Blackmagic Designによると、マーベル・スタジオの「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のエピソード1で、スカイダイビングのシーケンスの作成に、Blackmagic Design Pocket Cinema Camera 6Kが使用されたという。
同シリーズは、マーベルコミック原作の映画「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズに登場する二人のヒーロー、ファルコンとウィンター・ソルジャーにスポットを当てたドラマで、Disney+で配信中。 カリ・スコグランド氏が監督を務めた。
第1話では、飛行機をハイジャックし、人質たちをチュニジアへと連れ去った手強い敵にファルコンが立ち向かう。 この複雑なシーケンスでは、ファルコンは、ヘリコプターや飛行機だけでなく、ウイングスーツを装着して逃げる敵たちとも戦う。非常に難しいシーケンスであり、同シリーズの今後のトーンを決定するシーンでもあった。
VFX監督のエリック・リーベン氏は、同シーケンスに関して早くからスコグランド監督と話し合いを重ね、方法論にこだわらずに視聴者の目を引くシーンを設計することにフォーカスした。
リーベン氏:最初からずっと、ファルコンの空中バトルは常にシナリオに入っていました。
これまでにマーベル・スタジオの映画では描かれなかったような形で、ファルコンを輝かせるチャンスを作りたかったんです。 ウイングスーツの敵たちは、ファルコンにとって格好の設定でしたね。飛行機だけでなく、人を追いかけるという見せ場ができたわけです。 YouTubeでウィングスーツを着用して飛ぶ動画が流行っていることもあり、カリはヘルメットやボディマウントカメラなどの言語を用いて、シーケンスに情報を付加したいと考えたのです。
リーベン氏のチームはプリプロダクションからこのシーケンスの作業を開始した。
リーベン氏:このシーケンスは、まず絵コンテとプリビズから設計しました。その後でどうやって撮影するかを考えたんです。 最初にクリエイティブな負担をかけずに済むのがよかったですね。
最初のプリビズを終えた後、リーベン氏とスコグランド監督はスタント・コーディネーターのハンク・アモス氏と撮影監督のPJ・ディロンにプランを見せたという。
リーベン氏:どの部分を実際に行い、どの部分をCGで作るのかを話し合いました。
アモス氏は、スカイダイビングのシーケンスにおける撮影の限界を熟知しているが、可能な限りアクションを実際に行いたいと考えていた。
アモス氏:ウィングスーツの空中撮影に関しては、現状のルールブックを一旦投げ捨てることにしました。 ありふれた映像では、マーベル・スタジオを納得させることができないと分かっていたからです。ウィングスーツの撮影では一時が万事です。彼らは時速200キロ以上の速度でトラッキングしますが、紐が1本緩んだだけでもそれを感じます。
同作の撮影監督を務めたPJ・ディロン氏は、重量とサイズを重視してソリューションを探したという。
ディロン氏:Blackmagic Pocket Cinmea Camera 6Kの採用を即決しました。
アモス氏とディロン氏は、次に撮影の技術的な面について対策を練った。 「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」のシーケンスでは、小型のアクションカメラよりも大きなカメラが、ヘルメットに装着する以外の方法で使用されるのは初めてのこと。 トップクラスのスカイダイバーと、空中撮影コーディネーターであるトラヴィス・フィンヘイジ氏との1週間のテストを経て、アモス氏はこの撮影が可能であることを確信できたという。
ディロン氏:カリは、このシーケンスに体験的な要素を持たせることを強く希望していたので、ボディスーツやヘルメットにカメラを取り付けて、これまでよりも格段に高品質なシネマクオリティで撮影しました。
Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kモデルを採用した理由は、高品質であり、軽量のスチルレンズを使用できることなど多くありますが、何よりもBlackmagic RAWで撮影できるということが大きかったですね。VFXやグレーディングで、非常に柔軟に作業できます。露出を設定することで、クリッピングなしで、シャドウ部分に十分なディテールを残せます。
ディロン氏:Blackmagic RAWと他のメインカメラで撮ったLOGフッテージの比較テストをしましたが、これらはシームレスに統合できました。
Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kのセンサーで得られる品質には正直驚きました。ノイズは最小限でしたし、グレーディングでイメージを調整するのに十分な余裕がありました。私たちは、重量を考慮して最小限の装備にしたいと考えており、アイリスとフォーカスのリモートシステムは使用したくなかったので、これはとても重要でした。コンセプトは、明るい空からシャドウのディテールまで、フルレンジを含む露出を設定することでしたが、Pocket 6Kのセンサーは素晴らしい働きをしてくれました。
空中撮影に加えて、シーケンスにはグリーンバックで撮影した俳優のフッテージも含まれる。リーベン氏のチームは、スタントマンのアクション、グリーンバックの映像、そしてCGの環境をシームレスに統合する必要があった。
アモス氏:多くの視聴者は気づいていませんが、見ているものの90パーセントは、実際にウイングスーツで飛んでいるところであり、私たちが撮影した実際の要素なんです。
最近のVFXチームはとても優秀なので、何が本物で、何がデジタルで制作されたものなのかを見極めることが、ますます難しくなってきています。しかし、画面に映っているものはほとんど本物で、ポストプロダクションで追加されたのは、背景や崖だけなんです。男たちがヘリコプターに飛び乗るシーンは、ウィングスーツのパイロットが胸部にBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kを装着することで撮影できました。また、彼らがカメラの上に飛び込むように見えるシーンは、カメラをつり下げて撮影しています。
グリーンバックの撮影では、通常のサイズのカメラでは設置が不可能な場所にBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kを設置することができた。 例えば、スタントリグの端にカメラをマウントして、ファルコンの翼にカメラをマウントしているようにシミュレートすることで、より複雑で緻密なシーンとなっている。
アモス氏:私が気に入っているのは、ファルコンとウィングスーツの敵が、空中を落下しながら殴り合っているシーンです。スカイダイバーたちが殴り合っているワイドショットおよび肩越しのクローズアップショット、俳優が殴り合っているグリーンバックのショット、そしてフルCGのデジタルショットなどをすばやく切り替えてシームレスに仕上げています。各ショットがどの方法で撮影されたか、視聴者には分からないと思います。
「キャプテン・マーベル」、「ブラックパンサー」などのヒット作でスタント・コーディネーターとしての実績を持つアモス氏は、これまでに多くの複雑なスタントを経験しているが、「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」で実現できたこと、特にBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kを使ったスカイダイビングのシーンに感動したという。
アモス氏:シンプルに、このカメラの性能と信頼性は驚きでしたね。何度も飛んで酷使しましたが、マーベル・スタジオの作品にふさわしい品質と解像度を維持することができました。