Alone

Blackmagic Designの発表によると、2020年12月3日にWatchDust.comで公開されたSF短編作「Alone」の撮影にBlackmagic Designカメラ、ポストプロダクションにDaVinci Resolve Studioが使用されたという。

口が汚く、頑固なエンジニアであるカーヤ・トレスは、空中分解する探査船から命からがら脱出する。唯一の生存者であるカーヤは、助けが来る様子は全くない状況で、脱出ポッドで為す術もなくブラックホールの周囲を回っている。生き残りへの手段を模索するカーヤは、近くの惑星に独り取り残された地図製作者のハマーにメッセージを送り始める。二人の友情は深まっていくが、カーヤの選択肢は狭まっていき、生きて脱出することは不可能だと思うようになる。

脚本はJ・スコット・ワージントン氏、監督はウィリアム・ヘルムート氏が務めた同作は、限られた予算で劇場映画並みの品質の短編を制作することに情熱を傾ける映像作家たちによるケーススタディとして制作された作品。

撮影監督として豊富な経験を積んでいるヘルムート氏は、その才能を監督業にも活かしたいと考えており、ワージントン氏の同名短編小説を読んだ後、同氏に連絡を取ったという。ヘルムート氏は同作の完全な虜となった。撮影監督としてヘルムート氏は、短編を制作するにあたって、人を引きつける説得力のある映像を作り出すことは重要だと理解していた。

Alone

ヘルムート氏:撮影監督という仕事が楽しくて仕方ありません。視覚的要素を通して、物語に多数の意味や深みを織り込めます。

そういった点で、撮影に使用するカメラパッケージの選択は簡単だった。

URSA Mini Pro G2では優れた映像が得られると経験上分かっていました。CMでたびたび使っていましたし、ほとんどのストーリー物はURSA Mini Pro G2で撮影しています。このカメラで得られるスキントーンやカラーを大変気に入っています。私の代表作のほとんどはBlackmagic Designカメラで撮影されました。

本作の撮影には、孤立感を強調するために、アナモルフィックと球面レンズの両方を使用した。船内の主演の撮影にはアナモルフィック、惑星シーンの撮影にはより一般的なアスペクトレシオである16:9を用いて、息を呑むような風景を撮影した。URSA Mini Pro 4.6K G2ではアスペクトレシオを簡単に切り替えられるため、セットやシーン変えがすばやく難なく行えたという。

また、Blackmagic RAWで撮影することにより、ポストプロダクションで使用できる最大限の情報が得られた。

Blackmagic RAWは、Blackmagic Design製のカメラを採用することにした大きな理由の一つです。世界で最も優れたコーデックと言えると思います。Blackmagic RAWで撮影することで、ポストプロダクションで最大限の柔軟性が得られ、VFXで問題なく機能し、美しいカラーが得られると分かっていました。

言葉にしにくいのですが、Blackmagic RAWで撮影したフッテージすべてで得られる特定のクオリティをとても気に入っています。カラーはリッチで、ディテールは無機質になりすぎず、またポストプロダクションでフッテージに大幅に手を加えても、このクオリティは維持されるように思えます。

Blackmagic Designの製品で統一したワークフローの利点を活用するために、同氏はポストプロダクションすべてにDaVinci Resolve Studioを使用した。作業はまず編集から始められた。エディターのアンソニー・パリーシ氏は今回初めてDaVinci Resolve Studioを使用したが、使い方に慣れるのに時間は掛からなかった。

パリーシ氏:他のソフトウェアで何年も編集を行っており、少し長めのストーリー物を扱う上で、初めてDaVinci Resolve Studioを使うことに若干不安でした。ポストプロダクションの時間があまりなかったので、作業をすばやく行う必要があったからです。

DaVinci Resolve Studioの編集ツールが極めて直感的に使用できることに感心しました。予想よりはるかに早く使いこなせるようになりました。作業をする上で役立ったのは、以前に使っていたキーボードショートカットをすばやく設定できたことです。これにより、即座に作業に取り掛かれました。

DaVinci Resolve Studioに搭載された豊富な編集ツールと、ワークフローも同氏にとって大いに役立ったという。

プロキシファイルを使用せずに、RAWファイルで作業できる点で非常に気に入っています。カット割りが終わった後に、EDLを扱わなくて済むのは助かりますね。カラリストにタイムラインを引き継ぐだけで済みます。

Alone

クリップに速度調整を適用したシーンでは、多くの場合、コンフォーム後にエディターがチェックする必要があるが、本作はDaVinci Resolve Studioで編集されたため、同氏は編集は問題ないと分かっていたという。

速度変更が維持されていると確信が持てるので、複数のプログラム間を行き来する際に生じがちなタイミングの問題を一つずつチェックして修正する必要がないのは素晴らしいですね。タイムラインでクリップをトリムする際に、選択したクリップにどのくらいフッテージが残っているか見られる点も気に入っています。

タイムラインで確認できるので、使える映像があるか、すぐにチェックできます。本当に気の利いた機能だと思います。他のプログラムで作業している際に、あったらいいのに、と思う機能です。非常に役に立つ機能です。

真に迫った映像と雰囲気を作り出すために、宇宙空間を主に舞台としたSF作である同作はあらゆる面でポストプロダクションに頼ることになった。その点で、DaVinci Resolve Studioに搭載された様々なツールはかけがえのない存在となった。

カラリストのダン・エドワーズ氏とサウンドミキサーのスティーブン・ハートウェル氏などのスタッフは、変更や追加を維持した状態でプロジェクトのファイルを簡単に共有できたため、ヘルムート氏とパリーシ氏が編集を改訂する上で役立ったという。

エドワーズ氏:Blackmagic RAWファイルには多くの面でとても助けられました。再生が非常に効率的に行えるので、それぞれ別の場所から自宅のコンピューターで作業しても問題が生じることはありませんでした。

新型コロナウイルス感染症による都市封鎖が始まった時期にポストプロダクションを開始したため、制作チームはDaVinci Resolveのコラボレーション・ツールを大いに活用したという。

このプロジェクトは、新型コロナウイルスが世界的に流行している最中に制作されたため、ポストプロダクションのワークフローのあらゆる側面で影響を受けました。DaVinci Resolveは、リモートグレーディングという独創的な機能を搭載しているのでとても助かりました。

ウィリアム(ヘルムート氏)が彼の自宅のFlandersモニターの前に座り、私がウィリアムのDaVinci Resolveを遠隔から操作できたので、二人とも同時に似たイメージを見ながら作業でき、互いに安心して仕事を進められました。

エディターとの作業と同様に、エドワーズ氏は他の部門とも簡単に作業できたことを気に入っているという。

ベストな方法でコラボレーションできました。エディターかミキサーかを考える必要はほとんどありませんでした!本当にシンプルなので、他の場所で作業するスタッフからのアセットを管理する上で非常に役立ちました。プロジェクトファイルを引き継ぐだけで、レンダリングファイルをコンフォームする必要がないのも大いに助けられました。

Alone

シアトルのFreshMadeで、ハートウェル氏はDaVinci ResolveのFairlightを使用して同作の膨大な量のサウンドを作成した。物語は脱出ポッド内という一つの場所で展開するものの、サウンドデザインとミックスでは多くのチャレンジが伴い、シーンを盛り上げるサウンドも多数必要だった。

ハートウェル氏:ワームホールのシーケンスに関しては、宇宙では時間が歪むという理論を基にして、カーヤとハマーが発する言葉はすべてワームホールに吸い込まれるかのように表現しました。カーヤがワームホールを抜ける間、過去の二人の会話の一部がカーヤに向かって様々な速度で投げかけられていくようにしました。動きのあるサウンドで色々と試すことができたので、作業を本当に楽しみました。

サウンドデザイナーのクリストファー・ムーア氏の担当分は、ハートウェル氏がDaVinci Resolveでタイムラインとして15の個別トラックに分割した。

この方法では、より多くのマイクロとマクロを同時にミックスできる柔軟性が得られました。

その後、サウンド担当チームはコラボレーション機能を使用して、一人がマスタータイムラインでミックスを行い、もう一人が別の部屋で会話の編集を行った。サウンド制作において、DaVinci ResolveのFairlightに搭載されたパワフルなツールは活躍したが、サードパーティ製のプラグインに接続できる機能も役立ったという。

会話のキー圧縮にはBlue Catを使用しています。これにより、WavesのC6 Multiband Compressorのサイドチェイン・バージョンにフィードでき、会話の特定の周波数をダッキングすることができました。また、iZotopeのRXでオーディオのクリーニング、Reaperで特定のサウンドデザインを行いました。

作品内でこの方法が適していると証明されたシーンがワームホールのシーケンスです。このシーンでは面白いパンやドップラー効果を作成しました。DaVinci ResolveとFairlightでは外部のプロセスを使用でき、変更を行った箇所はDaVinci Resolveで瞬時にアップデートされました。

ヘルムート氏は現在も撮影監督であるが、同短編の長編バージョンを監督することを楽しみにしていると語る。本作の制作に関わった同じスタッフで、再び優れた作品を制作したいと考えているという。

ヘルムート氏:俳優と協力し、シーンを考案し、映画制作における様々な部門の責任者とクリエイティブな会話をすることが楽しくて仕方ありません。また、J(ワージントン氏)の美しい物語が、私の監督業に挑戦したいという願望に再び火を付けてくれました。結局のところ、それが最も需要なことなんです。私にとって意味があり、私を突き動かし、夢中にさせてくれる物語を監督したいと考えています。