Blackmagic Designの発表によると、名古屋商科大学で多数のBlackmagic Design製品を使用して同校のライブ型遠隔授業の配信ワークフローを構築したという。同ワークフローにはATEM MiniまたはATEM Mini Proスイッチャーを採用した30室のミニスタジオも含まれており、新学期の4月から1つのクラスも欠けることなくすべての授業をオンライン化するのに成功した。

名古屋商科大学は、愛知県日進市にある私立大学で、その大学院教育は国際的なビジネススクールとして定評があり、数年前からURSA Mini Pro 4.6KATEM Television Studio Pro 4Kを導入して包括的な教育プログラムを構築している。

2018年に構築された遠隔授業用の専用スタジオは、育休中の女性に対して学びの場を提供する目的で構築された。同スタジオには、撮影用にBlackmagic URSA Viewfinderを搭載したURSA Mini Pro 4.6Kを2台、そしてBlackmagic Studio Camera 4Kが1台導入され、映像キャプチャ用にUltraStudio 4K Mini、録画用にHyperDeck Studio Mini、映像のスイッチングにはATEM Television Studio Pro 4Kが使用された。

またそれ以前にも、大規模ホールでの遠隔授業向けに同校では8台のBlackmagic Studio Camera、ATEM 4 M/E Broadcast Studio 4KおよびATEM 2 M/E Broadcast Panel、そしてBlackmagic Duplicator 4Kを導入している。同校の経営学部長である栗本博行氏は次のようにコメントしている。

過去に作ったスタジオは配信時に専属スタッフを配置して、複数台のカメラを切り替えるなど、実際の授業に参加しているかのような感覚を表現するため大掛かりなものでした。当時は全く知識がなかったので、Blackmagic Designの製品マニュアルやウェブサイトの画像を見てどんな周辺機器が必要なのか、探ることから始めました。

その経験を生かして、この4月から遠隔授業のスタジオとしてATEM MiniまたはATEM Mini Pro、そしてBlackmagic eGPU Proを使用したミニスタジオを学部と大学院とで30室用意して運用している。外出自粛の中、在学生の学びの場が奪われることがないよう、また授業に遅れが出ないようにするため、よりシンプルな構成にする必要があったという。カメラは教員の動きを見て自動的に追従するAIカメラを採用し、教員が一人でスイッチングできるATEM MiniまたはATEM Mini Proを導入して、Zoomで授業を配信している。

ミニスタジオの構築にあたり、多様な国籍や年齢の研究者が直感的に操作できる点を重要と考えました。それと同時に、授業では教員が持ち込む入力装置と黒板機能を提供するタブレットを組み合わせるので、「映像切り替え装置」や「映像取込み装置」が欠かせません。

また、すべての授業を遠隔方式で行うため、専属スタッフをつけることは不可能です。さらには、導入する機器が安価であることも重要です。その点でATEMは誰でも直感的に使用できます。また以前のスタジオでもBlackmagic Design製品を導入していたので、操作体系が共通しているメリットもありました。

同校では、複数台のパソコンを組み合わせて遠隔授業を配信している。1台は教員の映像音声の配信用とし、もう1台はiPadやプレゼン資料をATEM経由で入力する共有画面の配信用である。以前の大規模なスタジオではATEMスイッチャーはカメラ映像の切り替え目的で使われていたが、今回のミニスタジオでは参加者の発言を教授が書き込み、プレゼン資料と切り替えながら授業を進行させている。

現在、同校ではすべての授業を遠隔で運用しており、機器や回線の不具合などで授業が止まることは避けなければならない。複数台のパソコンやBlackmagic eGPU Proを使用することで負荷を軽くして、より安全に質の高い授業を提供している。

今回の遠隔授業で培った知見は、教室授業でも生かす必要があると考えています。教室でも板書機能としてのiPadは有効であると他の教員とも話しています。学校教育ではプレゼン資料とiPadでの板書をATEM Miniを介して切り替えて表示した方が、通常の黒板やスクリーンを使い分けるよりも見やすいので、教室へ戻ってもATEM Miniは欠かせないと思います。