ソニーは、静止画と動画の撮影性能や操作性、共有・配信機能を一新したフルサイズミラーレス一眼カメラ「α7 IV」を2021年12月17日に発売する(受注開始は12月7日10時)。希望小売価格はオープン、市場想定価格は本体のみが税込330,000円前後、ズームレンズキット(FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS付属)が税込350,000円前後。
α7 IVは前機種である「α7 III」から大幅に進化した解像度やAF性能、動画表現や撮影性能の向上などにより、様々なシーンで高画質な静止画と動画の撮影が可能となった。
新たに開発した有効約3300万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSイメージセンサーExmor Rと、同社のフラグシップ機「α1」でも搭載されている、従来比最大約8倍の高速処理が可能な画像処理エンジンBIONZ XRにより、高解像ながら常用ISO感度100-51200(静止画拡張時50-204800、動画拡張時100-102400)の感度領域を実現。ノイズを低減しながら、高い色再現力で被写体細部の質感まで高精細に表現するとしている。また15ストップの広いダイナミックレンジで、階調豊かな表現が可能。
さらにα7 IIIと比較してより広範囲な撮像エリアの約94%に、高密度に配置した759点の像面位相差AFセンサーが、被写体をより高速・高精度に追跡。AF/AE追従で最高10コマ/秒の高速連写でシャッターチャンスをとらえる。大容量のバッファメモリー搭載により、圧縮RAWでJPEG1000枚以上の連続撮影にも対応(CFexpress Type Aカードが必要)。
またα7 IVでは、リアルタイム瞳AFにおいて、人間だけでなく、αシリーズで初となる静止画と動画の両方で鳥と動物の目を追跡できるようになった。人間の顔や目の検出精度もα7 IIIに比べて約30%向上している。
画素加算のない全画素読み出しによる4K60p記録(Super 35mmモード時)や、フルサイズ7Kオーバーサンプリングによる4K30p記録により、高品質の動画撮影が可能だという。ソニーの映像制作用カメラ群「Cinema Line」と同様のルックS-Cinetoneを搭載し、シネマライクな表現を簡単に実現する。また、10種類の設定されたルックから選択することでユーザーが好みの画作りを手軽に楽しめるクリエイティブルックも搭載。さらに、自然な諧調表現ができる4:2:2 10bit記録のHLG(Hybrid Log-Gamma)、より効率的な編集のためのフレーム内エンコーディング(XAVC S-I)や、圧縮効率が2倍のXAVC HSにも対応している。
内蔵マイクの音質を向上させ、デジタルオーディオインターフェースに対応したマルチインターフェースシュー(MIシュー)を搭載。また、α7 IVはソニー製Eマウントレンズとの組み合わせで、AFを使用する際の被写体選択とフォーカス遷移をサポートするAFアシスト(SELP1650、SEL18200LE及び、Aマウントレンズでは使用不可)、被写界深度を視覚化するフォーカスマップなど、独自の機能が使用可能。α7 IVはαシリーズとして初めて、フォーカス時の画角変動を抑えるブリージング補正機能※を備えており、意図した画角を維持した高品位な撮影が可能だとしている。
※同機能は対応レンズでのみ使用可能。同機能をOnにすると画角と画質がわずかに変化。同機能をOnにしても、レンズによっては、補正しきれない場合がある。動画120p(100p)、S&Qモードの120p(100p)での撮影時、静止画モード時での撮影時では同機能は使用できない
α7 IVは、ユーザーがそれぞれの専用設定に素早く切り替え可能な静止画/動画/S&Q切り替えダイヤルを新たに搭載するなど、静止画と動画の両撮影における操作性を追求。5.5段光学式5軸手ブレ補正機能に加え、手ブレ量を高精度に検出し光学的に補正する動画専用の「アクティブモード」にも対応し、手持ち撮影を強力にサポート。また、最適化した放熱設計により、1時間以上の4K60p 4:2:2 10bit動画記録が可能だ。
加えて、自撮りも含めた様々なシーンで快適な撮影を実現する、バリアングルタイプの横開き背面モニターを採用。約103万ドットの高解像度3.0型液晶パネルを使用したモニターはタッチ操作に対応し、被写体にタッチするとフォーカスや追従を自動で行うため直感的な操作が可能。また大容量データの書き込みにも適した高速メモリーカードCFexpress Type A互換のメディアスロットや、HDMI Type-A端子、α7 IIIと比較しておよそ1.6倍の解像度である約368万ドットのOLED Quad-VGAビューファインダーなどを搭載し、使い勝手が向上している。さらに、堅牢性と軽量化を両立するマグネシウム合金を使用しているほか、構造やボタン形状の工夫により、防塵・防滴性能が向上。
α7 IVでは高品質な画像や動画の即時共有および配信も可能。一例として、カメラと専用モバイルアプリケーションImaging Edge MobileをインストールしたスマートフォンをBluetoothでペアリングしておくと、自動接続でスマートフォンから従来の2.4GHz帯域に加えて5GHz帯域を利用した高速データ転送が簡単に行える。また、α7 IVをUVC(USBビデオクラス)およびUAC(USBオーディオクラス)でパソコンまたはスマートフォンと接続すると、専用ソフトウェア不要で4K15pやフルHD60pなどのライブ配信が可能だ。前述のクリエイティブルックを使用することで、手軽に印象的なコンテンツの配信にも対応する。
さらに新機能「ショットマーク」により、記録した動画にマークを追加して、カメラでの再生時や、ソニーのCatalystソフトウェアで予めマークされたシーンに簡単にアクセスできるようになり、確認や編集が効率的に行えるとしている。
また今後、クラウド上で自動編集のできるサービス「AI Video Editing Studio」を提供予定。AI技術を用いてクラウド上で自動で一次編集をすることで、クリエイターがクリエイティブな編集作業に集中できるとしている。