株式会社ソリトンシステムズは、アマゾンウェブサービス(以下:AWS)の5Gデバイス向けクラウドサービスAWS Wavelengthを利用した超低遅延映像サービス「Zao Cloud」の提供を開始した。
ソリトンシステムズは従来よりH.265コーデックに対応した映像伝送装置「Smart-telecaster Zao」を開発、販売している。ここで使用しているソリトンシステムズ独自のRASCOWプロトコル※は低遅延で高品質な映像を安定的に伝送できる技術として評価され、帯域の揺らぎが大きいモバイル環境における映像伝送ソリューションとして、報道、警備・災害時の状況把握など向けに、広く国内外で採用されてきたという。
※RASCOWプロトコル:独自に開発した複数の電波を重ねる技術。UDPベースの低遅延通信プロトコル。暗号化、マルチリンク冗長、エラー訂正などの通信の安定化技術に加えて、制御信号の重畳をサポートしている。現在バージョン2が利用可能となっている
AWS Wavelengthは、AWSのコンピューティングサービスとストレージサービスを5Gネットワークのエッジに組み込むことで、機械学習、モノのインターネット(IoT)、動画やゲームのストリーミング配信など、より高速で広帯域、低遅延が求められるアプリケーションやサービスの構築を支援するAWSのサービスだ。
ソリトンシステムズはAWSの協力を得て、Zao(RASCOW)の独自技術をAWS Wavelength上で構築。当該独自技術により、エッジでのデータ処理を簡略化し、一層の高速、低遅延、かつ安定的な映像伝送を実現するという。この新方式による映像サービスを「Zao Cloud」とし、ソリトンシステムズは国内外で販売していくとしている。
コロナの世界的な蔓延により、遠隔地の状況、作業を現実感のある高精細映像で見たい、モニターしたいという遠隔臨場が多くの場面で求められるようになった。映像データにとどまらず制御信号が共に低遅延で送受信されるとき、「遠隔臨場」から「遠隔操縦」に発展する。遠隔操縦とは建機やロボットをネットワーク経由でリアルタイム制御するということだ。その究極は遠隔医療、特に遠隔手術かもしれない。また、高解像度のライブストリーミングと高忠実度のオーディオ処理の実現も考えられるとしている。
ソリトンシステムズはAWS Wavelengthを活用することで、AWSのAPIでクラウドへの低遅延アクセスを活かした新たなサービスの構築が可能となるという。今後、関連する技術を1つ1つ検証しながら、このプラットフォームの活用を追求していき、「遠隔操縦」から「遠隔操縦の自動化」を目指すとしている。