Blackmagic Designの発表によると、著名な中国人カラリストである張亘氏率いるカラリストチームが、中国映画「八佰」で、オンセットでのプレビュー用のLUTの作成、カラーマネージメント、ワークフロー管理、カラーグレーディングにDaVinci Resolve StudioおよびDaVinci Resolve Advanced Panelを使用したという。

「八佰」は戦争ドラマ。管虎氏が監督、脚本を手がけ、黄志忠、姜武、張訳、王千源、杜淳らの有名俳優が出演している。2020年8月21日にプレミア公開された同作は、興行収入は世界中で4億3400万ドルを超え、中国映画史上最高の興行収入を上げた映画の一つとなっている。

同作は、1937年に上海で起きた四行倉庫の戦いを描いている。この戦いで国民革命軍の第88師第524団を率いたのは、謝晋元将校。謝将校は、500人に満たない役人や兵士を率い、四行倉庫の防衛のため旧日本軍に対峙。第二次日中戦争、上海戦において、4日間に渡る自殺行為的な最後の抵抗を続けた。

張氏は「八佰」の他にも、「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」「僕はチャイナタウンの名探偵3」「Hidden Man(英題)」「烈火英雄~戦士達に贈る物語~」「愛しの母国」など、多くの中国映画のグレーディングを担当してきた。「八佰」では、これまでに作られた他の戦争映画とは一線を画し、ピカソの青の時代を彷彿させるようなルックを作ることが求められたという。

そして張氏のチームが「八佰」で手がけたのは、ポストプロダクションだけではない。テスト撮影が始まった時からプロジェクトに参加していたのである。

張氏:このプロジェクトは2016年の6月にスタートしました。制作が公式に始まる前に、監督とスタッフでテスト撮影を行い、2分間の短い作品を作ったんです。撮影監督の曹郁と一緒に、DaVinci Resolve Studioを使って3つの異なるグレーディングのバージョンを作成し、主要なメンバーたちに監督が希望しているルックを伝えました。

テスト撮影の後、このプロジェクトでIMAXカメラを使用することが決まりました。撮影監督はカメラとレンズを徹底的にテストしました。結果的に、私たちは3つのLUTを新たに作成することになりました。

IMAXに関して言えば、膨大な量のフッテージが課題でした。特に「八佰」では、ハードウェア要件を満たすために、ホストコンピューターとストレージのサブシステムをアップグレードする必要がありました。また、私たちはDaVinci Resolve StudioをLinuxで使用しました。

Linuxは処理パワーと安定性が優れているためです。撮影監督は、撮影現場の照明状況に応じて、DaVinci Resolve Studioで事前に作成されたLUTに調整を加え、そしてプロジェクトファイルとメディアファイルを私に渡してくれたので、プロダクションが進行しても、変更の経過を把握することができました。

このプロジェクトの撮影とポストプロダクションは数年を要した。そのため、張氏はDaVinci Resolve Studioのv14からv16までを使用したという。

v14からv16で、多くの新しい機能が追加されました。また、ノードのUIと管理がアップグレードされたので、ノードの管理が簡単になりましたね。フルスクリーンモードで、異なるバーションを表示できる機能を重宝しています。OpenFXプラグインインターフェースでは、独自のプラグインをカスタマイズすることもできます。

「八佰」のような長編映画のグレーディングは、一人のカラリストができる仕事ではありません。私のチームには13人のカラリストがおり、一人一人がプロダクションやアシスタントの業務、データ管理、ワークフロー管理などを行ってくれました。

撮影用のLUTの作成から、ポストプロダクションでのカラーグレーディングまで、様々な仕事を行わなければなりません。時には違うオペレーティングシステムを使うこともあるので、私たちチームのプロジェクトファイルが他のチームとも互換性を持っている必要があります。

DaVinci Resolve Studioは非常に手頃な価格ですが、Mac、Windows、Linuxにインストールでき、コラボレーション・ワークフローにより多くのスタッフが同じプロジェクトで同時に作業できます。これにより、作業効率が劇的に向上しました!