ARRIは、ズームメインユニット「ZMU-4」を発表した。頑丈で耐候性に優れ、人間工学に基づいたデザインのZMU-4は、有線と無線の切り替えをシームレスに行うことを可能にする。優れた接続性により、多彩で無駄のないカメラ構築と、撮影現場でのワークフローの迅速化を実現するという。
ZMU-4は、ラスベガスで開催されるNAB SHOW 2023のARRIブース(ブース番号C6325)で体験できる。
ユニークで多彩なワイヤレス機能
Hi-5ハンドユニットの発売により、ARRIは第5世代の電子制御システム(以下:ECS)を導入した。ZMU-4は、Hi-5のRF-EMIP、RF-2400、そして今後発売されるRF-900の無線モジュールを共有し、地域や撮影状況に応じて異なる周波数の無線モジュールに交換できる、新しいエコシステムに加わる。どの無線モジュールを選択しても、ZMU-4の凹型スロットに収まり、スリムなフォームファクターと一体化。外付けの無線ボックスもなく、ケーブルや設定も不要で、カメラに接続するだけでワイヤレス操作が可能。
最も基本的な構成では、ZMU-4は無線機能を持たず、LBUSコネクタ経由でcforceモーターを制御できる。CAMコネクタを使えば、ARRIや他社製カメラのラン/ストップ、カメラコントロール、ユーザーボタンの起動が可能となる。ZMU-4に無線モジュールを装着すれば、複数のECSデバイスから無線信号を送受信できる。DPやカメラマンは、ドリーや三脚からリモートモニターステーションにジャンプしても、同じツールで同じマッスルメモリーを使用できる。
カメラビルドの効率化
無線受信機として使用する場合、ZMU-4は無線インターフェースアダプターRIA-1と同じ役割を果たすため、カメラ本体に余分なボックスを必要としない。超長距離無線モジュールRF-900およびRF-2400をサポートすることで、既存のECSモーターコントローラーの柔軟性を高めることができ、モーターコントローラーを完全に置き換えることも可能。ZMU-4はパンバー上に設置することで、ズームレンズを使用しない場合でも、これらの機能を実現し、オペレーターが複数のカメラユーザーボタン機能を使用可能となる。
ZMU-4はモーターコントローラーとして、ARRI Hi-5やWCU-4ハンドユニットの機能を、どのメーカーのカメラやレンズでも利用でき、モーターコントローラーのボックスを追加する必要がない。これによって、よりクリーンなカメラ作りが可能となる。
設定可能なコントロール、カメラのオン/オフ
ZMU-4は、カメラ内でのワイヤレス機能の拡張だけでなく、ARRI OCU-1やマスターグリップなどのデバイスと組み合わせることで、カメラ外での多軸制御も可能。ZMU-4とOCU-1の組み合わせは、例えば、DPのための小型のハンドヘルドまたはモニターマウントのズームとアイリスコントロールユニットとして使用できる。LBUSプロトコルの柔軟性と強さ、ARRIのユーザーボタンとレンズデータシステムは、カメラとレンズのコントロールに無数の可能性を提供する。将来的には、ZMU-4はHi-5エコシステム内の4軸および5軸モーターチャンネルの制御が可能となる予定。
エコノミックで、耐候性・耐久性に優れたデザイン
ZMU-4は、人間工学に基づき、左利きでも右利きでも使いやすいように設計されている。ズームノブには、正確なコントロールが可能な感圧式を採用し、表示画面には、ズームレンジのどの位置でも正確な焦点距離とズームスピードが表示される。3つのユーザーボタンは、オペレーターのためにカスタマイズ可能なショートカットで、専用のズームスピードボタンは人差し指の下にすっぽりと収まる。ZMU-4は、ARRIのすべての機器と同様に、耐久性を優先して設計され、その結果、頑丈で耐候性のあるユニットとなったという。また、既存のARRI ECS機器との後方互換性を確保しながら、将来性のある接続性と汎用性を提供する。
一日中持続するARRIバッテリー
Hi-5と同様、ZMU-4は業界標準のソニー製バッテリーNP-F550/570に対応しており、より安定した電力供給とRF-EMIP無線モジュールで最低15時間という駆動時間を持つARRI独自のバッテリーLBP-3500も使用可能な設計に最適化された。また、ARRIバッテリーを使用することで、ZMU-4は残量を正確なパーセントで表示することができ、他のズームコントロールでは不可能な、より効率的なバッテリー管理を可能にする。