NHK技研

オブジェクトベース音響と音声サービス例

NHK放送技術研究所は、次世代の音声サービス技術として、オブジェクトベース音響方式(以下:OBA)の研究を進めており、今回OBAのライブ制作に対応した音声卓を世界で初めて開発した。

OBAでは、番組音声を構成する音声素材とメタデータ(ナレーションや音楽などの音声素材の組み合わせや再生位置、音量などの付属情報)を放送し、受信機で番組音声を再構成(レンダリング)することで、視聴者の好みや視聴環境に合わせて番組音声をカスタマイズ可能な音声サービスを実現する。

NHK技研
音声卓の構成、信号の流れ

従来のOBA制作機器では、メタデータをファイル形式で出力するだけだったが、今回開発した音声卓では、メタデータをストリーム形式で出力することで、ライブ制作に対応。さらに、受信機で再構成される音声をリアルタイムにモニターできるレンダリング機能と、既存のデジタル音声回線でメタデータを伝送できる機能も開発した。これらの機能により、従来の番組制作における品質管理や設備、ワークフローに大きな影響を与えずに、OBAの番組を制作可能。

開発した音声卓に用いたメタデータのストリーム形式や伝送方式は、技研の提案を基に国際標準化された。技研では、OBAを用いた次世代の音声サービスの実現に向けて研究開発を進めていくとしている。