Blackmagic Designによると、Bleacher Reportのウェブアニメーション・シリーズ、「The Portal」が、アニメーションスタジオ、InfiniteWorldにより、DaVinci Resolve Studio編集/グレーディング/VFX/オーディオポストプロダクション・ソフトウェアおよび、Fusion Studio VFX/モーションピクチャー・ソフトウェアを使用して作成されたという。
完全なリモート会社であるInfiniteWorldは、マーケティング、eコマース、メタバースのためのブランド・ダイレクトメディアやアセット作成を提供している。同社は、スポーツ文化を発信するウェブサイト、Bleacher Reportと、その親会社であるTurner Sports/Warner Mediaから、今日および過去のNABのスター選手が一対一で勝負するリミテッド・アニメーションのシリーズを作成する仕事を請け負った。
このシリーズはBleacher Reportのウェブサイトで配信され、ケビン・デュラント、ジョエル・エンビード、ヤニス・アデトクンボ、カイリー・アービング選手ら、現役のNABスターが登場している。
長編映画のステレオスコピック監督としてのキャリアを通じ、DaVinci Resolve Studioの長年のファンであったという制作責任者のジャレッド・サンデュー氏は、「The Portal」の制作においては、ソフトウェアが鍵となることを当初から確信していたという。
サンデュー氏は次のようにコメントしている。
サンデュー氏:私はDaVinci Resolveを愛用しているので、今回のプロジェクトでもResolveを使うべきだと提案しました。
サンデュー氏は、メインコンポジターのJ・ビルズ氏をチームに招き入れ、Fusion Studioを習得するよう頼んだ。他のハイエンドの合成ソフトでは、非常に高くつくことが分かっていたからである。ビルズ氏はコンポジターとしてだけでなく、エディター、カラリストとしても豊富な経験を持っていたため、サンデュー氏は、すぐに彼をポストプロダクション・ワークフローのリーダーに抜擢した。
厳しいスケジュールの中で、Bleacher Reportが求めるレベルの品質で作成するためには、ワークフローの構築が鍵であった。
ビルズ氏は次のようにコメントしている。
ビルズ氏:予算は一般的な言い訳ですが、私たちが選択するツールに予算がそれほど大きな影響を及ぼしているとは思いません。
私たちのセットアップでは、必要なツールをすべてテストします。何よりもまず非常に信頼性が高いことが求められます。クラッシュしたり、動作が止まってしまうようでは問題外です。さらに、私たちが認めるレベルの作品を作れるだけの性能も必要です。そして可能な限り、必要な作業を省けるようなワークフローが求められます。FusionとResolveは、これらの項目をすべてパスするツールでした。
ウィル・グローベ監督が各エピソードの基本的な絵コンテを提供し、スクラッチトラックが作成された。ビルズ氏がこれらのエレメントをDaVinci Resolve Studioに取り込んで、レビュー用の編集タイムラインをすばやく作成した。
ビルズ氏:最終的にどのようなルックになるかを確認するため、多くの場合、この"ボードマティック"の編集は、複雑でややこしいものになります。パイロット版の初期のドラフトでは、本格的なコミックスタイルの分割スクリーンと、ソール・バスのようなモーショングラフィックスのモックアップを作成しました。
私がResolveで一番気に入っている点は、ツールを組み合わせることで、新しい作業方法が可能になることです。エディットページでサウンドトラックを構築し、瞬時にFairlightページに切り替えて、より複雑なオーディオの作業ができることは素晴らしいですね。特定のシーンで作業する際、どのページを開いていても、即座にFusionページに行って絵コンテのペイントを修正したり、キャラクターの顔の向きを変えたり、ボールをカット&ペーストして他のキャラクターに持たせたりするなど、すばやく作業できます。
いちいちウィルに絵コンテを描き直してもらう必要はありません。"単一のアプリですべてを行う"というモデルが、ここで真価を発揮しました。Resolveを一度でも使うと、ミックスするオーディオトラックを検索したり、合成にちょっとした変更を加えるためだけに、作業を中止して他のアプリを開かなければならないことは、本当に面倒に感じますね。
絵コンテのオッケーが出ると、3Dチームが作業を始め、フル3Dのエレメント/キャラクターのアニメーションを作成する。このアニメーションはサンデュー氏とビルズ氏に戻され、DaVinci Resolve Studioでレビューすることで、2Dフォーマットでは確認できない問題を見つけることができる。編集が固まり、他の3Dエレメントが出来上がるのを待っている間、ビルズ氏はDaVinci Resolve Studioのマルチツールを活用して、作業を進める。
ビルズ氏:全ての作業の締め切りが厳しいため、プリビズのアーティストたちが未処理の編集を行っており、手が空いている時には、サウンドエフェクトや音楽のレイヤーを重ねたり、オーディオトラックをさらに改善したりしています。編集時にエフェクトをかけたり、ギャグを合成したりすることもあります。
アニメーションの多くは、これまでと同じ3Dパッケージで作成していたが、Fusion Studioのパワフルな3D作業空間を使用することで、3Dチームの作業量が減り、効率がアップすることをビルズ氏はすぐに見抜いたという。
ビルズ氏:例えば、多くのショットに登場するジャンボトロンのエレメントにFusionの優れた3D空間を使用しました。3Dのカメラワークは非常にダイナミックなので、2Dや2.5Dでは不可能だということが分かっていました。そのため、Fusionを使用したんです。Fusionでこれができることは嬉しかったですね。結果として、CG部門ではこのエレメントの作業は必要なくなりました。
ビルズ氏にとって、3Dとの統合は必要不可欠であった。Fusion Studioでは、膨大なデータセットを扱えることもあり、エレメントを活用して、ユニークなエフェクトを作成できるFusion Studioの性能は、ワークフローで重要な役割を果たすようになった。
ビルズ氏:あらゆるアングルからの見栄えが良い3Dでアリーナの群衆の密度を作り出すために、4,000弱のエレメントが使用されています。これらのエレメントは、3Dパッケージを使ってアニメートされ、その後、Alembicフォーマットでループアニメーション付きのジオメトリデータとしてFusionに送信されます。
これらの基本的なFusion合成の多くは、プリコンパイル前に、300から400メガバイトの範囲になります。この群衆のソリューションは、Fusionが実際にどれだけのデータを処理できるのか、そして3Dシステムがいかに堅牢かを証明するものでした。
「The Portal」の4つのエピソードを作成した経験から、ビルズ氏はDaVinci Resolve StudioとFusion Studioが、このプロジェクトにとって最善の選択肢であったと確信しているという。
ビルズ氏:ResolveとFusionは良いこと尽くめです。私にとっては、最もエキサイティングなソフトウェア、高品質の作成が可能なソフトウェア、そして残業せずに納期を守るためのスピードと安定性を持ち合わせたソフトウェア、タスクをこなすための機能を搭載したソフトウェアであることに尽きますね。このプロジェクトのモットーは、「上手くやって、クールに仕上げる」ですが、このワークフローにより、実現することができました。
サンデュー氏は、DaVinci Resolve StudioとFusion Studioを中心としたワークフローを構築するというInfiniteWorldの選択は、多くの意味で正しかったと確信している。
サンデュー氏:この組み合わせは、今日のアニメーションスタジオにとってベストなソリューションですね。機能や安定性の面だけでなく、ライセンスの費用を考慮するとなおさらです。ResolveおよびFusionを組み合わせることで力を存分に発揮でき、大きなストレスをかけても持ち堪えてくれることに毎日驚かされています。