ソニーモニター内覧会メイン写真

ソニーは、同社の業務用ディスプレイ事業や展示商品の紹介するディスプレイソリューション内見会を開催した。ソニーはディスプレーからプロジェクター、LEDまで幅広く手掛けているメーカーであり、小さなミーティング用スペースから、縦横数十メートルの巨大な壁面まで、ありとあらゆるニーズに応えるディスプレイ製品をラインナップしている。今回の内見会では、その中からいくつかの注目製品が展示されていた。

高コントラストのCシリーズと高輝度モデルのBシリーズの違いをチェック

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世界初の実機お披露目となるCrystal LEDの新製品
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内見会の大注目は、Crystal LEDのCシリーズ、Bシリーズの世界初となる実機お披露目だ。

Crystal LEDは、ソニーが開発したタイリング状に好きなサイズのディスプレイを作ることが可能なスケーラブルなディスプレイシステムだ。初号機は2017年に登場したディスプレイユニット「ZRD-1」で、2018年には表面処理を改善した「ZRD-2」をラインナップし、現在も販売中だ。

会場に展示されていたのは2021年の9月発売予定のCrystal LEDのCシリーズとBシリーズ。Cシリーズは「contrast」の頭文字をとった高コントラストモデルで、ディープブラックコーティングの表面処理により、沈み込んだ黒の表現や暗部の階調表現を得意とする。コントラストは、1,000,000:1以上を実現。

Bシリーズは「brightness」の頭文字をとった高輝度モデルで、輝度は最高1,800cd/m2まで可能。表面処理は低反射コーティングにより、照明が当たっても映り込みが少ないモデルとしている。CシリーズとBシリーズのピッチサイズは、LED同士の粒間隔が1.26mmと1.58mmの2モデルをラインナップし、合計4モデルを展開。

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高コントラストモデルのCシリーズは、デザインレビュー、クルマのショールーム、美術館や博物館などの公共施設、コーポレートロビーなどをターゲットとする。特に黒を重視したコンテンツの質を求める現場がターゲットだという。

高輝度モデルのBシリーズは、同じコーポレートロビーでも外光が入っる明るい環境にも対応できるとしている。また、コントロールルームに高精細な映像を必要とする現場や映画の撮影で、グリーンバックを使う代わりにLEDディスプレーを使って撮影するバーチャルプロダクションの現場にも提案したいとのこと。

デモはCシリーズ、Bシリーズ共に110インチサイズのフルHDの画素数で、ピッチサイズは1.2mmに統一。展示機はサンプルの状態で、これから画質はまだ良くなるという。

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それぞれのモデルのターゲットアプリケーション
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ラスベガス夜景映像での比較では、Cシリーズの特徴であるディープブラックコーティングによる黒の沈み込んだ表現や低階調部分の階調感の良さの特徴がでている。同じ映像をBシリーズで見てみると、輝度が高くてライトがより明るく見える。

太陽光の映像では、水しぶきは高輝度のBシリーズが得意とすることがわかる。

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ラスベガスの夜景の映像
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太陽光の映像
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次に階調表現のわかりやすい映像で比較。Cシリーズは本棚の暗部が表現できており、Bシリーズは本棚の中から外房の様子などがはっきりと見える。他社製品は本棚部分が黒つぶれがあり、あまり見えない。

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CシリーズとBシリーズの暗部階調の違い
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Bシリーズと他社製品の違い
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次に色域の違いがわかる映像を紹介。映画や放送局で使われているマスターモニターと比べると、Cシリーズ、Bシリーズ、他社製品の映像表現の近さが比較できる。

また、CシリーズとBシリーズでは滑らかな動画像の再現が可能になる「モーションフロー」を搭載し、フレーム間の補正により滑らかに再生可能。一方、他社ハイエンドLEDでは動きが大きな部分に関してはコマ落ちしているように見える。デモ映像の解像度はフルHDだが、それよりもっと大きな4Kサイズや8Kサイズの場合にさらに動きの補正は有効になるという。

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右からマスターモニター、他社ハイエンド製品、Bシリーズ、Cシリーズ
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4K120fpsに対応するソニーのレーザープロジェクターの最上位モデル「VPL-GTZ380」

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次に​目を引いたのは4Kの10,000lm高輝度プロジェクター「VPL-GTZ380」だ。2021年1月に発売した新商品で、画質をしっかり鑑賞する目的で作られた4Kのフラッグシップをラインナップしている。

ポイントは、10,000lmの高輝度と、多くの色を再現が可能なDCI-P3の広い色域に対応。他社の4K対応プロジェクターは画素ずらしで4Kを実現しているものが多いが、VPL-GTZ380ではパネルの解像度からネイティブ4K(4096×2160ドット)解像を実現している。

サイズは51kgと軽量コンパクトで、静動作音は39dB。4K 10,000lmのクラス帯でもっとも小型サイズを実現。美術館、博物館、企業のショールームマーケットなどで、正確な色再現や作品への没頭と静動作音の両方を求められる現場で採用されているという。

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VPL-GTZ380の投影の様子
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目の前に実物があるかのように見える空間再現ディスプレイ「ELF-SR1」

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空間再現ディスプレイ「ELF-SR1」の視聴体験は面白いものだった。ゴーグルなどをつけなくても、ディスプレイの中に物が空中で浮かんでいるように見えた。本体の上部の視線認識センサーと呼ばれているカメラで見ても人の目の位置を検出し、そこに合わせた映像をPC側で処理。再度空間再現ディスプレイに戻して、左右の目に別々の映像を出すことにより、裸眼立体視ができている仕組みだ。

発売当初はマスク装着時の顔検出に対応していなかったが、SDKのアップデートによりマスク装着時にも対応するようになった。既存のUnity、Unreal Engineで作られているコンテンツであれば、簡単に見られるという。

導入活用事例でもっとも多いのはデザインの確認で、自動車メーカーなどの設計デザイナーが自社コンテンツを確認作業に採用。また。医療の現場でも多く採用されているという。

業務用BRAVIAに32インチから100インチまでの新製品登場

最後に、業務用BRAVIAの新製品を紹介しよう。ソニーは以前、ソニービジネスソリューション取り扱いのFWDシリーズとしてパブリックディスプレイを取り扱っていたが、2016年頃から業務用向けディスプレイもBRAVIAブランドで展開を開始している。

100インチの大画面を実現した8KモニターBZ40J/BZシリーズ

その中でも特に目立っていたのは100インチ8K対応のBZ40J/BZシリーズだ。8Kチューナーは未搭載で、8K対応BRAVIAと呼んでいるという。コンシューマーでも8K BRAVIAを発売しているが、85インチを最大サイズとしており、BZ40J/BZはそれ以上のサイズを実現している。

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特徴は高輝度で、明るさが600cd/m2にピーク輝度は940cd/m2を実現。既存のモデルに比べて明るい輝度を持っている。高画質プロセッサーはコンシューマーまでも発表された「XR」プロセッサーを搭載。バックライトはすべてのLEDを単独でコントロールする「バックライトマスタードライブ」を採用し、すべて独立した分離駆動を実現している。

BtoB用途の現場では、天吊りやさまざまな設備でロゴが嫌われたり、テープで隠されることがあるため、BZ40Jではソニーロゴは右の側面に配置。また、キャリーハンドルを付けたり、縦置き傾斜に対応。さまざまなシーンで使えるように配慮された設計となっている。役員会議で、VIP向け会議室やプレゼンテーション、メッセージを効果的に伝えたい場を想定しているという。

4K業務用ディスプレイの標準的モデルBZ35J/BZシリーズ

BZ35Jシリーズは、従来主流だったモデルから3年ぶりにラインナップチェンジ。特徴はロゴの位置の変更で、前面真ん中の下にあったが、右の側面に変わっている。輝度も特徴で、明るい部分は明るく、暗い部分は黒が締まった作りとなっている。

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左が新製品の「FW-50BZ35J/BZ」。570cd/m2。右が「FW-43BZ35J/BZ」570cd/m2
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右側面に配置されている「SONY」ロゴ
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BZ30J/BZシリーズに6モデル新登場

ここで紹介するのはBZ30J/BZシリーズの中の43インチから75インチまでの5種類。エントリーのラインのモデルだが、輝度はこれまでよりも高く設定されている。かつ色味の部分は、コントラストの部分も先ほどのモデルと引けを取らない明るいモデルを特徴としている。

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BZ30J/BZシリーズに32インチの「BZ30J」シリーズにBZ30J/BZシリーズ登場。左側側が新商品の32インチ、右側が従来より販売中の2Kの32インチモデル。左側の4Kディスプレイでは、解像度があるのですべて表示が可能。

2Kのディスプレでは解像度が足りず、スクロールしないと確認ができなくなるが、4KではExcelなどの情報を同時に表示できるという。

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左が新製品のFW-32BZ30J。右が2Kの従来機種
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