 商品企画課長 畳家氏による「プロジェクトリーダーによるfp開発秘話」では、開発にまつわる熱い思いを公開。このプログラムの最後でfpの次期ファームウェアの紹介が行われた。

現在、fpのファームウェアはバージョン1.01で、次期リリースは1.02を予定。遅いカードに対してのトラブル対応や、一部レンズの収差補正が正しく動作しないなどへの対応など、現行の不具合対応を優先して進めているという。現在テストのファームは完成しており、おそらくCP+2020の後にはリリースされる見通しだと語った。

そして、発売当初から「後日ファームアップで実装予定」と発表されていて「後日っていつなんだ?」とユーザーをやきもきさせていたCinemaDNG再生への対応を実現するバージョン2.0は初夏にリリース予定と発表。詳しい内容紹介をCP+2020のシグマブースで畳家氏自らからお伝えする機会もあるという。

    ■バージョン2.0で搭載される予定の機能(すでに案内している機能)

  • CinemaDNG再生機能
  • CinemaDNG 120/100fps撮影機能(FHD 8bit)
  • シネマグラフ
  • SDK対応
  • Cineモードでの静止画撮影(ライブビュー中、動画撮影中)
  • 動画HDR撮影機能
  • ディレクターズビューファンダーでの動画機能、再生機能など
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フェスでは、全編シグマの機材で撮影した短編映画「しんしん」の初披露目も大きな目玉となっていた。監督は短編映画「blur」を撮った映像作家の山中有氏で、「しんしん」は全編fpで撮影された。あの小ささなfpのボディで本当に映画が撮れるシネマカメラということを改めて見せつけられた感じだ。

今回が初回開催となった同フォスの会場は予想を上回る熱気のムードで、特に来場者とメーカーが和気あいあいとしているのが印象的だった。fpフェスの次回開催も期待したい。

安藤剛氏はUXの観点からfpの魅力を紹介した「fpはカメラの体験をどう変えるか?」を紹介

映画「しんしん」の山中有監督と山木氏の対談が行われるはずだったが、監督が急遽欠席。変わりに映画のプロデューサーを務める勝俣円氏が登壇した

シグマのレンズやカメラが体験できるタッチ&トライコーナー

https://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2020/02/200210_sigmafes_13.jpg ウッドグリップを使ったSmall RigのSIGMA fp専用ケージ#2518の実機を展示
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ブース出展していた銀一ブースでは、驚くようなセットアップされたシネマ仕様のfpを展示。fpの底力を見せつけたような展示を行っていた

物販コーナーでは、帽子、ワッペン、ステッカー、バック、Tシャツなどが販売されていた。特に帽子が売れていたという

こちらは、KG+とシグマがコラボデザインしたサコッシュバックやdpのデザインが入った黒のTシャツ、グレーのTシャツなど