DJI、「Matrice 350 RTK」発表。パワフルなペイロードや飛行安全性、低照度FPVカメラ、新バッテリーシステムを提供

2023.05.19

DJIは、産業用ドローンのフラッグシップモデル「Matrice 350 RTK」（以下、M350 RTK）を2023年5月下旬に発売する。推奨基本製品構成と参考価格は以下の通り。

DJI Matrice350 RTK 推奨基本製品構成：Matrice 350 RTK ＋ペイロード＋ DJI Enterprise Sheild
DJI Matrice350 RTK機体本体：税込1,000,000円（バッテリーと充電器は付属なし）

M350 RTKは、刷新された映像伝送システム、より効率的なバッテリーシステム、ペイロードによる幅広い拡張性などの特長を備える。

日常業務でも、捜索救助ミッションでも使用できる進化したフラッグシップドローンM350 RTKは、適用性、安全性、効率性が向上し、公共安全、エネルギー、マッピング、インフラ、林業などで活躍するという。

パワフルな性能で、より幅広いシナリオで活躍

M350 RTKは、最大飛行時間55分を実現すると共に、最大2.7kgのペイロードを搭載でき、業務に使用できるペイロードの幅が広がる。また、新しいDJI O3 Enterprise伝送システムを採用し、3つのチャンネルを使用し、1080p HDライブ動画を伝送できる。

さらに、最大伝送距離は20kmを達成。優れた伝送性能は、搭載した4アンテナ送受信システムにより実現され、送信時は4つのアンテナから通信状態が最適な2つのアンテナを自動選択して送信し、受信時は4つのアンテナを使用して受信する。これにより、耐干渉性が大幅に向上し、さらに安定した伝送が可能となる。

進化した飛行安全性

通常、業務用ドローンや捜索救助用ドローンを使用するミッションでは飛行条件が良好になるのを待つ時間的余裕はないことが多い。そのためM350 RTKでは、保護等級が前モデルのIP45からIP55に向上し、FPVカメラが進化を遂げ、より分かりやすいナビゲーションで、安全な夜間飛行が可能になる。

また、M350 RTKは、新たにアームロック検知機能を搭載し、アームスリーブがロック解除状態で飛行を開始してしまうリスクを回避できるため、パイロットは安心して飛行に集中できる。

さらに、6方向デュアルビジョンシステムと赤外線検知システムを搭載し、6方向への検知、測位、障害物検知を可能にし、飛行中、機体を包括的に保護するため、安心して業務を遂行できる。飛行安全性をさらに高めたい場合は、オプション品のCSMレーダーを、ドローン上部に取り付けることで、水平方向360°で最大30mの範囲で認識しにくい障害物を検知できる。

加えて、M350 RTKは、機体とセンサーシステムの両方に冗長設計を採用、厳しい環境でもより安定した制御で業務を遂行することが可能。

効率性アップ

M350 RTKには、送信機DJI RC Plusが標準で同梱。この送信機は、7インチ高輝度画面を搭載し、デュアル制御モード対応しており、標準WB37外部バッテリーを使用すれば最大6時間の駆動時間を実現する。

保護等級IP54の防塵性・防水性を備え、-20℃〜50℃の環境で動作できるDJI RC Plusは、極暑・極寒環境下でも、時間に縛られず、業務に対応。送信機の前面、背面、上部にボタンやダイヤルが複数配置され、さらに、ユーザーの好みに合わせて、ボタン機能をカスタムできるため、直感的で柔軟な操作体験を提供するという。

DJI RC Plusには、DJI Pilot 2アプリがインストールされており、ドローン操作やプロジェクト管理に必要な様々なオプションを提供し、業務の効率性をさらに向上する。

インテリジェント機能は、どんなドローン業務でも、効率性と安全性を大きく向上させることが可能。AIスポット点検は、定期点検を自動化し、繰り返し撮影する際の精度が向上する。ピンポイント機能は、簡単なタップ操作で被写体に印をつけ、その被写体の座標を計算し、全てのカメラビュー上で、ARアイコンを使って表示するため、特に捜索救助ミッションで有用な機能になる。

飛行コスト削減

M350 RTKのTB65バッテリーは、充電サイクル回数が最大400回（前モデル比100％増）となり、1回の飛行にかかるコストを低減する。また、デュアルバッテリーシステムを採用し、バッテリーのホットスワップに対応しているため、電源を切らずに素早くバッテリーを交換でき、効率的に次の飛行を再開できる。

新登場のBS65 インテリジェントバッテリーステーションは、バッテリーの充電、保管、輸送の全てに使えるワンストップ・ソリューション。複数の充電モードを搭載し、状況にあったオプションを選択できる。

例えば、長期間バッテリーを使用しない場合には保管モードを選択し、バッテリーを50%まで充電することによりバッテリー寿命を延長可能。飛行準備モードでは複数のバッテリーペアを90%まで充電し、いつでも作業を始められるように準備を整えることができる。

バッテリーステーションがDJI RC Plusに接続している時、DJI Pilot 2アプリはバッテリーステータスとバッテリー状態情報を表示できる。また、自己放電日数の設定、ファームウェア更新、ログのエクスポート、他のクイック操作へのアクセスが、タップ操作だけで簡単に行える。バッテリーステーションには、全方向に移動可能なキャスターが付いており、輸送や移動がしやすくなっているという。

パワフルなペイロード

M350 RTKは、シングル下方ジンバル、デュアル下方ジンバル、シングル上方ジンバルといったペイロード装着方法に対応し、E-Portオープン・インターフェースを搭載。最大積載量2.7kgで、機体は最大3つのペイロードを同時に積載でき、公共安全や点検、マッピングといった様々な業務シナリオでのニーズを満たすことができる。

Zenmuse H20シリーズ

ズームカメラ、広角カメラ、サーマルカメラ、レーザー距離計の4つのセンサーシステムが、高度かつスマートなアルゴリズムと連携し、優れた検知性能と撮像性能を実現。

Zenmuse H20N

ズームカメラと広角カメラにスターライトセンサーを搭載。また、2つのサーマルズームカメラやレーザー距離計を併用すれば、ハイブリッド方式のペイロードとして、幅広い業務で活躍できる。

Zenmuse P1

フルサイズセンサーと交換可能な単焦点レンズを3軸ジンバルスタビライザーに搭載。航空写真測量用に設計され、効率と精度をまったく新しいレベルに引き上げるという。

Zenmuse L1

Livox製のLiDARモジュール、高精度IMU、およびマッピングカメラを搭載。飛行プラットフォームに装着時、L1は終始リアルタイムで3Dデータを取得でき、複雑な構造でも詳細データを効率的に捉え、高精度の再構築モデルを提供する完璧なソリューションを形成する。

サードパーティー製ペイロード

ガス検出器や拡声スピーカー、マルチスペクトルセンサーのようなカスタムペイロードを、DJI Payload SDK経由でM350 RTKと組み合わせることができ、適用分野を拡大する。

スマートオペレーション

DJI Enterpriseドローンは、業務中のエンドユーザーの安全を確保し、作業を円滑化するために設計されており、M350 RTKも例外ではない。ウェイポイント、マッピング、オブリーク、飛行帯ミッション、地形フォロー、スマートオブリーク、ピンポイント、ライブミッション記録、AIスポット点検など、豊富なインテリジェント機能を使用して、空撮プラットフォームを最大限に活用できる。

高精度マッピング

M350 RTKは、ウェイポイント、マッピング、オブリーク、飛行帯ミッションをサポート。地形フォローとスマートオブリークは、効率的なデータ収集に使用することができ、DJI Terraと併用すると、高解像の2Dや3Dデジタル画像を素早く取得でき、高精度かつ高効率のマッピング業務を実現可能としている。

上空と地上間の連携

高精度なピンポイントやクラウドベースのリアルタイムマッピングといった機能を使用することで、M350 RTKは、上空と地上、そしてクラウド間の連携を実現。機体が画像収集を完了した後、DJI FlightHub 2は、業務現場のモデリングを素早く実行することが可能で、機体オペレーターと地上にいるオペレーターにコマンド情報を伝送する。

送信機とFlightHub 2は、共に点/線/面での描画やリアルタイムアップロードに対応し、機体と連携して、リアルタイムでオペレーションビューをライブ配信できるため、上空と地上間の連携が必要な業務において、コミュニケーションの弊害を取り払えるという。

高精度の自動点検

ライブミッション記録を介して、M350 RTKは、飛行ルートファイルを生成・保存可能で、そのファイルを使って、いつでも自動化されたオペレーションを実行でき、繰り返しの多い点検作業も簡単かつ効率的に行うことができる。

AIスポット点検を使用する時、M350 RTKは、自動での構図合わせや、撮影対象の手動選択に対応し、繰り返し撮影する際の精度や点検作業の品質が向上する。

拡張可能なエコシステム

DJI SDKとAPIエコシステムを利用することで、オペレーターは、使用しているM350 RTKをより最大限に活用できる。

Payload SDK

ガス検知器、拡声スピーカー、マルチスペクトルセンサー、計算モジュールといった様々な種類のサードパーティ製ペイロードを取り付けて、より広い用途で、このドローンプラットフォームを活用できる。

Payload SDKは、E-Port、SkyPort V2、DJI X-Portに対応し、ペイロード開発の周期を大幅に短縮することができ、様々な撮影シナリオでお使いのペイロードのポテンシャルを最大限に引き出す。E-Portは、Payload SDK V3以降のバージョンに対応し、Payload SDKを使用して開発したMatrice 30シリーズ用のサードパーティ製ペイロードと互換性がある。