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Blackmagic Designによると、フィリップ・ノイス監督、アカデミー賞ノミネート女優のナオミ・ワッツ主演の長編映画「The Desperate Hour(原題)」が、ACSのジョン・ブローリー撮影監督により、Blackmagic URSA Mini Pro 12Kデジタルフィルムカメラで撮影された。同作は、2022年2月25日に劇場およびオンデマンドでプレミア公開される。

フィリップ・ノイス監督による「The Desperate Hour」は、次々と明らかとなる事実に手に汗握るスリラー。最近夫を亡くし、シングルマザーとなったエイミー・カー(ナオミ・ワッツ演)は、小さな町で、幼い娘とティーンエイジャーの息子のために平穏な生活を取り戻そうと奮闘している。ある日のこと、森でジョギングしていたエイミーは、息子の学校で銃乱射事件が起こり、町がパニックに陥ったことを知らされる。数マイル離れた森の奥を徒歩で移動しながら、エイミーは息子を救うために必死で時間と戦う。

同作の撮影は、コロナ禍の真っ最中である2020年7月に、オンタリア州北部の人里離れた場所で行われた。

パンデミックの最中の撮影ということに加え、ストーリー展開も撮影を難しいものにしていた。作品中の多くはエイミーだけのシーンであるが、彼女は起伏の多い地形を走り続けているため、撮影のアプローチが非常に重要であった。ブローリー氏は、小型で高解像度であるという2つの理由でURSA Mini Pro 12Kを選択したという。

ブローリー氏:この作品の主人公は、作品内でほぼずっと、走ったり歩いたりして早いペースで移動しているので、撮影が難しかったですね。エイミーは最初は舗装された道を走っていますが、次に砂利道を走り、小道を走り、森の中の獣道を走って、ついには文字通り、道のない森の中に入り込みます。

撮影は非常に困難であり、ブローリー氏にとってこの撮影の鍵となるのは、多様なリグ組みが可能で、多様なショットが撮影できる小型のシネマカメラであった。

ブローリー氏:この作品は、リアルタイムで進行していくので、それをどう撮影するかは、本当にチャレンジングでした。15分間に及ぶシーンで、エイミーが数マイル走り続けるというテイクでは、どのようにして彼女についていくのか考える必要がありました。音を出さずに、エイミーを追い続けるには、どのような機材を使えば良いのでしょう? これはごまかしの効かない複雑な問題であり、また野心的な問題でもありました。

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ブローリー氏は、4台のURSA Mini Pro 12Kカメラを使用することを決め、1台を電動バイクの荷台に取り付けて、SRH3で固定したリモートヘッドを使用した。

ブローリー氏:この設定の素晴らしさは、バイクに取り付ける機材が非常に小型で軽量なことです。木々の間を文字通り縫って進むのであれば、カメラセットアップはコンパクトで軽量なものが望ましいですよね。

2台目のカメラはスタジオモードでリグ組みされ、3台目のカメラは別クルーによって、Bロールの撮影やエイミーの代役の俳優たちの撮影に使用された。4台目はバックアップとして待機していた。また、ブローリー氏は、追加のインサートショットの撮影にPocket Cinema Camera 6K Proを使用した。

ブローリー氏とノイス監督は、初期の段階から12Kの追加解像度をプランに入れていたという。

ブローリー氏:スタビライザーを使用してはいましたが、さらにショットのスタビライズを行う必要があると分かっていたので、12K解像度は大きなメリットでしたね。また、URSA Mini Pro 12Kでは、画角をそのままに8Kで撮影できるということも大きいですね。このメリットは、ローリングシャッターの読み出し時間が半分になることです。大雑把に言うと、URSA Mini Pro 12Kの読み出し時間は約15ミリ秒ですが、8Kだとこれが半分の7~8ミリ秒になります。

例えばアクションシーン、特に横からの撮影や木々の間をパンするような撮影で、縦の歪みを解消するのに8Kモードのローリングシャッターが役立ちました。エイミーの正面で、電動バイクの荷台から撮影する場合は12Kで撮影しましたが、横からのショットやパンする場合は8Kで撮影しました。

ノイス監督とブローリー氏は、ごく最近では、URSA Mini Pro 4.6K G2をAカメラとして使用してパイロット版を撮影するなど、これまでにもBlackmagic Designのカメラを使用してきた。ブローリー氏は、今回のテストショットにもBlackmagic Designカメラを使用している。

ブローリー氏:URSA Mini Pro 12Kや他のシネマカメラで、テスト撮影しました。DCPを作成して、ノースベイの地元の劇場で試写しました。ノースベイは、私たちが撮影を行なった小さな町です。このようなことを、ブラインドテストで行うのが好きなんです。プロデューサーや監督が見守る中、大画面でショットを流しました。その場の全員が、URSA Mini Pro 12Kのルックを気に入りました。このカメラに対する反応が一番多かったですね。

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12Kカメラ(12,288×6,480ピクセル)での撮影ということで、超高解像度であるが故に予期せぬ問題が生じるのではないかという懸念が他の部署から寄せられることをブローリー氏は予測していた。

ブローリー氏:ナオミのヘアメイクスタッフに、今回は12Kカメラで撮影すると伝えたら、「ちょっと待って、12Kカメラでナオミのクローズアップを撮影するの?」と戸惑っていたので、彼らとは十分に話し合いました。面白いことに、超高解像度で撮影すると、彼らの心配とは全く反対の現象が起こります。ピクセルの構造が消えるような感じで、ある意味、被写体が実物よりも良く見えるんです。

ブローリー氏は、12K解像度にマッチするよう、Zeiss Supremeレンズを使用したが、これにより好ましい結果を得られることに気づいた。

ブローリー氏:最初にURSA Mini Pro 12KカメラとSupremeレンズを使用して撮影した時、センサーが35mmであるにも関わらず、それよりも"大きく"見えたんです。ちょっと上手い表現が見つからないのですが。フレームは実に美しかったですね。Supremeレンズは、大きめのフォーマットのルックになるような気がするので、URSA Mini Pro 12Kとの相性が良いと思います。

技術的な側面だけでなく、ブローリー氏はURSA Mini Pro 12Kを使ってBlackmagic RAWで撮影すると、同作に必要なイメージが得られると確信していた。

ブローリー氏:このセンサーの仕組みは独特です。撮影したのは秋であり、森の色が大きな役割を果たしています。制作デザインチームは、見た目で撮影地を選びますが、撮影地も作品のキャラクターです。撮影地の森には美しい秋の色彩があり、URSA Mini Pro 12Kは、撮影地の活気やニュアンス、そして繊細な正当性を伝えられます。特にグレーディングの段階で、イメージがより繊細であることに気づきます。ナオミの顔に注目すると、額に空の色が反射していることが分かります。

撮影の圧縮設定の選択は、データ管理の面でも非常に重要であるが、Blackmagic RAWは、この点で他のコーデックと異なっている。

ブローリー氏:今回は、Blackmagic RAWの固定クオリティの"Q"設定を使用しました。ほとんどはQ3で撮影しました。12KをQ3で撮影すると、1時間で約1テラバイトになり、素晴らしいルックが得られます。固定クオリティ設定は、映像内の動きではなく、フォーカスしている被写体によって、ビットレートが高低で変動します。

これは面白いですね。フォーカスが合っていない被写体はデータが少なく、フォーカスされている被写体は多くのデータを使用します。この仕組みは面白いと思います。しかし、実際のところ、圧縮自体が問題になったことはありませんでした。

結局、URSA Mini Pro 12Kを使用するというブローリー氏の選択は、多くの理由からスタッフをやる気にさせ、すばらしい作品が完成した。

ブローリー氏:URSA Mini Pro 12Kを選択した理由は多くありますが、一番は、1台のカメラの価格で、4台のカメラを使用できることです。そして、スタビライズやショットのリサイズで必要な余分な解像度が得られるということですね。私は手持ちで撮影することを好みますが、URSA Mini Pro 12Kは他のシネマカメラと比べて物理的に小型なので、長尺のテイクにも良いですね。

スタビライザーに関しても、カメラ自体が軽量なので、すべての作業がやりやすくなります。このように、画質以外の理由もたくさんあります。フィリップは、トロント国際映画祭のプレミアに出席しましたが、非常に素晴らしいルックだったということです。最終的には、これがカメラを選ぶ一番の理由ではないでしょうか。

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