ニコンは、フラッグシップモデルのフルサイズ/FXフォーマットミラーレスカメラ「ニコン Z 9」のファームウェアVer.3.00を公開した。変更点の詳細は以下の通り。
「ハイレゾズーム」などの動画機能の進化
「ハイレゾズーム」は、動画撮影時にレンズの望遠端を超えるズーミングを高画質で行える機能。4K UHD動画撮影時には最大サイズ8K UHDで撮影しながらクロップすることで、一般的な電子ズームや撮影後の編集による拡大とは異なり、解像感を保ったまま最大2倍までのズーミングが可能となる。使用するレンズを問わずズーミングに対応するため、単焦点レンズの使用時には、開放F値1.2などの非常に浅い被写界深度を活かしながらズーム表現を楽しめるという。
また、カメラのFn1ボタン/Fn2ボタンや、レンズのFnリング/コントロールリングに「ハイレゾズーム」を割り当てが可能。ボタン操作によるズーム時には、手動では得られない一定速度の滑らかさで、コントロールリング使用のズーム時には表現したい速度でズーミングを可能としている。
さらに、動画でも「高周波フリッカー低減」機能が使えるようになったほか、ワイヤレスリモコンを用いた複数台の「Z 9」のタイムコード同期に対応。Bluetooth経由で他社製品を含めた撮影機器や録音機器の同期が可能な、ATOMOS社の「UltraSync BLUE」にも対応し、動画編集を容易にするという。
連続撮影の多様なニーズに応える「C60」の追加
「ハイスピードフレームキャプチャ+」に、これまでの「C30」、「C120」に加え、約60コマ/秒で約19メガピクセルの静止画連続撮影が可能な「C60」を追加した。高速連続撮影を行う報道・スポーツや野鳥撮影を中心に、フォトグラファーの多彩なニーズに対応する。連続撮影時のグループ再生表示の使い勝手の向上や先頭の画像を表示後、その連続撮影グループの画像を自動で順次表示する「自動連続再生」の追加など、スポーツや野鳥撮影で高速連続撮影を多用するフォトグラファーに、より快適なワークフローを提供するとしている。
よりスムーズな撮影を実現する、操作性や各種表示の改善・向上
カスタムメニューで割り当てられるメニュー項目・操作ボタンを拡充し、使用頻度の高い機能によりスムーズにアクセスが可能になる。また、設定した露出を静止画ライブビューに反映できる「ビューモード設定(静止画ライブビュー)」の「撮影設定を優先」を改善し、スピードライト装着時に露出設定を反映するか、しないかの選択が可能。撮影前に背景の露出が確認できるため、スピードライトによる発光の影響を受けない背景の仕上がりを事前に確認したうえで撮影ができるという。さらに、あらかじめ撮像範囲「DX」用の画像サイズを設定しておける「画像サイズ(DX)」の追加や、撮像範囲のFX/DX切り換え、動画撮影時の「ハイレゾズーム」などの新機能の割り当てを可能としている。
AF関連の向上、その他の機能
AF低輝度性能を向上(低輝度限界0.5 EV向上)、「3D-トラッキング」時に被写体の手前を横切る障害物に対してのピント乗り移りの低減を実現。またフォーカスポイント表示色に赤色を追加し、背景が雪のシーンなどでもフォーカスポイントの見やすさを確保している。
また、複数台のカメラをマスターカメラとして設定している際に、簡単にマスターカメラの切り替えができる「リモートカメラの優先接続」機能の追加や通信内容を暗号化し、より安全・高速な画像送信を可能にするFTPSプロトコルに対応したという。