DJI「Inspire 3」発表メイン写真

DJIは、シネマグレードの空撮オールインワン型ドローン「DJI Inspire 3」を2023年6月末に発表する。希望小売価格は税込1,769,900円。

DJI Inspire 3 は、洗練された一体型デザイン、161°超広角FOV ナイトビジョンFPVカメラ、O3 Pro伝送での制御システムを特徴とする。トップレベルの飛行性能を有し、大規模撮影にシームレスに適用できるプロ向けエコシステムに完全対応している。

DJI Inspire 3はDJI製ドローンの中で、唯一RTKを使ったWaypoint Pro機能と全方向障害物機能の両方に対応したシネマグレードドローンとなり、より安全に、より高い精度で飛行ミッションを実行できるという。

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洗練された一体型設計

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前モデルから機体設計を一新したDJI Inspire 3は、軽量な一体型ボディで、携帯性に優れたフォームファクターと精密かつ堅牢な変形型フレームを備え、プロドローンらしい外観と雰囲気を兼ね備えている。

FPVカメラ、複数のビジョンセンサーや測位用アンテナ、データ格納ストレージスロット、これら全てが機体フレームとシームレスに融合された設計で、ミニマルかつ美しさを追求した現代的な工業デザインを実現。刷新された機体設計では360°パンに加え、新たにチルトブーストにも対応している。ランディングギアが下がっている時、ジンバルは上向き80°までカメラを向けて撮影でき、機体フレームなどの映り込みがないため、これまでにない斬新なショットを撮影できるという。

新しいデュアルTB51インテリジェントバッテリーはホットスワップに対応し、最大28分の飛行時間を実現。パワフルな推進システムにより、最大飛行速度94km/h、最大上昇速度8m/s、最大下降速度8m/s、そして、最大下降(チルト)速度10m/sを実現可能としている。

シネマグレードのフルサイズ8Kイメージングシステム

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DJI Inspire 3は、DJI史上最軽量のフルサイズセンサー搭載ジンバルカメラZenmuse X9-8K Airを備えている。このジンバルカメラは、DJI最新の映像処理システムCineCore 3.0を搭載し、最大8K/25fps CinemaDNG動画3や8K/75fps4 Apple ProRes RAW動画を内部収録することができ、5トップクラスの映画/テレビ番組制作のニーズを満たせる。S&Qモードでは、最大4K/120fpsのクロップなしフルサイズ撮影動画をProRes RAWで内部収録でき、クリエイティブな編集オプションが広がるという。

デュアルネイティブISOに対応

30fps以下のフルサイズ撮影の場合、EI 800/4000に対応し、映画制作でよく使われる24fpsを利用可能。30fpsを超える場合は、EI 320/1600に対応。低照度環境下でも、細部まで非常に鮮明な映像を撮影することができるという。

14+ストップのダイナミックレンジに対応

日の出や日没のような複雑な照度環境下でも、明暗部のディテールまで鮮明に捉える。また、ハイダイナミックレンジにより後編集での選択の幅が広がり、大きく露出を調整した場合でも、現実に忠実な色合いを保持できる。

映画撮影用の空撮のために設計された高品質のシネマレンズ群

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映像制作者がより自由度の高い撮影ができるよう、DJI DLマウントに対応するレンズ群に、8K空撮用に特別設計された18mm F2.8フルサイズレンズと75mm F1.8フルサイズ望遠レンズ6が新たに加わり、既存の24mm、35mm、50mmフルサイズレンズと共に、高品質のシネマレンズ群を構成する。

DJI独自で培ってきたカラーサイエンス技術を基に開発されたDJI シネマカラーシステム (DCCS)により、X9-8K Airは実物に忠実な色合いを捉え、空撮映像のイメージを一新したという。このカラーシステムは自然風景や都市の景観の撮影に適しており、また、様々な環境や照度条件下でも肌の色合いを正確に捉えることが可能。

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DCCSによってDJI Ronin 4Dなどの地上ベースのシネマカメラとX9-8K Airの間で撮影した映像の色合いが容易にマッチするため、空撮から地上での撮影に至るまで一貫したカラースタイルを提供し、映画制作における後編集作業のニーズを満たすことができる。同梱のDJI PROSSD 1TBは、書き込み速度1100MB/sと読み込み速度900MB/sに対応。USB-Cケーブルを介してパソコンと直接接続でき、簡単にファイル共有、シームレスなワークフローを実現する。

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機動性に優れた高精度フライトシステムを使用したインテリジェントモード

DJI Inspire 3は、建築や測量の分野で使われているRTK高精度測位技術を搭載し、cmレベルの測位を実現した。7RTKを使用することで飛行がより安定するだけでなく、さらに精度の高い飛行ルートを計画でき、撮影の効率が大幅に向上する。

RTK測位用の2層式セラミックアンテナが内蔵され、3種類のGNSSシステム (GPS + Galileo + BeiDou)の信号を受信でき、複雑な環境でも正確に飛行を操作できる。ネットワークRTK 8を有効にする、もしくはD-RTK 2 モバイルステーション9を設置すると、追加モジュールなしで高精度の測位が可能。また、内部標定機能が搭載され、ほとんどのシナリオでコンパス キャリブレーションを行う必要がないという。

さらに、Waypoint Proが新たに搭載され、飛行ルートや撮影の計画が幅広くカスタム設定できる。ワンオペでの撮影でもプロの撮影クルーによるオペレーションでも、Waypoint Proを使えば非常に複雑なシーンも問題なく撮影可能。

Inspire 3に搭載されたWaypoint Pro機能(2つのモード)

リピータブル ルート

飛行高度、飛行速度、ジンバル角度、カメラ設定など、事前設定した全てのパラメーターを維持した状態で、機体は同じルートを正確に自動飛行する。同じ飛行ミッションを繰り返すことができるため、難易度の高いワンテイクショットを簡単に撮影したり、時間を変えながら複数回同じルートを飛行し、昼から夜、または季節の移り変わりを長時間のタイムラプス映像で捉えることができる。

3Dドリー

クレーンやケーブルカム、ドリーのような動きを実行できる。ユーザーが飛行ルートを計画した後、撮影のニーズに合わせて飛行速度やジンバル角度などを調整しながら、手動で飛行ルート上で機体を前後に往復させることが可能。これにより、シネマ級の複雑なカメラワークを簡単かつ効率的に実行することができ、より有効的な視覚効果を実現するという。

新機能Spotlight Proはパワフルな機械学習アルゴリズムをもとに、ジンバルカメラが一つの被写体を認識し、自動で被写体にフォーカスしながらトラッキングできるため、その間パイロットは飛行へ集中することができる。一人で撮影しなければならない場面でも、複雑なシーンを撮影することが可能。

最先端の全方向障害物検知システム

DJI Inspire 3は、9個のビジョンセンサーを使った強力な全方向障害物検知システムが搭載され、あらゆる方向の障害物を検知し、飛行を包括的に保護する。加えて、障害物回避のカスタム機能が新たに搭載され、より優れた飛行安全性とより自由度の高い撮影を両立させているという。水平方向、上方、下方の障害物検知は、それぞれ個別で有効/無効にすることができ、様々な撮影シナリオに合わせ、障害物警告範囲を手動で設定可能。

この機能は、能動的な障害物回避機能が無効になっている間、ナビゲーションディスプレイ上に障害物との距離をリアルタイムで表示し、障害物が設定範囲内にある時にアラートが発動する(機体は自動的に障害物を回避しない)。 より複雑な映像表現が可能になり、プロ撮影チームでの撮影表現の幅がさらに広がるという。

超広角ナイトビジョンFPVカメラで、昼夜問わずオペレーション可能

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DJI Inspire 3は、超広角161° FOVのFPVカメラを搭載し、1/1.8インチ ナイトビジョンセンサー、3μmピクセルサイズ、最大1080p/60fpsのライブ映像を実現。昼夜問わずクリアで安定した映像を低遅延で伝送できるため、周囲環境の状態を確認しやすくなり、より飛行安全性が高まるという。

映画撮影に使えるO3 Pro映像伝送&制御システム

DJI Inspire 3のO3 Pro映像伝送システムは、伝送距離/遅延/全体的な安定性の面で、従来の伝送システムから大幅にアップグレードし、シングル制御モードでは最大伝送距離15km、デュアル制御モードでは最大伝送距離12kmを実現している。

また、最大1080p/60fpsの安定した高画質ライブ映像をわずか90msの超低遅延で伝送する。今回初めて、最大伝送距離5kmの4K/30fpsライブ映像伝送にも対応し、撮影現場でのUHD画質での映像出力やライブ配信のニーズを満たすという。

進化したデュアル制御モードでは、2台の送信機はドローンから映像を受信したり、ドローンを制御したり、と独立して行えるため、現場のパイロットとジンバルオペレーターは撮影現場内の別の場所でそれぞれの作業を行っても問題がないという。

DJI Inspire 3には、7インチ1200ニト高輝度画面を搭載したDJI RC Plusが同梱され、強い直射日光下でもクリアな映像を確認しながら操作できる。RC Plusの内蔵バッテリーの駆動時間は約3時間18分で、ホットスワップに対応したWB37外部バッテリーを使えば、6時間まで駆動時間を延長可能。

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送信機にはHDMI出力ポートが搭載され、さらに送信機の前面、背面、上部にカスタムボタンやカスタムダイヤルが搭載されているため、素早く直感的な操作が行える。送信機には、DJI Pilot 2アプリ(Inspire向け)がインストールされており、素早く起動し直感的なUIで操作できるため、内蔵の状態管理システムといった機能に簡単にアクセスできる。

DJI Proエコシステムに対応

DJI Inspire 3の開発で大きく力を注いだのは、プロによる映画撮影現場でシームレスに適用可能。3.5mmジャックを介したタイムコード同期に対応し、現場での高精度の制御できる。複数のカメラで撮影した大量の映像を処理する必要がある時、タイムコード同期を使えば、編集プロセスが大幅に簡略化され、効率的に作業可能。

また、1台のRC Plusと1台の高輝度遠隔モニターをペアリングして使うことができる。このモニターを使用することで、DJI Proエコシステムへのリンクが可能になり、DJI 4DハンドグリップやDJI Master Wheelsといった製品を使用可能。これにより、Ronin 2と同等のジンバル制御体験を実現し、撮影監督にとって慣れた操作方法でジンバルを制御することができる。さらに、DJI 3ch Follow FocusをRC Plusに接続することもでき、Zenmuse X9-Airカメラのフォーカスや絞りを調整できる。

進化したアクセサリーで、効率性がさらにアップ

新デザインのトロリーケース

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1つの伸縮式ハンドル、2つのサイドハンドルが搭載され、車輪は360°回転でき、現場間の移動や輸送が楽に行える。

新設計クイックリリース プロペラ

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折りたたんで簡単に収納でき、各飛行前に再度取り付ける必要はない。

RC Plus送信機

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ストラップやウエストサポートといったアクセサリーを取り付けることができ、撮影時、快適かつ効率的に使用することができる。

バッテリー充電ハブ

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折りたたみ可能でコンパクトに刷新され、優れた充電効率も兼ね備えている。8つのバッテリーを同時にセット、急速充電モードではわずか35分で同時に2つのバッテリーを0%から90%まで充電でき、完全充電する場合でも160分で行える。付属の65W USB-Cポートを使ってRC Plus送信機を充電することができる。

DJI Care Pro

DJI Care Pro(DJI Inspire 3)は、DJIハイエンド撮影機材向けの専用保証サービスである。サービス購入時に付与されるサービス保守限度額内において回数無制限の無償修理を受けることができ、修理費用相当額がサービス保守限度額から差し引かれる。

なお、1年版/2年版の両プランとも、サービス期間終了時にサービス保守限度額が80%以上残っている場合、メーカー保証期間が1年間延長されるサービス延長特典が適用される。2年版のプランにはメーカー保証期間を1年間延長する特典が予め含まれるため、サービス延長特典を含めると計3年間のメーカー保証を受けることができ、より安心して長期間利用できるという。

DJIクリエイティブ ディレクターのFerdinand Wolf氏は次のようにコメントしている。

DJI Inspire 3は、映像制作者なら誰もが待ち望んでいたプロレベルの空撮プラットフォームです。従来は大きく重いカメラシステムでしか成し得なかったシネマグレードの画質で撮影でき、あらゆる撮影シーンでポテンシャルを最大限に発揮することができます。このInspire 3が空撮を全く新しいレベルへと押し上げ、皆様が本製品で素晴らしい作品を制作してくれるのを楽しみにしています。