ローランド、「VR-6HD」発売。AVミキサー、エンコーダー、レコーダー機能を集約したダイレクト・ストリーミング・AVミキサー

ローランド株式会社は、ダイレクト・ストリーミング・AVミキサー「VR-6HD」を2023年4月28日に発売する。希望小売価格はオープン、市場想定価格は35万円前後。

VR-6HDは、映像・音声の切り替えから合成などの演出、配信管理まで映像配信や制作に必要な機能を1台に集約し、複数の機器を接続する際の煩わしさやストレスを解消するとしている。直感的に操作できるインターフェース、複雑な操作をサポートするオートメーション機能、映像・音響演出をワンタッチで運用できるマクロ、シーケンサー機能、PTZカメラ制御などにより、オペレーターの負担を軽減し、日々の制作・発信業務をサポートする。

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VR-6HDの豊富な映像入出力や合成機能により、カンファレンスやセミナーなどビジネス用途の映像・配信制作にプロの制作品質を提供。複数のカメラとPCをHDMI経由で接続し、多彩な映像演出を1台で制作可能。また、PTZ(パンチルトズーム)カメラを組み合わせれば、ボタンを押すだけでカメラの角度を変更できる。これらのHDMI入力に加え、静止画、動画などを瞬時に切り替え可能。また、オンラインとリアル会場のそれぞれに合わせた画面構成を個別に設定、操作することができる。

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VR-6HDの背面※画像をクリックして拡大

一般的なAV機器で使われるHDMI6系統の映像入力を搭載。放送や映画のフレーム・レートや色空間とシームレスに組み合わせ、6系統の入力をもとに映像演出の幅を拡げるとしている。またEDIDおよびHDCPをサポートする内蔵スケーラーにより、PCやタブレット、スマートフォン、ゲーム機などの様々な解像度、縦横比を持つ機器との接続に対応する。

イベントやライブ配信をより盛り上げるため、静止画と動画コンテンツの再生機能を搭載。登壇者の交代や休憩時のお知らせなど、様々な場面で静止画、動画コンテンツを表示可能。本体内のビデオ・プレーヤーを使うことで、別途外部再生機器を用意する必要はなく、SDXCカードから直接動画コンテンツを再生できる。

VR-6HDは最大5レイヤーまで対応した映像合成が可能。最大2つのPinP&KEY(ピクチャーインピクチャー&キー)と、アルファ・チャンネルやエクスターナル・キーに対応するDSK(ダウンストリーム・キー)を使い、クライアントの多様なニーズにも柔軟に対応できるとしている。

レイヤー1-2:背景となる2つの映像入力
レイヤー3-4:PinPもしくはクロマ・キー、ルミナンス・キーを2つ配置
レイヤー5:フィル・キーを入力したDSKを追加

映像・音声の出力を自由に割り当てられる5つの出力系統(HDMI×3系統、USB-C×1系統、LAN×1系統)を備え、出力先に応じた画面設定が可能。例えばPROGRAM OUTはライブ配信用に、SUB PROGRAM OUTは会場送り出し用に、登壇者確認用にはAUXに出力し、確認用マルチビューや配信モニタリング、そしてSDXCカード記録用とすべての出力をVR-6HD一台で管理することができる。

VR-6HDに内蔵された28チャンネル・デジタル・オーディオ・ミキサーは、これまでローランドで培われたオーディオ・ミキシング機能を踏襲し、高品質なミキシングを実現するとしている。すべてのチャンネルでEQとダイナミクス処理はもちろん、会議やインタビューなどのシーン別やトークを聞き取りやすくするディエッシングなど、用途に応じた音声をプリセットで簡単に設定可能。オーディオの同期調整やノイズの抑制など、音声の問題を解決し、聞きやすい音作りをサポート。またオーディオ・プレーヤー機能により、配信中のBGMや効果音などの演出でプレゼンテーションを盛り上げる。

音声入力は、6系統のXLR/TRSコンボジャック端子は高品質なマイク・プリアンプと48Vファンタム電源に対応しており、幅広い業務用のアナログ機器と接続可能。RCAピン端子(ステレオ)は、オーディオ・プレーヤーや電子楽器などライン・レベルの幅広い機器に対応。さらにHDMIとUSB入力からのエンベデッド・オーディオをミキシングすることもできる。また、Bluetooth接続したモバイル機器からオーディオをライブ配信に使うことも可能。

VR-6HD本体の7個のフェーダーは入力チャンネルの割り当てができ、音の調整を直感的に操作可能。ミキシング機能を使うことでオペレーターの負荷を軽減し、各マイクの音声レベルのバランスを調整する。また特定のマイク入力に話し始めた声を優先する設定により、他のマイクのオーディオ・レベルを必要に応じて自動的に下げることもできる。

2系統のオーディオのAUXバスにより、用途に応じた個別のミックスを設定可能。例えば、演者のモニター用と、リアル会場で出力する音声とは異なるミックスをライブ配信に送出できる。自由に組めるルーティングにより、メインバスとAUXバスを2系統のXLR出力、RCAステレオ出力、USBもしくは配信/録画用の出力に、またはHDMI出力に自由に割り当てることが可能。

VR-6HDに内蔵されたデジタル・オーディオ・ミキサーには、Rolandのオーディオ処理技術やエフェクトを搭載。4バンドEQとダイナミクスの処理はすべての入出力に対応。高品質なリバーブはトークや音楽ライブなどのシーンで活用でき、またハウリングを防ぐアンチ・フィードバックや、バックグラウンド・ノイズとハム・ノイズを抑えるアダプティブ・ノイズ・リダクションなど、音声の問題を解決し、洗練された音作りをサポートするとしている。

VR-6HD搭載のオーディオ・プレーヤーを使えば、あらかじめパッドに登録した音源を押すだけですぐに再生可能。6つのパッドに登録した効果音で、イベントのアナウンス、eスポーツのカウントダウン、またはプレゼンテーションのBGMを再生し、イベントやライブ配信を盛り上げる。

主要な配信プラットフォームにスムーズに配信するための機能を搭載。LANからのストリーミングに加え、USB経由でPCへのストリーミングにも対応。アダプティブ・ビットレート機能により、安定した配信を視聴者に提供できる。また配信と同時にSDXCカードへの録画もでき、ライブ配信だけでなく、アーカイブや収録したコンテンツの配布にも活用できる。

VR-6HDは本体にLAN端子を備え、PCを介さずに、Twitch、Facebook、その他のプラットフォームに直接ライブ配信を送出可能。アダプティブ・ビットレート機能は、ネットワークの接続状況をバックグラウンドで常時監視し、出力されるストリーミング・データを自動的に調整して、ライブ配信の中断を低減。また映像と音声のバッファを設定できるセーフティー・ディレイ機能を使えば、最大60秒間のバッファ時間を設定可能。この時間中にアクシデントが発生した場合、1つのボタンで静止画へ切り替えと音声のミュートを操作できるため、不適切なコンテンツが配信されることを防ぐ。

内蔵のエンコーダーは、2つの異なるチャンネルにライブ配信することで、より多くの視聴者へアプローチすることが可能。さらに4Gまたは5G対応のスマートフォンをUSBで接続することで、配信のメイン回線、または冗長化回線として使用できる。

VR-6HDはフルHD品質でUSB-C接続したPCに出力され、Zoom、Microsoft Teamsなどの主要な配信プラットフォームから発信することが可能。配信用PCからはWebカメラと同等の機器として認識され、ドライバーは不要だという。

※UVC(USB Video Class)およびUAC(USB Audio Class)準拠
※※YUY2(非圧縮)およびMotion JPEG(圧縮)フォーマットをサポート

MP4(H.264)形式でSDXCカードに録画ができ、クライアントの要望に応じて録画したファイルの編集や配布などにも対応。また、ポッドキャスト用や音声コンテンツ用としてWAV形式のステレオ録音も可能。任意の映像入出力から本体内にキャプチャーした静止画をSDXCカードに書き出すことも可能(記録時のビットレートはライブストリームエンコードビットレートと同じ)。

VR-6HDは必要な機能がすぐに操作できるパネル設計と直感的なワークフローにより、映像や配信制作の専門知識がなくとも、安心して運用できるとしている。フェーダーやつまみなどの物理的なインターフェースで、基本的な機能にすぐにアクセスでき、より詳細な設定は4.3型のタッチスクリーンでスムーズに操作可能だ。シーン・メモリー、マクロ、シーケンサー機能は煩雑な画面構成や操作を簡略化し、セミナーやライブ配信の進行を円滑に進めることができるとしている。

イベントやライブ配信を円滑に進行できるよう、画面構成や操作設定をあらかじめ登録したシーン・メモリーやマクロを本体のボタンですぐに呼び出すことが可能。PinPの子画面の位置やサイズ、タイトル合成のON/OFFなどの画面構成の設定を最大32個までシーン・メモリーに登録可能。イベントやライブ配信の進行に応じてシームレスに切り替え、呼び出しができる。映像切り替えやDSKのON/OFF、PTZカメラの動作、オーディオ・ミキシングなど一連の操作を1個のマクロに10個まで構築記録、実行することが可能。最大100個のマクロを登録できる。

マイクを使った登壇者が多い場合、登壇者の発声に追従し、音声をきっかけに映像を切り替えるなどVR-6HDに搭載されたオート・スイッチングとオート・ミキシング機能により、このようなワークフローが簡単に運用できるとしている。

シーケンサー機能は、シーン・メモリーとマクロを組み合わせ、演出の進行に沿った画面構成や演出を簡単に実行できる。シーケンサーには最大1000個のステップを登録でき、各ステップにはシーン・メモリーとマクロの両方を組み込むことが可能。シーケンスを事前に設定し、きっかけに合わせてNEXTボタンを押すことで運用のオートメーション化を実現する。

VR-6HDはLAN経由で接続されたCanon、JVC、Panasonic、Sony、PTZOptics、AvonicおよびVISCA互換の一部のPTZカメラを最大6台まで制御可能。また複数のPTZを接続する場合、異なるメーカーのPTZカメラやプロトコルを混在させても制御でき、既存の設備に最新のPTZカメラを増設するようなスタジオ構築でも、専用の制御システムを用意する必要はないという。

VR-6HDは専用のリモート・アプリケーションやさまざまな外部制御機器により、操作性を拡張する。

  • グラフィカルな画面で直感的にタッチ操作可能なiPad専用リモート・コントロール・アプリケーション「VR-6HD Remote」
  • macOS/Windowsに対応したリモート・コントロール・ソフトウェア「VR-6HD RCS」
  • フット・コントローラーを接続し、100以上の操作コマンドを足元で実行可能
  • HDMI経由で接続した対応する外部機器のRECコントロール/RECステータスを管理
  • スマートタリーまたは本体背面のタリー端子を使ったタリー制御が可能
  • RS-232、Tally/GPIO、D-sub端子など従来のシステム構築にも対応

※2023年冬頃に対応予定

なお、PRONEWSでは4月下旬にVR-6HDのレビュー記事を公開予定だ。乞うご期待!


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