シネマEOS10周年メイン写真

キヤノンは、同社の映像制作機器「CINEMA EOS SYSTEM」が2021年11月に誕生10周年を迎えたことを発表した。

2011年、映画制作市場ではフィルムを用いたアナログ方式とデジタル方式が混在する中、徐々にデジタル化が進み、スーパー35mm相当の大判センサーを搭載した、デジタルシネマカメラへのシフトをスタート。こうした背景のもと、キヤノンは光学技術を中心とした映像技術を活かし、「CINEMA EOS SYSTEM」を立ち上げ、映像制作市場への本格的な参入を果たしたという。

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10周年記念ロゴ

映像制作用のカメラやレンズの開発においては、その使い手である映像制作者の協力が欠かせないとし、キヤノンは初号機であるデジタルシネマカメラ「EOS C300/EOS C300 PL」とシネマレンズ「CN-E14.5-60mm T2.6 L S/CN-E14.5-60mm T2.6 L SP」(4機種ともに2012年1月発売)の開発時から現在まで、映像制作者が求める撮影手法や映像表現といった現場の声に耳を傾け、デザインや設計、操作性などの商品開発に生かしてきたとしている。

初号機EOS C300のCMOSセンサーは、35mmフィルム感覚に近い美しさを持つ映像の再現を実現し、2012年に米国テレビ芸術科学アカデミー(NATAS:The National Academy of Television Arts & Sciences)より、テクノロジー&エンジニアリングエミー賞を受賞。さらに、シネマレンズ群においても4K対応などの高い光学性能を実現したことが市場から評価され、2017年にエミー賞を受賞した。

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シネマカメラ「EOS C500 Mark II(左)/EOS C300 Mark III」

CINEMA EOS SYSTEMは、映画やテレビ番組の制作など幅広い分野で活用されている。2018年、米国でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品「Free Solo」では、デジタルシネマカメラ「EOS C300 Mark II」(2015年9月発売)とシネマレンズ8機種を活用。また、2020年1月に行われた米国のサンダンス映画祭にて世界映画ドキュメンタリー特別審査員賞を受賞した作品「ACASĂ, MY HOME」では「EOS C300」と「EOS C100 Mark II」(2014年12月発売)を用いている。

キヤノン 執行役員イメージソリューション第二事業部長の大川原裕人氏は次のようにコメントしている。

10周年を迎えられたことを大変光栄に思います。ハリウッドで新規参入を表明し、現在まで事業を継続できたことは、映像制作業界に携わる皆さまからのご支援の賜物です。映像制作者が理想とする作品を実現するための一助となるべく、今後ともCINEMA EOS SYSTEMの開発に邁進していきます。