Blackmagic Design導入事例:映画「Winny」の場合

Blackmagic Designによると、映画「Winny」でDaVinci Resolve Studioを使ってポストプロダクションが行われたという。編集には、ハードウェアコントロールパネルのDaVinci Resolve Editor KeyboardおよびSpeed Editorが使用され、グレーディングにはDaVinci Resolve Advanced Panel およびMicro Panelが使用された。

東出昌大と三浦貴大がW主演を務めた話題の映画「Winny」は、2000年初頭に開発され、爆発的にシェアを伸ばした革新的なファイル共有ソフトウェア、Winnyの開発者である金子勇氏の物語。映画やゲーム、音楽などの違法アップロードおよび違法コピーをするユーザーが増え、さらにWinnyの特性を悪用した情報漏洩系ウイルスも流行したことから社会問題になり、開発者の金子氏も著作権法違反幇助の容疑で逮捕されてしまう。不当逮捕された1人の天才プログラマーの未来と権利を守るために弁護団が結成され、長い年月をかけて無罪を勝ち取るまでを描いている。

同作の編集およびグレーディングにはDaVinci Resolve Studioが使用された。編集は株式会社インターセプターの田巻源太氏、グレーディングはDI Factoryの星子駿光氏が担当した。田巻氏も星子氏も監督である松本優作氏とは、過去の作品で仕事をしており本作品でも再びタッグを組むことになったという。

Blackmagic Design導入事例:映画「Winny」の場合

同作品の編集およびグレーディングではDaVinci Resolveのハードウェアコントローラー製品もフル活用された。また、編集からグレーディングを同じソフトウェアで行うことでワークフローが非常に効率化されたという。

田巻氏は、次のようにコメントしている。

田巻氏:スタジオで編集するときは常にDaVinci Resolve Editor Keyboardを使っています。編集のときはこれがないと無理ですね。今回は自宅でも作業しましたが、その際は自宅作業用のDaVinci Resolve Speed EditorとM1 MacBook Proを使って編集しました。

星子氏:グレーディングに関しても仕込みの段階は私のホームスタジオでDaVinci Resolve Micro Panelを使って行いました。その後はDI FactoryのスタジオでDaVinci Resolve Advanced Panelでグレーディングしました。

Blackmagic Design導入事例:映画「Winny」の場合

星子氏は今回のワークフローについて、次のようにコメントしている。

星子氏:今回、オフライン編集もDaVinci Resolveを使っていたので、その後のグレーディングへのワークフローが相当楽でした。普段はEditorがオフライン素材で編集して、ピクチャーロックした編集データをXMLやAAF形式で書き出してもらい、さらにガイド用のムービーももらいます。そこからコンフォームしてDaVinci Resolveでグレーディングできるようにする作業が発生します。別のNLEソフトウェアを使っていると特に、リタイム処理などのエフェクト部分で細かい修正が必要になり時間がかかります。映画は長尺なので場合によっては1週間、少なくとも3日はかかることも珍しくないのですが、今回それが全く0でスタートできたんです。

田巻氏:DaVinci Resolveはプロジェクトファイルと使用したメディアファイルを1つのパッケージで出力するプロジェクトアーカイブ機能があって、そのアーカイブをSSDに入れて渡しました。そうすることでSSDに入ったプロジェクトファイルを開くだけで、タイムラインに必要なものが全て並ぶんです。

星子氏:こちらでは「.dra」のプロジェクトファイルを展開すれば素材の紐付けも全て済んだ状態で開けるので、あとはそれを自社サーバーに必要な分をコピーするだけで、作業としては本当に楽でした。

印象に残っているのは「つぶし」のシーンです。昼間に撮影されたシーンを夜にする、というフィルム時代からある技術ですが、この作品では取り調べのシーンを夜に見えるようにグレーディングしました。こうすることで、照明を立てて撮った夜のシーンとは違った表現ができたと撮影監督の岸健太朗さんにも喜んでいただけました。

Blackmagic Design導入事例:映画「Winny」の場合