Blackmagic Designは、SFホラー短編「SpaceX Final Transmission」のポストプロダクションにDaVinci Resolve Studioが使用されたことを発表した。

同短編のパトリック・ケイリン監督は、エミー賞にノミネートされたVFXアーティストであり、「デッドプール2」、「ブレードランナー 2049」、「アバター」などの作品でVES賞を受賞している。

ケイリン氏は、自身の演技力を磨くためにこの2分の短編を作成した。

ケイリン氏:演技力をつけることは、監督としてカメラの後ろに回った時に良い作品を作ることに繋がります。

「SpaceX Final Transmission」は、人類が他の惑星を植民地化し、多くの惑星に移り住むという発想から生まれたストーリーである。ケイリン氏が演じるキャプテン・タイラーは、絶望的な状況に陥った火星の基地から最後のメッセージを送り、これからやって来る宇宙船に対し、大きな危機が待ち受けていることを警告し、乗員たちが狂気に侵されているとほのめかす。

ケイリン氏:このプロジェクトは、Resolveの性能を試すのにうってつけのプロジェクトでした。キャプテン・タイラーのビデオメッセージを通じてストーリーが語られるので、自宅の居間で数個の照明とグリーンバックを使用して撮影しました。この短編は、実は私が現在執筆しているストーリーの一部です。

ケイリン氏はDaVinci Resolve StudioのFusionページで合成を行い、グリーンバックからキーを抜くデルタキーヤー、クリーンプレートノード、チャンネルブールなど、複数のツールを駆使してVFX環境を作成した。

ケイリン氏:クリーンプレートを撮影していなかったので、クリーンプレートノードを使用してエロージョンの値を上げ、隙間を埋めました。

CG環境はレイヤーでレンダリングされるので、Fusionでチャンネルブールを使ってビューティパスを組み立てる必要がありました。観測窓の外に見える風景は、探査機「Perseverance」が撮影した実際の火星表面の写真を使っています。環境を構築した後、コンピュータの画面上にランダムなコード要素を合成し、さらに周囲に浮かんだホコリやゴミを合成することで、背景が殺風景になりすぎないようにしました。

深度ブラーは、Z深度チャンネルを使用して、カメラから離れれば離れるほどフォーカスが外れるようにしました。人物の肩にソフトグローエフェクトをかけて背景がプレートに溶け込むようにし、さらに背景でレンズを少し歪ませることでCGっぽさを解消しました。最後に、レクタングルノードやテキストノードを使って作成したヘッドアップディスプレイを合成しました。

ケイリン監督は コーナーポジショナーを使用して配置場所の遠近感をマッチさせ、マルチプライモードで複数のイメージを合成することで、CGウォールにゴミや汚れを追加したという。

ケイリン氏:タイラーが注目する壁に血の手形を付けて、彼の視線を誘導すると同時に、タイラーのセリフを裏付けするような何か不吉なことが起きていることを視聴者にも伝えています。

ケイリン監督は、DaVinci Resolve StudioのFairlightページを使用し、オーディオポストにもエフェクトを施している。

ケイリン氏:台詞を調整した後は、私のサウンドライブラリから効果音(SFX)と音楽を重ねていきました。基地の内側と外側のSFXは、別々のトラックに分けています。外側のトラックのEQにローパスフィルターをかけて、厚い壁の向こうから聞こえるような音にしました。

クリップごとにそれそれの音のボリュームを設定し、サウンドを編集しながらミックスしています。トラック全体のマクロ調整にはボリュームスライダーを使用しました。ボリュームスライダーの横にあるDIM切り替えは使い勝手が良いですね。SFXの音が大きすぎて驚くことがないので、サウンドチェックの際にとても便利です。

このVFX短編の制作を最初から最後までResolveで行ってみることで得た結論は、単一のソフトウェアの中に、高品質で優れたコンテンツを作り出すために必要なすべての機能が搭載されているということです。