キヤノンは、同社のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R5」「EOS R6」の温度上昇にともなう撮影時間の制限についての案内を公開し、温度上昇を踏まえた記録可能時間と待機・回復時間について開示した。
EOS R5およびEOS R6は、フルサイズかつ高ビットレート出力が可能なセンサーを使用しており、オートフォーカスをしながらの高解像度および高フレームレートの動画機能を実現している。そのため、動画撮影中に記録時間を制限する熱を発生することがあるが、CMOSセンサーおよびキーデバイスを保護するため、ボディ内部の温度が上昇した場合には、動画記録を停止し、カメラをシャットダウンする仕様となっている。カメラ電源OFF後の待機時間(カメラ内の温度低下のための時間)によって、次回の撮影可能時間が異なる。
■温度上昇にともなう撮影時間の制限
EOS R5
動画記録サイズ・記録形式 撮影可能時間(最大・約) 8K RAW/30p 20分 8K/30p 20分 4K/60p[クロップ:しない] 35分 4K 高画質/30p 30分 4K/60p[クロップ:する] 25分 EOS R6
記録画質 記録モード 連続撮影可能時間 4K60p 4K60p クロップ無(5.1Kオーバーサンプリング) 最大約30分 4K60p クロップ 最大約35分 4K30p 4K30p クロップ無(5.5Kオーバーサンプリング) 最大約40分 ■待機時間による撮影可能時間のイメージ
※熱により録画が中断した際や、撮影が一旦完了し再度撮影を待っている場合、カメラの電源をOFFにして熱を逃がすことを推奨している
- 8K30p 待機時間10分→撮影可能時間3分
- 8K30p 待機時間20分→撮影可能時間8分
- 4K60p 待機時間10分→撮影可能時間10分
(EOS R6は待機時間10分→撮影可能時間5分)
※発熱の大きいモードでは、熱により中断した場合、カメラを放置した時間に対して撮れる時間が短くなる場合がある
※待機時間、撮影可能時間は23℃環境、コールドスタートからの開始時
熱対策として、EOS R5およびEOS R6ではマグネシウム合金をボディーに採用(EOS R6はボディー内のシャーシに採用することで内部部品から放熱)し、CMOSセンサーやDIGICXプロセッサーのパワーマネージメントの最適化による省電、待機時の発熱を抑える「温度上昇緩和機能」を搭載している。
※ファンの取り付けによる対策は、コンパクトなボディながら静止画と動画の両面で高い性能を持つフルサイズミラーレスカメラとしての特長を優先し、また、防塵防滴性能を高い水準で維持するために見送ったとのこと
温度上昇緩和機能を入にすると、カメラがスタンバイ状態のときに動画のサイズとフレームレートが自動的に変更され、カメラ内部の温度上昇を抑える。キヤノンでは、温度上昇緩和設定に加えて、カメラの電源をこまめにオフにすることや、カメラを直射日光の当たらない場所に置くことを推奨している。外部ファンを使用して熱を放散することも可能だ。また、解像度が必要のないシーンではオーバーサンプリングでないモードを使用すると、オーバーサンプリングモードに比べて撮影時間が伸びる可能性があるという。
録画開始前に、その時点でのカメラの温度や設定されている記録モードなど、様々な条件を基に、録画可能時間の目安を表示できるため、撮影時間を計算しながら撮影することができるという。
また、動画撮影時のメモリーカードの書き込み/読み出し速度は、4KではSDメモリーカードUHS-II、ビデオスピードクラス60以上、フルHD・HD(ALL-I)ではSDメモリーカードUHS-I、UHSスピードクラス3以上、それ以外はUHS-Iスピードクラス3以上の大容量カードの仕様を推奨している。カードの書き込み速度が遅いと、カメラの内蔵メモリーを消費してしまうため、自動的に動画撮影が終了する場合があるという。その他圧縮形式のカード速度は同社Webページ(EOS R5/EOS R6)を参照いただきたいが、最長記録時間は29分59秒(ハイフレームレート動画は7分29秒)。