待望のハードウェアコントロールサーフェスが国内発売開始

Loupedeckは3月12日、新製品「Loupedeck CT」の説明とライブデモンストレーションを紹介する発表会見を行った。Loupedeck CTは2020年3月12日より発売を開始しており、希望小売価格は税込69,980円。すでに「OnGoing Re:View」で紹介済みだが、改めて製品の概要と発表会見の様子を紹介しよう。

Loupedeck共同設立者/最高マーケティング責任者のFELIX HARTWIGSEN氏

デザインはユニークで、本体はアルミニウム、バックプレートは工業用プラスチックでできている

Loupedeckシリーズは、小さなスペースに並べられた物理的なボタンやダイヤル、スライダーを使って操作を可能するコントロールサーフェス。Lightroom、Photoshop、Premiere Proなどのあらゆるアプリケーションで、共通のユーザーインターフェイスを使って扱えるようになる。また、ダイヤルやボタンによる触覚制御によって、編集プロセス速度の短縮が可能になるとアピールした。

今回発売開始したLoupedeck CTでは、ハードウェアとソフトウェアの連携をさらに深められているのが特長だ。2018年発売のLoupedeck+ではLightroomを念頭に置いてのハードウェア設計が行われ、後からPremiere ProやFinal Cut Xなどのビデオ編集ソフトに対応。決してビデオ編集を念頭に置いて開発されたわけではないので、独自の編集スタイルに合わせてカスタマイズすることはできなかった。しかし、Loupedeck CTでは汎用なハードウェアのデザインを実現しており、写真以外のあらゆるソフトウェアでカスタマイズ可能になっている。

FELIX HARTWIGSEN氏が紹介したLoupedeck CTのポイント

Loupedeck CTは様々なソフトウェアとの統合が図られており、Lightroom Classic、Photoshop、Premiere Pro、Final Cut Pro X、After Effects、Auditionなどに対応。多くのツールでLoupedeck CTを購入と同時に使い始められるようになっている。今後はSkylumのLuminar、AutodeskのMayaやFusion 360へのサポートを予定している。

ボタンは小さなモニターになっており、どんな機能が割り当てられているのかがわかりやすくなっている

Loupedeck CTのハードウェアには、本体上部に12のタッチボタンを搭載。クリエイターが必要とする作業すべてを自分の指先でコントロールでき、100%カスタマイズが可能だという。

回転ホイールには、タッチセンシンティブホイールスクリーンを搭載。タッチ機能とホイール機能の両方が装備されている

本体下部には大きな回転式ホイールがあり、ノンリニアツールではジョグホイールとして使用できる。ホイール自体はタッチスクリーンモニターになっており、このモニターにもさまざまな機能を割り当てられる。例えば、Premiere Proでカラーの編集を行う際には、カラーホイールに変化する。

本体は小型軽量で薄い

筐体はアルミニウム製で高級感がある。8GBの内部メモリユニットを装備しており、プロジェクトや重要なファイルを自宅やスタジオなどの編集場所間で転送できる。また、個人プロファイルをデバイスに保存して、どこでも使用可能。Bluetooth機能を搭載しており、今後のソフトウェアアップデートで利用可能になる。

また、今月中にはLoupedeck CTとさまざまなソフトウェアを統合して使える「Loupedeck Profile Creator」をリリースする。Loupedeck CTとあらゆるソフトウェアを統合できるツールで、特に専門的なテクニカルなプログラミングスキルがなくても現在使用のソフトウェアとの統合ができるようになるという。

カラー編集の効率化が魅力

VERYbigの森本コナン氏(左)と有慶太氏(右)

ライブデモンストレーションでは、動画や静止画の制作を手掛けるVERYbigの森本コナン氏と有慶太氏が登壇。森本氏は出張ロケ撮影でも撮った素材をすぐに編集したいという希望を叶えてくれるのがLoupedeck CTで、沖縄での撮影では新幹線や飛行機のテーブルでも作業したという。

フラグ(左下)やローテーション機能(右上)をボタン1つで実行することが可能

LightroomとLoupedeck CTの組み合わせデモでは、素材のセレクションの際に、フラグを一回クリックするだけでつけられることや、写真のローテーションのショートカットをボタン1つで実行できるのは便利だと語った。

また、これまでは右手にマウス、左手にキーボードを持って色温度などの現像パネルの設定を同時に変える必要があったが、Loupedeck CTでは複数のダイヤルを同時に変えられることにカラリストにとって重要な意味があると語った。

有氏は、Premiere ProとLoupedeck CTの併用を紹介。Loupedeck CTはAdobe Premiere Proと統合されており、クリップのインポート、確認、タイムラインに配置が可能。ホイールでタイムラインをシャッフルしてナビゲートしたり、インポートとアウトポートの設定が可能になる

有氏は、Premiere ProとLoupedeck CTを併用して編集が効率化できる様子を紹介。まず、編集というのは常に取捨選択であり、何を捨ててどれを使うのかを考えないといけないと前置きをして、Loupedeck CTを使うと効率よく素材の取捨選択ができる様子を紹介。これまでのキーボードでは、どこを使うかわざわざ両手を使って行っていたが、Loupedeck CTを使うとどこからどこを使うかを片手操作のホイールでできる。さらに細かい再生も可能と紹介した。

また、編集時に小さく表示されるタイムラインのズームインとズームアウトをダイヤルで調整可能。キーボードのショートカットを設定して拡大縮小は可能であったが、この作業を瞬時にできることを紹介した。

カラーグレーディングをフルスクリーンで編集できるのもLoupedeck CTの特長だ

最後に、色の調整をフルスクリーンの状態でカラー調整を紹介。これまでは「カラー」を表示してキーボードとマウスで操作をしていたが、調整とフルスクリーン表示を繰り返えす必要があった。しかし、Loupedeck CTはフルスクリーンのままLoupedeck CTのダイヤルでカラーコレクションが可能。「フルスクリーンモードでここまでできるというのは大変に便利」と紹介して話をまとめた。