ブラックマジックデザイン、「DeckLink IP HD」発表。IP放送システムに対応したキャプチャー・再生PCIeカードの新シリーズメイン写真

Blackmagic Designは、10-bitの非圧縮放送品質ビデオをST 2110ベースのIP放送システムで直接キャプチャー・再生可能なPCIeカードの新シリーズ「DeckLink IP」を2023年6月に発売する。ラインナップと希望小売価格は以下の通り。

  • DeckLink IP HD:税込48,980円
  • DeckLink IP HD Optical:税込48,980円
  • DeckLink IP/SDI HD:税込56,980円

DeckLink IPカードは、ST 2110ベースのIP放送システムで直接ビデオをキャプチャーし、再生する最も簡単なソリューションだという。他のDeckLinkと同じ機能に対応しているので、既存のソフトウェアで使用可能。放送グラフィックやバーチャルセットを生成したり、GPUベースのAIイメージ処理を行うサーバーラックを構築し、ST 2110ベースのIP放送インフラに直接統合できるという。

DaVinci ResolveをST 2110ベースのIP放送用の編集ワークステーションとして使用することも可能。DeckLink IPは高速PCIe接続に対応しているため、最新のMac Pro、Windows、Linuxコンピューターで使用できるとしている。

新製品DeckLink IPシリーズは、3機種を展開している。DeckLink IP HDは、単一のRJ45スタイルのイーサネット接続を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで3チャンネルのキャプチャー・再生が可能。DeckLink IP HD Opticalは、単一のSFPベースの光ファイバーイーサネット接続を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで3チャンネルのキャプチャー・再生が可能。DeckLink IP/SDI HDは、3G-SDIおよびST 2110ベースのIPシステムの両方に接続可能。この機種は、RJ45イーサネット、3G-SDI、リファレンス出力を介して、ST 2110ベースのIP放送システムで2チャンネルのキャプチャー・再生ができる。全機種は、1080p60までのあらゆる720p、1080i、1080pビデオフォーマットに対応するという。

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DeckLink IP/SDI HD

DeckLink IPカードは、IPビデオ規格であるSMPTE ST 2110に準拠している。SMPTE ST 2110は、IPネットワークを介して放送するビデオ、オーディオ、補助データの伝送、同期、定義を規定する規格だ。また、ビデオソースの同期にはPTPクロックが使用される。DeckLink IPは、SMPTE-2110-20の非圧縮ビデオ、SMPTE-2110-21のトラフィックシェーピング/タイミング、SMPTE-2110-30のオーディオ、SMPTE-2110-40の補助データに対応。SMPTE 2110の大きな利点は、すべてのビデオ、オーディオ、補助データがネットワーク上を個別に伝送されることだという。

また、DeckLink IPはマルチキャストにも対応。これは、ビデオ、オーディオ、補助データを単一のソースから複数の送信先に送信できる極めて効率的な方法としている。

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DeckLink IP HD Optical

高速の4レーンPCI Expressインターフェースを搭載しているため、DeckLink IPはホストコンピューターとPCIe接続できる。これにより、複数のHDビデオチャンネルを扱い、各チャンネルを同時にキャプチャー・再生できる速度を得ることが可能。PCI Expressはレイテンシーが非常に低く、ビデオをキャプチャーまたは再生しているソフトウェアと極めて正確な時刻同期が可能。シンプルで、低コストの4レーンPCIe接続を使用して、このような性能が得られるのはDeckLink IPカードだけだ。つまり、DeckLink IPをコンパクトな低コストのコンピューターにインストールできるという。また、DeckLink IP HDとDeckLink IP HD Opticalはロープロファイルであるため、ラックマウントサーバーにインストール可能としている。

DeckLink IPの接続はマルチレートなので、あらゆるSDおよびHDフォーマットに対応している。DeckLink IP/SDI HDは、同じカードでST 2110ベースのIPシステムと3G-SDIへの接続をサポートしているため、既存のあらゆるSDI放送機器に接続でき、同時に新しいIPベースのインフラにも接続できる。あるいは、ローカルモニタリングのために、3G-SDI出力のみを使用することも可能だ。SDは、525i59.94および625i50の両方のフォーマットに対応。HDは、720p60までのあらゆる720pビデオ、1080i60までのあらゆる1080インターレースフォーマット、1080p60までのあらゆる1080pフォーマットをサポート。カードが瞬時に新しいビデオフォーマットに切り替えるため、複雑な切り替えは不要。

DeckLink IPカードは、最高品質のビデオに対応できるように設計されている。Apple ProRes、DNxHDなどの広く使用されているビデオフォーマットに加え、10-bit非圧縮のキャプチャー・再生にも対応しているので、一つのファイルフォーマットに制限されることはないという。10-bitは、8-bitビデオの4倍の精度で色を表現できるため、テレビで最も広く使用されているフォーマット。10-bit非圧縮ビデオでは、すべてのイメージはソースとピクセル単位で完全に一致するコピーであるため、常に最高品質で作業を行える。つまり、極めてシャープなグリーンバックのキーイング、継ぎ目のないVFX合成、優れたカラーコレクションを実行できるとしている。

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DeckLink IP HD

Blackmagic DesignのCEO、グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。

10-bitの非圧縮ビデオをST 2110ベースのIP放送システムで直接キャプチャー・再生可能なソリューションに対する要望が多くのデベロッパーから寄せられていました。

DeckLink IPの非常にエキサイティングな特徴は、安全なビデオネットワークを提供する点です。フレームバッファーが、ビデオ用のファイアウォールのように機能し、悪意のあるソフトウェアやハッカーからネットワークを守ります。つまり、デベロッパーはDeckLink IPを使用することで、極めて安全性の高いST 2110ベースのIPビデオネットワークを構築できるようになりました。


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