Blackmagic Designの発表によると、オーランドのAdrenaline FilmsがATEM 2 M/E Production Studio 4KスイッチャーおよびDeckLinkキャプチャー・再生機器を新しいライブ&バーチャル制作サービスに使用しているという。同社のBlackmagic Design製品を用いた新しいインフラは、Medialooksの低遅延配信ソフトウェアであるVideo Transportと組み合わせて使用されている。

1991年に設立されたAdrenaline Filmsは、フロリダ州オーランドにある2300平方メートルを超える巨大な施設を拠点とするビデオ制作会社で、ビデオ制作およびポストプロダクションサービスをユニバーサル・オーランド・リゾート、CNN、NBC、FOXニュース、アマゾン、シーメンスなど、大手のエンターテインメント、メディア、テクノロジー企業に提供している。

新型コロナウイルスが流行し始めた2020年初頭に、それまで主体であったマルチカムのスタジオでのサービスから、より幅広い範囲のライブプロダクション、バーチャル制作、企業ビデオサービスに形態を切り替えた。これを実現するために、同社はライブプロダクションと遠隔による制作用に2室のコントロールルームをオーランドの施設に新たに追加し、大規模なマルチカム制作を扱えるように編集ルームと制作スタジオをアップグレードした。また、これらのインフラは、スタッフの安全を保ち、アメリカ疾病管理予防センターの指針に則った形で作業が行えるように考慮して設計された。

この新しいインフラは、1Gb/S光ファイバーネットワークで接続され、その基軸に多数のBlackmagic Design製品を使用している。これには、ATEM 2 M/E Production Studio 4Kスイッチャー、複数のHyperDeck Studioレコーダー、Teranexスタンダードコンバーター、Web Presenter配信デバイス、DeckLink Quad 2およびDeckLink Mini Recorder PCIeキャプチャー・再生機器が含まれる。Adrenaline Filmsの副社長兼本部長であるティム・バートレット氏は次のようにコメントしている。

コロナウイルスにより、ライブでの制作に転換し、ビジネスモデルを変える必要性に迫られました。Blackmagic Design機材のおかげで、弊社の施設を再設計するにあたり非常にクリエイティブになれました。また、新しいサービスもすぐに提供開始できました。既存の機器を取り除いて、2室のコントロールルームを新しく作ったのですが、2~3週間後にはライブイベントやバーチャルイベントの制作に使用していました。

同社は、MedialooksのVideo Transportライセンスを使用している。このソリューションは、Blackmagic Designのワークフローと共に、公共のインターネットを使用して、リモートのNDIおよびSDIソースを瞬時に使用可能にする。

MedialooksのVideo Transportは、DeckLinkおよびATEM 2 M/E Production Studio 4Kとシームレスに機能するため、同社は数十のリモートフィードを直接コントロールルーム2室に接続し、スイッチング、編集、グラフィックの挿入などを行い、高品質のリモート制作サービスを提供できている。

Blackmagic DesignとMedialooksのインフラをインストールしたコントロールルームが完成して以来、同社では大規模なプロジェクトや世界的なプロジェクトをすでに数十件扱ってきた。これには、多数の企業、教育、エンターテインメント系のプロジェクトが含まれる。先日行われたTavistock GroupとLiliumの共同事業に関するバーチャル記者会見も同社が制作した。この会見で、両社はフロリダの主要都市を結ぶ、小型電気ジェットによる空飛ぶタクシーサービスを発表した。

Adrenaline Filmsのコントロールルームは定期的なバーチャルイベントも扱っており、アメリカ国内の政治家や教育関係者が出演する番組を制作している。同社はライブ・バーチャルイベントに加え、ユニバーサル・スタジオに新しくオープンしたボーン・スタンタキュラーなど、現場でのサービスもコロナウイルス予防対策をとった形で行っている。

先日行われた、ある企業のバーチャル会議では、Adrenaline Filmsは4日間に渡り、世界各地からの参加者がそれぞれリアルタイムで交流するリモートフィードを扱う制作を担当した。様々な場所から会議に参加するゲストは、事前にポータブル制作キットを受け取り、それを使用して撮影されたカメラフィードはVideo Transportのゲストリンクを介してコントロールルームに送信された。

各ビデオフィードはSDIを介して出力され、ATEM 2 M/E Production Studio 4Kに送信された。また、複数のHyperDeck Studioも同様にフィードをそれぞれ受信し、後日の編集用の収録を行った。

フィードにはそれぞれグラフィックがキーイングされ、DeckLink Quad 2を介して話者に返送された。ATEM 2 M/E Production Studio 4Kの出力もBlackmagic Web Presenterに送られた。これは、Zoomではウェブカメラとして表示された。

Blackmagic DesignとMedialooksを組み合わせて使用することで、こういったバーチャルイベントがテレビ番組をスイッチングするように制作でき、プロの放送に期待される高品質の番組が制作できます。ATEM 2 M/E Production Studio 4Kに接続しているため、Zoomに送信している映像を変更できます。また、クライアントに複数に分割されたフィードや個別のフィードを送信したり、テレビ番組のように切り替えたりすることも可能です。