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SLS-1A(上)、本体内に8つのスピーカーを搭載(下)

ソニーは、業務用パワードラインアレイスピーカー「SLS-1A」を2023年1月初旬に発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格は税込28万円前後。

ラインアレイスピーカーとは、複数のスピーカーを線状に配置することで、垂直方向への音の広がりを抑えるスピーカーシステム。壁や天井などからの反射音の影響を受けにくく、明瞭な音を遠くまで届けるという。

新開発のSLS-1Aは、平面で四角い振動板を用いた独自開発の磁性流体スピーカーを8つ搭載し、歪みの少ないクリアな高音質を実現。小型な筐体にDSP(デジタルシグナルプロセッサー)と最大出力10Wのアンプを8ch内蔵している。また、搭載する8つのスピーカーは48mmという狭い間隔で配置しており、音の歪みを抑えるだけでなく、音を届ける方向や角度といった指向性を高精度に制御するビームコントロールを可能にしている。

SLS-1Aは、最大6台まで連結可能で、縦配置と横配置の両方に対応する。音を届ける方向や角度を専用PCアプリケーションで制御でき、設置する場所の広さや視聴者の位置に合わせて自在に音場設計が可能だ。意図通りのビームコントロールで広い範囲に明瞭な音を届けられるので、広い場所で多数の人が最適な視聴ができる音場を生成できるとしている。

さらに、ディスプレイの画面内から音が出ているような音響設計が可能なため、100V型の4K業務用ディスプレイ ブラビアやプロジェクター、Crystal LEDといった大画面ディスプレイと組み合わせることで、画音一体となる映像コミュニケーションを実現するという。

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大画面ディスプレイとの組み合わせ使用イメージ

一般的なスピーカーは、音源から垂直・水平の両方向に音が広がる。距離による音の減衰があり、遠くまで届けるために音量を上げると、音源に近いところでは音が大きすぎてしまうほか、垂直・水平の両方向に広がった音が壁や天井からの反射の影響を受け、音の明瞭さが損なわれる特性がある。

ラインアレイスピーカーは、複数のユニットを線状に連結して構成。音源を一列に並べることで、垂直方向への音の広がりと距離による音の減衰を抑えるという。壁や天井からの音の反射を受けにくく、明瞭な音を遠くまで届けることができるため、企業のエントランスやショールーム、会議室や教育機関など視聴エリアの広い場所で多人数に音を届けるのに適しているという。

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垂直・水平の両方向に音が広がる一般的なスピーカーのイメージ(左)、音水平方向に音を届けるラインアレイスピーカーのイメージ(右)
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壁や天井からの反射の影響を受ける一般的なスピーカーのイメージ(左)、音の反射を受けにくいラインアレイスピーカーのイメージ(右)

磁性流体を用いて振動板を支えるダンパーレス構造により、クリアで伸びのある高音質を実現する磁性流体スピーカーを8つ搭載している。また、幅384mm×高さ92mm×奥行き110mmの小型な筐体に、DSPと最大出力10Wのアンプを8ch内蔵している。搭載する8つのスピーカーは、わずか48mmという狭さで等間隔に並べることで、音の歪みを抑えるだけでなく高精度なビームコントロールを可能にしているという。

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等間隔に並ぶスピーカーレイアウト(3台を連結した状態)

スピーカーユニット毎に96kHzのサンプリングレートのDSPを内蔵しており、低周波数から高周波数までの精密なビーム制御が可能。座席が階段状に設置された会場でも、どの席にも均一に音を届けるという。

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最大6台まで連結して拡張でき、縦配置と横配置に対応している。デジタルオーディオネットワーク規格Danteに対応し、煩雑なケーブル接続を簡素化できるネットワーク接続により、Dante対応機器とのシステム構築が可能となっている。

「Line-Array Speaker Manager」アプリケーションによるシステム設定でビームコントロール設定が可能。AFMG社製の音響シミュレーションソフトEase Focus 3/FIRmaker 3Dからエクスポートした指向性制御データを、「Line-Array Speaker Manager」アプリケーションに取り込み、スピーカーに転送して詳細な音場設定ができる。

大画面ディスプレイの上下に横配置で本機を設置し、ファントム(仮想音源)スピーカーを生成できる。画面内に音を定位させ、映像と音が一体となった視聴体験を提供するという。

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本機能は、上下に設置したそれぞれのラインアレイスピーカーから視聴位置までの距離を測定し、その距離の差分を遅延量として設定したうえで、視聴する位置に合わせてイコライザー(周波数特性)およびゲイン(音量)を調整することで実現するとしている。