新しく搭載された「ニューラルフィルター」の「スマートポートレート」のインターフェイス

デスクトップ版Photoshopは、5つのAI機能を初搭載

アドビは、年次クリエイティブ カンファレンスAdobe MAX 2020において、Adobe Creative Cloudのアプリケーションとサービス全体にわたるイノベーションを発表した。新機能であるPhotoshopのニューラルフィルターのほか、Lightroom、Premiere Pro、Illustratorを含む主要アプリケーションのアップデートを公開すると同時に、モバイルおよびマルチサーフェスアプリケーション開発の取り組みを強調し、Illustrator iPad版とFresco iPhone版を正式に発表した。

今回のAdobe Creative Cloudアップデートの中でも、映像業界の注目はPhotoshopデスクトップ版とiPad版の最新アップデートであろう。さっそく詳細を紹介しよう。

デスクトップ版は5つのAI(人工知能)機能の初搭載を特徴とする。「ニューラルフィルター」は、Photoshop内に設けられた新しいワークスペースで、クリエイティブなアイデアを瞬時に試せる非破壊的フィルター機能。機械学習の活用によって、複雑なワークフローをワンクリックあるいは数個のスライダーの操作を可能にしている。

ニューラルフィルターの第一弾として、Photoshopでよく使われる「肌をスムーズに」と「スタイルの適用」をおすすめのフィルターとして搭載している。

「肌をスムーズ」のスイッチを入れると、ナチュラルな肌の調整を行ってくれる

「スタイルの適用」で、独自のイメージを作ることが可能

さらに「ベータ」版のフィルターを6つ搭載。そのうちの1つの「スマートポートレート」は、最初に搭載されるベータフィルターの1つで、年齢、表情、ポーズ、カラーなどを変化させる。AIがポートレート画像の内容を解析し、顔の特徴などの要素を調整可能。視線の向きや顔の向きは「視線」、「顔の向き」の各スライダーで変更可能で、「照明の向き」を変えて照明の当たり方も変更可能としている。

「スマートポートレート」適用前の状態

年齢のスライダー右に設定すると、かなりお年を召した状態にできる

左に倒すと、学生時代のイメージを生成できる

「空の置き換え」は、空を前景から分離し、数回のクリックだけで空を置き換える機能。置き換えるイメージは、その一部だけを拡大して選択したり、好きな雲や空の色の構成、あるいは惑星が写っている部分など、領域を自由に移動して選択できるという。

「空の置き換え」適用前の青空の状態

「空を置き換え」適用後の状態。合成されたことが分からないぐらいの精度で入れ替えできる

Photoshop iPad版は画像サイズの編集を搭載

デスクトップ版と同様に、iPad版でもPSDファイルの寸法、画像解像度、および再サンプル方法を変更し、望みの出力サイズに変換できるようになった。左上の歯車アイコンにドキュメントの寸法、カラーモード、画像解像度を表示するドキュメントプロパティパネルが追加されたという。

また、ギャラリーやライブストリーミングにアクセスできる機能が追加された。誰でもアプリ内からライブストリーミングしたり、過去の録画を見ることを可能としている。