アドビは、Apple M1チップセットにネイティブ対応したPremiere Pro、Premiere Rush、Auditionの各ビルドを公開した。Apple M1にネイティブ対応した各ベータ版は、Creative Cloudデスクトップアプリケーションから直接インストールが可能。
macOS上のApple M1システムに完全にネイティブ対応したPremiere Pro、Audition、Premiere Rushの製品版は、2021年前半に提供を予定。After EffectsとCharacter Animatorの正式なApple M1ネイティブ対応は、2021年中を予定している。
■Apple M1 対応Premiere Proベータ版
今回アップデートをしたM1ネイティブなPremiere Proベータ版(英語)には、コアとなる編集機能のほか、H.264、HEVC、ProResのサポートが含まれている。
Premiere Proは、幅広いメディアや機能をサポートする大規模なコードベース上に構築されており、Apple M1のネイティブ対応は段階的に提供予定。これにより、アプリケーションの特定の部分のパフォーマンスの検証が完了し次第、順次新しいコンポーネントとして正式に追加することができるという。
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グラフは現行のハイエンドモデルである16インチのIntel MacBook Pro、現行の13インチのIntel MacBook Pro、新しい13インチのApple M1 MacBook Proの書き出し時間の比較したもの。今後もパブリックベータ期間中にAppleのM1ネイティブとしてのパフォーマンスを最適化する予定だ。
シーン編集の検出などのAdobe Sensei機能は、Apple M1チップセットに搭載された専用の機械学習サポートにより、パフォーマンスが向上。Rosetta 2エミュレーションモードを使用したPremiere Pro現行版においても、速度の向上が確認されているという。
Apple M1対応Premiere Proベータ版には、新しいキャプションワークフロー(英語)の最新ビルドが組み込まれており、プロジェクトファイル形式のアップグレードが必要。ベータ版のテスト用に現在のプロジェクトのコピーを作成しておくことで、現在進行中の制作作業の互換性の問題を回避できる。
Apple M1対応Premiere Proベータ版では、Transmitリファレンスモニタリングハードウェア、プラグイン、拡張パネル、コントロールサーフェスなどのサードパーティ製連携機能(英語)が制限されているという。
■Apple M1 対応Premiere Rushベータ版
M1ネイティブのPremiere Rushベータ版(英語)には、コアエディティングの機能、H.264ビデオのサポート、Rushの内蔵ライブラリからタイトルやオーディオを追加し、すべてのユーザーがApple M1デバイス上でプロジェクトを作成してローカルに書き出す機能が含まれている。追加フォーマットのサポート、デバイス間でのプロジェクトの同期、ソーシャルプラットフォームへの投稿は、将来のベータ版で導入される予定としている。
■Apple M1 対応Auditionベータ版
Apple M1対応Auditionベータ版(英語)では、すでに多くのオーディオエフェクトのパフォーマンスが向上。その他の改善点としては、スペクトル周波数表示時の編集のリアルタイムパフォーマンスがあり、Apple M1対応Auditionベータ版には、既存のオーディオ編集機能のほとんどが組み込まれているが、ビデオ再生(英語)、拡張パネル、サードパーティ製のフォーマットや統合機能はまだサポートされていないという。
Auditionでスペクトル周波数を16K FFT(高速フーリエ変換)でリアルタイム表示している様子。スペクトル周波数表示でオーディオを可視化すれば、Photoshopスタイルのツールで精密な編集が可能。
■現行バージョンはRosetta 2エミュレーションモードで使用可能
Apple M1ネイティブ版の提供が開始されるまでは、ユーザーはmacOS 11.10(Big Sur)を搭載したApple M1デバイス(英語)のRosetta 2エミュレーションを使用し、現行のリリース版をインストールして使用可能としている。現在、Rosetta 2のAfter EffectsでのRoto Brush 2の問題が認識されているが、今後のリリースで対処予定。なお、サードパーティの連携はRosetta 2エミュレーションモードでは動作検証されていないという。