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Blackmagic Designの発表によると、制作会社であるSoKrispyMediaの最新作「Stick Figure War」が、Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2およびBlackmagic Micro Studio Camera 4Kを使用してBlackmagic RAWで撮影され、ポストプロダクションにはDaVinci Resolve Studioが使われたという。

2016年に公開された「Stick Figure Battle」は、2人の学生が教室のホワイトボードに描いた棒人間が互いに闘う様子を描いており、その視聴回数は2300万回以上に及ぶ。先日リリースされた「Stick Figure War」は前作を発展させ、クラス全員が参加しているだけでなく、最新のVFXを用いた作品となっている。同作を制作したサム・ウィッカートとエリック・リーの両氏は、新しいことに挑戦し続けている映像作家だ。

同作のライブアクションは70ショットが予定されていたにも関わらず1日で制作され、Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2ですべて撮影された。「Blackmagic Designのカメラは、現在あらゆるプロダクションに使用しています」と語るのは、SoKrispyMediaのプロデューサーであるマイカ・マリニクス氏。

マリニクス氏:このプロジェクトの初期段階から、Blackmagic URSA Mini Pro G2で撮影することに決めていました。カメラは「Chalk Warfare 4」で以前に使用したのですが、一段上のレベルの撮影ができ、作品の全体的なルックも向上しました。Blackmagic Designのカメラは、弊社のチャンネルと作品のモットーに完璧にフィットしています。少人数のスタッフによる速攻スタイルの制作で、極めて優れた映像が得られます。

Stick Figure War関連画像その1

ポストプロダクションで速度ランプを多く使用する予定だったため、ウィッカート氏は高フレームレートで撮影を行った。

ウィッカート氏:俳優たちの出演するシーケンスは60fpsで撮影し、後日の速度ランプに備えました。撮影はすべてBlackmagic RAWで行いました。レールに取り付けたBlackmagic Micro Studio Camera 4KをBlackmagic Video Assist 7"に接続して収録し、学生が絵を描いている手のショットを上から撮影する際に使用しました。

Blackmagic Micro Studio Camera 4Kはポータブルなので、デスクを見下ろすショットを後日オフィスで追加撮影した際にも活躍しました。これにより、同じ作業を繰り返す手段が常に得られることになり、良いショットを撮影するために臨機応変に対応できるカメラが既にセットアップされた状態で待機していることになります。

メインの撮影後のVFXは、多くの場合は労力がかかるものだが、本作ではUnreal EngineとDaVinci Resolve Studioを組み合わせることにより、すばやく効率的に制作できたという。編集はDaVinci Resolve Studioで開始され、それと並行して、VFXスーパーバイザーも務めたウィッカート氏がVFXアーティストのブレンダン・フォード氏と共に、各ショットを構築するエレメントの管理を行った。

フォード氏:多数のショットにFusionを使用しました。Fusionの3Dシステムのおかげで、絵が描かれている紙をトラッキングした後、棒人間をテクスチャーとして極めて簡単に適用し、調整できました。特に紙飛行機のシーンで役立ちました。

テクスチャーノードでロトメーションのUVパスをレンダリングできるため、棒人間をテクスチャーとして紙に適用し、合成で紙が折れたり、曲がったりするのに反応するようにしました。これにより、反復が非常に早くなりました。

DaVinci Resolve Studioの柔軟性の高さには、ポストプロダクションで大いに助けられたとウィッカート氏は語る。

ウィッカート氏:DaVinci Resolve Studioのすべてのパネルを使用しました。この作品のポストプロダクション全体をDaVinci Resolve Studioで行いました。ブレンダンはノードが大好きなので、Fusionのノードベースのアーキテクチャーを大変気に入っています。私は編集とカラーを担当したのですが、全てがひとつのソフトウェア内に収まっているので非常に簡単に作業できました。

Stick Figure War関連画像その2

前作である「Stick Figure Battle」では、極めて時間の掛かる反復的なレンダリング処理を用いて、各ショットのエレメントをマニュアルでレンダリングする必要があった。最新作では、ウィッカート氏はBlackmagic Designのカメラおよびポストプロダクション・ソリューションに、Epic GamesのUnreal Engine、Dell XPS Precision 7750モバイルワークステーション、NVIDIA Quadro RTX 5000 GPUを組み合わせて使用した。これにより、リアルタイムでレンダリングでき、セットおよびポストプロダクションの両方で即座の応答が得られたという。

Blackmagic Designのカメラ、DaVinci Resolveソフトウェア、Unreal Engineを使用したパイプラインでは、驚くほど簡単かつ直感的に作業を行えました。カメラ、キャプチャー&再生、DaVinci Resolve Studioを用いたBlackmagic Designのみのワークフローにより、全てをすばやく簡単に稼働させることができ、Unreal Engineのバーチャルプロダクションツールとの統合も円滑に行えました。

正直なところ、他の方法を用いていたら機能しなかったでしょう。現在のパイプラインは非常にスムーズに稼働しており、イメージの質にもとても満足しています。

Blackmagic Designの機材とUnreal Engineのようなツールとの組み合わせで成し得られる真の実力を考慮すると、本作の制作プロセスで行ったことは氷山の一角にすぎないと同社のスタッフは作業を進める過程で気づいたという。

マリニクス氏:Blackmagic Designのカメラは、Unrealを使用した作業やバーチャル制作において、最も頼りにしている存在です。例えば、Blackmagic Designのカメラは、SDIを介してDeckLink 8K Proカードを搭載したコンピューターに接続できるので、Unreal Engineのプラグインやブループリントノードを介して、カメラフィードにアクセスできます。これにより、ビデオフィードに直接アクセスして、Unreal Engineのシーンにコーディングできます。

制作プロセスは、MOTIVE School of Movementでのモーションキャプチャーから始まった。ここで棒人間のアクションをライブでキャプチャーし、Unreal Engineで即座に確認を行った。キャプチャーしながらアニメーションをプレビューできたため、今、目にしているものがアニメーションになった際に成り立つかどうかが判断できた。棒人間のキャラクターは3Dで構築され、Unreal Engineマーケットプレイスの様々なモデルと共にUnrealに読み込まれた。

Stick Figure War関連画像その3

「Stick Figure Battle」の成功を受け、同社では既に次回作の制作に目を向けており、既存のテクノロジーを使用して、さらに一歩進んだ作品を生み出すことを目指しているという。

フォード氏:将来的には、ライブバーチャル制作を行いたいと考えています。Blackmagic Designのカメラからのライブビデオ、ライブと事前収録したモーションキャプチャー、バーチャルアセットのすべてをUnreal Engineのワークスペースに取り込んで制作を行います。Blackmagic Designの製品とツールは、使いやすく、低価格であることから弊社にとって最も手の届きやすい存在です。

バーチャル制作は、瞬く間にエンターテイメント業界の流行り言葉となった。同社は、多額の予算を費やさなくても優れた作品を制作できると世に示すことに意欲的である。

ウィッカート氏:3Dツール、CG、リアルタイムレンダリングを用いたコンテンツの制作において、新たな成功を収める一歩手前にいると認識しています。この種のテクノロジーは、通常ハリウッドの大ヒット映画を手掛ける大手のVFXスタジオのみに限られていましたが、YouTubeに投稿している小規模のクリエイターやスタッフにとっても手が届きやすくなってきています。

このような新しいテクノロジーをBlackmagic Designの低価格かつ超パワフルなハードウェアとソフトウェアを組み合わせることで、多大な予算を費やすことなく、誰もが高品質のコンテンツを制作できます。