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©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

Blackmagic Designによると、大ヒット映画「シン・ウルトラマン」のデータマネージメントに編集/グレーディング/VFX/オーディオポストプロダクション・ソフトウェアのDaVinci Resolve Studioが使用されたという。また、同作の制作にはBlackmagic Pocket Cinema Camera 4KやUltraStudio Mini Monitorなども使用された。

「シン・ウルトラマン」は1966年に放送開始された特撮ドラマ「ウルトラマン」を現在の時代に置き換えた作品で、企画・脚本に自身もウルトラマンシリーズのファンであることを公言する庵野秀明氏。そして、監督は「シン・ゴジラ」など数々の作品を庵野氏とともに製作してきた樋口真嗣氏が担当した。オリジナル作品へのオマージュと言える演出もふんだんにあり、往年の特撮ファンはもちろんのこと、子どもたちも楽しめるエンターテインメント作品に仕上がっている。

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©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

「シン・ウルトラマン」では、撮影時のデータ管理、QC・オフライン作成で、DaVinci Resolve Studioが使用された。同作のDITである渡辺卓人氏は次のようにコメントしている。

渡辺氏:DaVinci Resolveは、データ管理のハブとして簡単に確実に使えるツールです。データのコピーではDaVinciのクローンツールを使用しました。コピーした素材は、DaVinciで再生してクオリティチェックをしました。

DaVinci Resolveは本来、フィニッシングまでできるアプリケーションです。それを使ってクオリティチェックすることで作業の精度が高くなります。この作品に限らず、モニター出しにはUltraStudio Mini MonitorやUltraStudio 4K Miniを使用しています。

クオリティチェックを経て、オフライン用素材の作成、およびラッシュ素材の作成が行われた。1日の収録データ量は1TB前後で、iPhoneで撮影した比較的データ量の少ない素材も含まれるため、撮影された尺としては4~5時間分になることもあるという。

渡辺氏:今回の作品ではメインカメラの他にいろいろなカメラを使って撮影しています。カメラの種類が多いと、メタデータにリール名が入らないカメラなどもあるので、そういったカメラの素材にリール名をつけています。オフライン素材の作成では、画面にタイムコードなどの情報を焼き付けて作りました。DaVinciはデータ焼き付けのカスタム設定が簡単にできるので便利ですね。

同作の制作会社担当者は次のようにコメントしている。

制作会社担当者:この作品は色々なアングルから撮影する必要があったので、さまざまな種類のカメラが撮影に投入されています。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4Kも一部の特撮用カットで使用しました。

渡辺氏:今回の作品は2019年に撮影を開始してから、追加撮影が多く定期的にありました。DaVinci Resolveはバージョンアップをしてもプロジェクトの引き継ぎが簡単にできるので安心して作業できました。

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©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

また、「シン・ウルトラマン」の宣伝用動画の一環として、円谷プロダクションの動画プラットフォーム、「TSUBURAYA IMAGINATION」で限定公開されている「シン・ウルトラファイト」では渡辺氏がDaVinci Resolve 18でフィニッシングまで行ったという。

渡辺氏:これは、フルCGのショートムービーでデータマネージメントではなく、オンライン編集として色を調整したり、ResolveFXのエフェクトを使って加工したりして完パケまで仕上げました。CGに強めのエフェクトをかけたので、アーチファクトが出てしまう時がありましたが、ビューティやデバンド機能などを使って馴染ませることができました。新しくなったマジックマスクは、禍威獣や外星人でもばっちりトラッキングできます(笑)。DaVinci Resolveは複合的な作業が1つのアプリケーションでできるので作業時間の短縮につながりました。

制作会社担当者:DaVinci Resolveを使用することで、監督の求めることに対して即座に対応することができました。そうすることで監督の判断も早くなり、効率的に作業を進めることができました。

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©2022「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ