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Blackmagic Designによると、サンダンス映画祭で賞を受賞した「Leonor Will Never Die(原題)」が、DaVinci Resolve Studio編集/グレーディング/VFX/オーディオポスト・ソフトウェアを使ってグレーディングされたという。

2022年サンダンス映画祭で受賞した、2本のフィリピン映画のうちの1本である同作は、マルティカ・ラミレス・エスコバル監督のデビュー作であり、Manila’s Quantum Postのティミー・トレス氏がグレーディングを担当した。

サンダンス映画祭で、ワールドシネマ・ドラマティック部門の審査員賞を受賞した同作は、今回の映画祭で最も話題となった作品のひとつである。

「Leonor Will Never Die」は、年老いて引退したアクション映画監督、レオノールのストーリー。彼女は頭にテレビが落下して昏睡状態となっている。昏睡の中でレオノールは、彼女が作りかけだった映画に登場するアクションヒーローとなり、映画を内側から変えることで、彼女自身のリアルな人生をも変えるチャンスを与えられる。

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同作は、1980年代の高度に様式化されたフィリピンのアクション映画へのオマージュなど、いくつかの特殊な映画ジャンルのルックおよび雰囲気を組み合わせている。これらのルックを実現するために、エスコバル監督とトレス氏は、DaVinci Resolve Studioを採用した。DaVinci Resolve Studioを選択した理由は、幅広いカメラのフッテージを扱える性能であったという。この作品で使用された異なる4社のカメラも同様である。

エスコバル監督は、同作で異なるスタイルを採用したクリエイティブな意図について次のようにコメントしている。

エスコバル監督:「Leonor Will Never Die」は、映画の中の映画の中の映画、という構成になっているので、異なるルックを持つ3つの"世界"があるわけです。

1つ目は自然な世界。ここでは、照明は最低限に抑えて、多くの場面をロングテイクで撮影しています。ティミーはこのスタイルを"グレーディンググレーディングしていないルック"と言うでしょうね。繊細であるけど慎重にバランス調整されて、リアルの世界に近い心地よいルックです。

"第四の壁"を破るシーンが含まれている最後の部分は、ドキュメンタリーのように撮影され、舞台裏映像やアーカイブフッテージも含まれている。しかし、エスコバル監督とトレス氏は、通常のドキュメンタリーとは一線を画すような、夢と喜びに満ちた映像にしたいと考えていた。これを実現するために、両氏はDaVinci Resolve Studioのバランス調整機能やマッチング機能を活用した。

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この映画の最大の特徴は、80年代のフィリピンのアクション映画に対するオマージュである。

トレス氏:グレーディングのプロセスで一番難しかったのは、アクション映画のようなルックを作成することでした。アクション映画のルックと、レオノールの記憶にある独特の世界をミックスしたルックにしたかったんです。

ResolveのOpenFXを使用して、グレインとシャープネスを色々試しました。グレーディングの最中に、これらのツールにアクセスできることで、驚くほど簡単にルックを作成することができました。これにより、これらのシーンが実際の世界よりも生き生きとしたものになり、イメージにテクスチャーを追加することで私たちが描いていたビジョンを実現できました。

バーでのアクションシーンがあったのですが、環境照明を青から赤に変更する必要がありました。色のついた照明を使用すると、特定のショットでひとつのカラーが際立ってしまうからです。

このシーンは多くのクリップがあり、締め切りが非常に厳しかったので、青の色味をひとつひとつ取り除いていたら、とても面倒だったでしょう。この特定のシーンでは、DaVinci Resolve Studioの色相vs色相の機能が威力を発揮し、監督が希望する特定のシェードを実現できました。

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