キヤノンは、同社の18型業務用4Kディスプレイ「DP-V1830」向け無償ファームウェアおよび有償アップグレードを2022年7月上旬に提供開始する。同ファームウェアおよびアップグレードにより、映像信号確認用の波形モニターや色度図表示などの機能拡充のほか、複数映像のマルチ画面表示や出力信号のスイッチアウト機能等が追加される。
映像のYRGB信号レベルを波形モニター上に同時表示する「パレード表示」機能を追加。現行機種ではY/Cb/Cr/R/G/Bのいずれか1信号のみの表示に対し、Y/R/G/Bの信号を同時に比較表示できるため、映像信号レベルのバランスを視覚的かつ効率的に確認可能。撮影された映像を見ながら、無彩色(白/黒)の信号レベルを確認できるため、カメラの撮影設定等の作業時間を短縮できるとしている。専用の波形モニターを用意する必要がなくなり、機材数を減らしたコンパクトな撮影体制で映像制作が可能。
HDRモニタリングアシスト機能の拡張として、映像の全画素の色情報を色度図上に表示する「色度図表示」を追加。指定したピクセル位置の色度図表示に加え、同機能により一目で全画素の色情報の確認が可能。映像全体が想定色域範囲内にあるかを視覚的に確認可能となる。
キヤノンの既存の業務用4Kディスプレイに搭載されている「フレーム輝度モニター」による最大輝度/平均輝度の遷移表示や、「ヒストグラム」による輝度の度数分布の確認が可能。波形モニターや色度図などの各種信号情報を映像上に重ねずに表示可能な「マルチ情報表示」を追加。個別の信号変換器や別ディスプレイ等の機材を削減でき、ディスプレイ1台で映像と信号情報の効率的な同時確認が可能。
SDI端子とHDMI端子からの映像を同時表示できる「SDI/HDMI混在表示」を追加。2画面/4画面表示時の各画面の「個別画質設定」を追加。ガンマや色域など異なる信号フォーマットを用いたカメラでも最大4台まで同時表示が可能。また、「User LUT比較表示」を4画面表示時にも拡張。これらの機能により、入力信号や画質設定時の画面切り替えが不要になり、作業時間の削減とともに、信号変換器や別ディスプレイ等の機材削減につながるため、少ない機材でコンパクトに映像制作が可能だとしている。
有償アップグレードとして、任意の入力映像を選択・出力できるスイッチアウト機能が追加可能。ディスプレイ本体背面に搭載の機能拡張用「MULTI FUNC.SDI OUT」端子を有効化することで、スイッチアウト機能を追加。SDI入力端子からの4K/60P を含む映像(最大4映像)のうち、任意の映像を本端子から出力が可能。
スイッチアウト機能を用いて出力する映像は、ディスプレイ本体のファンクションボタンや有線LAN接続したPC/タブレット端末などのWebブラウザで選択することが可能。スイッチアウト機能を用いて出力する映像に対し、任意の色(白/赤/緑/オフから選択)でマーカー(映像枠)を表示することが可能。副調整室や中継車等で、個別のスイッチャーを使用することなく、入力信号を簡易的に切り替えて計測器や別ディスプレイに出力したい場合に最適だとしている。
なお、2022年4月24日から27日(米国時間)に米国ラスベガスで開催される「NAB Show 2022」の同社ブース(セントラルホール/C4432)にて、今回のファームウェアおよびアップグレードを適用したディスプレイのデモを実施予定。