キヤノンアドオンアプリケーションズシステムメイン写真

イベントや講義配信での自動追尾のイメージ

キヤノンは、有償アプリケーションのインストールにより、映像制作用リモートカメラに機能を拡張する「アドオンアプリケーションズシステム」の提供を開始する。第一弾として、「自動追尾アプリケーション RA-AT001」と「自動ループアプリケーション RA-AL001」を2023年4月中旬より発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格は以下の通り。

  • 自動追尾アプリケーション「RA-AT001」:税込16.8万円前後
  • 自動ループアプリケーション「RA-AL001」:税込11.2万円前後

インストールで機能拡張を行える「アドオンアプリケーションズシステム」

アドオンアプリケーションズシステムは、リモートカメラに有償アプリケーションをインストールして機能拡張が可能になるシステムだ。外付けのハードウェア不要で、シンプルなシステム構成を実現可能としている(設定はPCのWeb UIで可能)。自動追尾アプリケーションと自動ループアプリケーションは30日間の無償試用期間を提供予定しており、アプリケーションをダウンロードしてライセンスを別途購し、リモートカメラに実装することで使用が可能になるという。

有償アプリケーションのラインナップや、対応するリモートカメラの機種のラインナップは今後も拡充していく予定としている。

カメラが被写体を自動で追いかける「自動追尾」

有償アプリケーションの自動追尾アプリケーションは、人物の動きに合わせてカメラが自動で被写体を追いかけてパン・チルト・ズームを実行可能になるという。撮影者が一人でコントローラーを操作して撮影する負荷を軽減し、スイッチングや配信作業に集中できるとしている。

キヤノンアドオンアプリケーションズシステム説明写真
ユースシーンの例:イベントや講義の配信

追尾には、3つの大きな特徴をもつという。

高い追従性

1つ目は、高い追従性による安定した撮影で、通常の歩き速度程度でバストアップの画角でも撮影追従を可能としている。バストアップ画角以外も引きの画の場合は、毎秒1.8mの早歩きの動きでも対応できるという。

高品位な追尾映像

2つ目は、滑らかで高品位な追尾映像を実現可能な点としている。一般的な講義シーンで想定される被写体を、緩やかな画角制御を実現によりスムーズに追尾することが可能。映像制作用途で求められる低速でも、ゆっくりとした画角制御を実現し、滑らかな自動追尾を実現できるという。

豊富な追尾調整機能

3つ目は、追尾をより使いこなすための属性機能の充実としている。

●構図
追尾対象の大きさとして、人物サイズを5段階で指定可能。「全身を写すように追尾する」「バストアップまで寄って撮影する」といった選択が可能。顔のサイズや指定サイズが一定になるように自動でズームの制御などを一緒に行える。

追尾時の構図設定のイメージ

●追尾感度
被写体の動きに合わせて追従の感度設定が可能。高速に動く被写体には感度を上げることでしっかりと追従。ゆっくり動く被写体に関しては追尾感度をゆっくりに設定することで滑らかな画角制御で追尾できる。

●優先表示領域
板書やスライド等の指定した領域が画角から外れないように対象者を追尾する。

●画角固定領域
固定した画角で見たい領域(板書やスライド等)を設定し、その領域内では被写体を追尾せずに固定した画角で表示する。

●追尾対象自動選択
自動選択除外領域内に存在する人体を追尾対象候補から除外して、誤追尾を低減する。

●パン/チルト停止領域
追尾対象者がその場で細かく揺れる動きに合わせて、余計なPT制御をしないようにする。

●初期位置
事前に設定した初期位置で追尾対象をロストした場合、最後の場所で待つのではなく、初期位置に戻れる。

●自動選択除外領域
自動選択対象外領域に存在する人体を追尾対象候補から除外して、誤追尾を低減する。

●パン/チルト動作制御
追尾中に不要な映像を表示しないためにPTの動作に制限をかける。

指定した地点を巡回・往復する規則的な動作を自動化する「自動ループ」

有償アプリケーションの自動ループアプリケーションは、自動的に複数の事前に登録した画角に繰り返し移動が可能になるという。イベント、インタビュー、スポーツの動画配信や、TVCM・映画の制作などにおいて、従来カメラマンが演出として撮影していた緩やかなパン・チルト・ズーム(PTZ)動作などを繰り返し自動で可能になる。

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自動ループアプリケーションは3つの大きな特徴をもつという。

ABCと3つ画角を設定した場合、ABCABCという形で巡回していく巡回動作と、ABCまで行ったらBに戻ってAに戻る往復動作の二選択が可能。

巡回動作と往復動作のイメージ

また、その移動の動き出しであったり、ゆっくり加速して止まる時にゆっくり減速するといったフェードモードを搭載。実際のカメラマンがカメラワークしているような動きが可能になるという。

スムーズな開始・停止動作

設定はweb上のUIでポジションやルート、実行ボタン一つで設定可能。撮影中の操作を少なくし、少人数でマルチカメラが可能となるとしている。